王室タイ空軍博物館のコレクションには貴重なヒコーキが多くありますが、今回紹介させていただくヘリコプターも、実は調べてみて初めて気がついたのですが、希少価値のある機体でした。
1942年にシコルスキー社は世界最初の量産型ヘリコプターR-4の開発に成功します。続けてR-4より有効搭載量が大きく、航続距離が長く、速度の高いヘリコプター開発に挑戦します。これが1943年に初飛行した試作機XR-5で、5機製造されました。アメリカ陸軍航空隊は就役テストのために、小改良を加えたYR-5A型を26機発注します。
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こうしてシコルスキーR-5は、海軍版のHO3S-1や民間仕様S-5などへ発展していくのですが、実用化の道を開いたYR-5Aのうち複操縦装置を装備したものは、YH-5Eと呼ばれています。
タイ空軍博物館に展示されている機体は、複操縦装置が付いているように見えますが、表示は「YR-5A」でした。朝鮮戦争を描いた映画「トコリの橋」に海軍版HO3S-1が出演したので、機首長のR-5系は見知っていましたが、改めて見ると、4座のHO3S-1とは異なり、タンデム複座のコクピットは狭く、尾輪式の降着装置も珍しく、時代的な制約を感じました
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