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  海軍九八式陸上偵察機12型
(ファインモールド1/48)

by口博通 Hiromichi Taguchi
 



 7月中旬に発売されたファインモールドのニューキット1/48 海軍九八式陸上偵察機12型です。マイナーな地味な印象の機種ですが、キットの胴体前端と垂直尾翼は分割され別部品化されています。 今後バリエーション展開で12月に陸軍九七式司令部偵察機と神風号の発売が予定されており、そちらが本命ということかと思います。

箱絵


実機について

  高性能と評された陸軍の九七式司令部偵察機に着目した海軍が、仕様を海軍式に改め、昭和14年11型に制式採用したのが九八式陸上偵察機です。
12型は、更にエンジンを零戦21型と同じ栄21型に換装し、最大速度が487km/hとなった性能向上型です。
九八式陸上偵察機は零戦が登場するまでは海軍で最速で、陸上偵察機として、中国大陸から東南アジア海域まで広く活躍しました。しかし、太平洋戦争開戦時では速力不足が目だち、後継の二式陸上偵察機にバトンを渡しました。



デカールは台南航空隊とバリ島デンバサールに展開した第三航空隊の計3種のマーキングが付属しています。
また、落下燃料タンクと三号爆弾が付属しています。
キットの成型色はグレーで、パネルラインのスジ彫りはファインモールドらしく繊細です。
 主翼には中央に桁部品が用意されており、また、胴体との接着部も配慮されていて、上反角がしっかりと決められるようになっています。


組み立て

胴体
 胴体は陸軍九七式司令部偵察機と神風号のバリエーション展開のため、胴体後部と垂直尾翼が差し替えで対応すつようになっています。偵察席左右の2つの偵察窓はまとめて1部品とされていて、バリエーションにより、枠を塗って窓を再現するように合理化されています。 また、胴体桁が別部品で再現されていて、コクピット床と籠状に組み立てた後、胴体に組み込むようになっています。



コクピット
 ファインモールドらしくコクピットは精密なもので、床板に左右の胴体桁部品を組み合わせ、籠状にし、胴体に組み込むような構造にして詳細に再現されています。偵察機の最重要兵器といえば航空写真機ですが、これもきちんと部品化されています。また、羅針儀1型改も部品化されており、左胴体桁に取り付けるJ7がそれです。

後席床前部に航空写真機がセットされます。
航空写真機

  胴体桁で籠状に組んだコクピット




胴体に組み込みます。


エンジン
 栄エンジンは、前後シリンダ、プッシュロッドと排気管部で精密に再現されてます。
 プロペラは形状、厚さとも良好です。
 
 問題はカウリングで前後左右で5分割されていて、エンジンを左右カウリングではさみこんで固定するようになっています。
 これでは塗装済みのエンジンを先に組み込まなければ胴体の塗装ができないので、カウルフラップ部の構造にもう少し知恵を絞って欲しかった所です。



胴体と主翼
 水平尾翼は左右翼を互いにかみ合わせて、きちんと水平になるように接着できますので、組み立てのストレスがないのがうれしいです。
偵察席左右偵察窓はまとめて1部品とされているので、枠を塗って2つ窓を再現しました。
 複座のキャノピーはきちんと軍用の高さが高い形状に再現されており、透明度が高く、胴体とのすり合わせもばっちりでした。


塗装
 全面 三菱系明灰白色(MrカラーNo35)が指定されています。吹き付けた上に軽くMrウエザリングカラーでスミイレをしてみました。
マーキングは 第三航空隊 デンバサール展開のX-14号機としました。

完成

 さくっと素組をするだけで素晴らしい海軍九八陸偵が出現しました。随所にファインモールドらしい旧軍機へのこだわりも感じられます。 9月の東京のホビーショーで本命神風号と陸軍九七司偵が展示されていました。その発売も待ち遠しいですね。




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Vol.123  2018 November.     www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /
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