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特集 世界の傑作機

RYAN NYP “Spirit of St, Louis”(REVELL 1/48)

by 五六式

 今月の第一特集に合わせてライアン NYP “スピリット オブ セントルイス”を作りました。

いやぁ,ウィンドシールドの枠の塗り分けが少ししか無いし,張り線も無いしで嬉しいなぁ。

・・・と思っていたんですよ・・・作り始める前は・・・。


<実機とリンドバーグの大西洋単独無着陸横断について>


「翼よ,あれがパリの灯だ!」で有名なライアン NYP(New York - Parisの意)は,チャールズ・リンドバーグが世界初の大西洋単独無着陸横断のためにライアン社に特注した機体である。

長距離を飛ぶために必要な大容量の燃料タンクは,飛行中の重心の移動を避けるため,エンジンとコクピットの間に配置され,その結果,前方視界を得るための窓は設置できず,ペリスコープで前方を見ることしかできなかった。
しかし,飛行の大部分は,洋上であり,航空機の絶対数が少なかった当時のことであるから,一旦離陸さえしてしまえば,着陸の際を除き,さしたる不便はなかった(自機の位置は,天測で把握できる。)ようである。


 1927年5月20日にニューヨークのルーズベルト飛行場を離陸した “スピリット オブ セントルイス(せんとるいすだましいぃ〜!!ライン・セントルイスの民間航空便のパイロットであった経歴からなのか?)”と名付けられた機体は,5,810kmを約33時間30分で飛行し,パリのル・ブルジェ空港に無事着陸した。

この冒険飛行により,リンドバーグは,ニューヨーク-パリ間を無着陸で飛んだ者に与えられるオルティーグ賞とその賞金25,000ドルと世界的な名声を手にした。なにせ,プラモのブランド名やJ-POPのバンド名になっているぐらいである。
「翼よ,あれがパリの灯だ!」という台詞は,本人の言葉ではなく,リンドバーク氏の著書につけられた邦題である。ちなみに,五六式が小学校の担任の先生から聞かされた飛行機の話といえば,B-29の話と「翼よ,あれがパリの灯だ!」だけであった。

<キットについて>

 プラモの黎明期に,ホークやフロッグなどからいくつかのキットがリリースされましたが,近代的で入手可能なキットとしては,。 1/48スケールのレベル版(初版2005年)と1/72スケールのRSモデル版(初版2014年)が挙げられるでしょう


※レベル版

 パーツ数53で,全てプラスチック製。そのうち7個は,フィギュアの部品です。フィギュアは,この機体だから,チャールズ・リンドバーグ氏なのでしょうね。このフィギュアは,着座した状態と機体の傍らに立つ状態とどちらかを選ぶ仕様になっています。頭部の部品は,一つしか入っていないので,着座姿勢で組むと,立てった姿勢の方は,首無しとなります。頭部を2個奢ればいいのではとも思うのですが,その場合は,どちらか片方がドゥペルゲンガーということになりますね。 ということで,実質,組み立てに必要な部品数は,50,そのうち機体の部品は,47となります。

部品一つ一つは,端正なできで,合いもよいし,組み立てやすさに配慮した設計なのでさくさくと工作が進みそうです。これは,名作キットじゃなかろうか?今回は,こちらを製作します。

ついでに,RSモデルのキットについても触れておきます。


※RSモデル版

 NYP-1 “スピリット オブ セントルイス”号とNYP-2毎日新聞社社有機とのコンバーチブルキットとなっています。日本のユーザー向けのサービスでしょうか?

プラスチック製部品42,レジン製部品22,フィルムシート1,エッチング17,うち,オプションパーツは4,スペアパーツは4で,NYP-1として組むなら,必要な部品は,75,NYP-2として組むなら,77となります。鬱陶しいのでインテリアは見えなくていい,窓は旅客機モデルのようにスモークグレーで塗りつぶす!!というのであれば,1ダースほど少ない部品で完成します。

プラスチックの部品に多少のバリが見られますが,胴体と主翼の接合部のバリを慎重に取り除いてやれば,きちんと組み上がるでしょう(だといいな・・・。)。
エンジン関係で,ちまちま小さいレジンパーツを18個も貼り付けんといかんし,エッチングパーツを曲げて座席を作らんといかん(半田付けも必要かも)し,主翼の上に小さいエッチングのピトー管(?)を3つも瞬間接着剤で貼り付けんといかん(レベル版と同じ構成ではいかんのか?)し,RSモデルさんは,モデラーに何を期待しているのかいな?スーパーモデラーじゃないユーザーだってたくさんいるのだよ!!

毎日新聞社社有機も作れますが,輸入したての1927年とその後の1928年では,窓の数などが違うようなのでリサーチが必要です。また,プロペラスピナーの形状が異なっているなど,NYP-1からNYP-2への小さな仕様の違いがあるので組み立て説明書をよく見ておくことが必要です。

<製作について>

 おすすめの製作法は,色を塗らず(←せめて,エンジンとタイヤぐらいは塗る。),機体番号と“Spirit of St, Louis”のデカールだけを貼って満足することです。 それ以上を目指すと,下記のようにしんどい思いをします。


※ 主脚のアングルがしっかり決まる設計になっています。

 このキット,確実に組めるよう,エンジンマウントや主脚,主翼の付け根などが頑丈にできていて,何の迷いもなく,ただただ,部品を取り付けていくだけで完成させることができます、また,窓も,精度が高く透明部品がピタリとはまります。

しかし,主翼の裏に盛大に部品の分割ラインが残り,これを消すために多くの時間を費やすこととなりました。
部品のつなぎ目の修正を3回通り行いました(46本の主翼のリブのモールドを残しつつ,隙間と段差を消していかねばなりません。削って磨くだけで5〜6時間,カリカリ,シャコシャコやってました。)が,分割ラインや段差は完全に消えていません。あまりやり過ぎると,主翼のリブのモールドが消えてしまうのでほどほどのところで止めておきました。また,主翼上面には,ひけが出るので,サンディングをしました。他にも数カ所,隙間ができるところがあり,これらを丁寧に処理してから銀塗装に進みました。



 主翼上面に3本の鈎状の突起がありますが,これらは,フューエル・ベント(おそらく,燃料補給管)です。で,これらは,・・・涙・・・折れます。どんなに注意しても,結局,折れてしまったので買い置きしていたウェーブのCパイプ(外径5mm)に置き換えました。
3本の寸法を合わせるためにラジオペンチのぎざぎざをゲージにして曲げるところを決めました。これで,滅多なことで折れなくなりました。それまで,腫れ物を触るようにしていたのが馬鹿みたいです。


 リンドバーク氏は,4層塗料を重ねてそれらしく仕上げました。
※ 下塗り
※ 仕上がり

 デカールは,丈夫ですが,水につけると丸まってしまうのでマークセッターが必要です。一旦,定着してしまうと位置の修正は困難なので注意が必要です。

1 プロペラスピナーにうまく巻き付けるのはかなり難しいです。マークセッターが必要です。
2 操縦室内に1枚デカールを貼るので忘れないように。
3 機首の打ち出し加工を表現するデカールは,6枚機首上面から下面に向かって順次貼っていきます。最初の1枚が曲面になじまないので前端で位置決めした後,木工ボンドを水で溶いたもので強引に接着します。


4 機首のデカールの最後の1枚が一部破れてしまったので手書きで修正・・・うまいこといかない・・・汗・・・。仕方が無いのでデカールの上から強引に銀色を薄くスプレーしてみました。デカールのままでもなく,ただの銀塗装でもなく,手書きの部分の不細工さも目立たなくなる・・・これも,このキットのデカールの丈夫さのおかげです。
5 上記の処理で“Spirit of St, Louis”のロゴが覆い隠されてしまいますが,このキットには,“Spirit of St, Louis”のロゴのみのデカールもついているので上からこれを貼り付けました。
6 機首上面のNX-211のデカールは,NX-と211で分割しておくと主翼上面の突起に引っかからなくなるので貼りやすくなります。垂直尾翼に貼るデカールも,方向舵に透明部が被さるのであらかじめカットしておくとよいです(破れやすくなるので注意)。




※ リブのモールドを基準に位置が決められます。
※ デカールが完全に定着する前に位置決めをしてしわを取り除きます。程度問題ですが,ちょっと強引に伸ばしても破れません。動きが悪くなったら,水やマークセッターを補充します。
※ 隙間にかかっている部分は,デカールが完全に乾いてからカッターで切り抜きます。


 後,ちょこちょこっといじったところは,次の通りです。

1 右側面のドアは,開閉選択式ですが,可動式にしました。←両面テープでドアを取り付けただけ。

2 機首は,両面テープで着脱可能にしました。



3 ベンチュリー管の先端は,小径ドリルで開口しました。

4 透明部品は,枠を含まないので白濁防止のため,木工ボンドで貼り付けました。



 計器盤の中央からやや左寄りに長方形のペリスコープののぞき穴があります。

前方視界は,これだけ。後,窓から顔を出すとか・・・バスガイドさんにしかられちゃうぞ!!

レベル版の塗装指定には,操縦席内についてレバーや座席については詳しく説明が書かれていますが,内壁については,触れられていません。
 RSモデル版では,linenと書いてあります。亜麻布の色ということで,茶色っぽい白だったら何でもいいと思います。また,操縦席内のリブは,アルミのようです。胴体と主翼を組んでしまうと,操縦席は真っ暗になってしまうので丁寧克つ,ほどほどに塗り分けました。

<で,何とか完成まで漕ぎ着けました。>





分かりにくいですが,機首のところだけ質感を変えています。




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