古いものが古いゆえに価値を帯び、人びとがそれをなつかしむようになるには、どれくらいの時が必要なのか。
車を例にとれば、10年同じ車を乗りつづけても、ポンコツよばわりされるだけだが、15年を過ぎたあたりから、周囲のみる目が変わってくる・・・ような気がする。
プラモデルの場合はどうか。私がマルサンのキットをなつかしむようになったのは、メーカー消滅後20年を越えたころであったろうか。
たいていのものがそうであるように、古いものをなつかしむころには、それらは既に店頭になく、通常の手段、価格では手に入らなくなっていることが多い。
中学生のとき、わくわくしながら作ったキットたちに再開したい、作りたい。その思いが、私を不慣れなパソコンに向かわせ、ネット・オークションに首を突っ込ませることになった。
マルサンの1/100や1/50のキットをネットで落札・入手し、作り出したのは、新しい世紀をまたぐ頃合いであったか。今どきの精密なキットに比べ、考証も甘く、合わせも悪いので、修正だけで時間をとられる。すっかり黄ばんでしまったデカールは使えないから、マーキングも手描きが避けられない。
以上のような苦労を味わいつつ、作ったキットのなかで、1/50では、「神風号」と「十式艦雷」は感動モノであった。昭和三十年代に、ここまでの完成度に達していたことに驚かされたのである。マルサン健在のとき、私はこの2キットは作っていなかった。固定脚や複葉、まして三葉機は人気がなかったのだ。
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ちなみに、この2機種とも、オークションで落札したのは、比較的安価なUPC版であった。
あれこれ作っているうちに、次第に1/100キットの完成機が増え、コレクションの体(てい)をなすようになった。そして、統一スケールで数をそろえるには悪くない大きさでないかと思うにいたった。私の部屋のケースに、1/72や1/48の完成品だとそう数は入らないのに、1/100はずっとたくさん入れられる。タミヤのミニジェット・シリーズを加えれば、機種と機数がさらにそろう。
そして、ここが肝心な点というか、気が付いた利点というべきか。それは、1/100の飛行機キットは、コンプリートを目標にできる点だ。マルサンすでになく、タミヤが今後ミニジェット・シリーズを再開することは、おそらくない。あとは、タカラの「エリア88」シリーズやサニー(万年)のキットぐらいでないか。1/100はいつの間にか、半端スケールになってしまったのだ。新キットが出ない以上、作るキットは有限であり、したがってコレクションのコンプリートが目ざせる、という次第である。
今回は、タミヤのミニジェット・シリーズと、サニーなど他メーカーのキットは除いて写真を撮った。マルサン・オリジナル、新生マルサンが開発したキットのみであるが、キットそのものは、フジ版やニチモのプラペット版を組んだものもある(安価ゆえに)ことを付け加えておきたい。 |