Home  > BAC・三菱 66式戦闘機 電光 (AIRFIX 1/72)> 飛行機プラモデル製作>2019年6月号

特集 航空自衛隊

BAC・三菱 66式戦闘機 電光 (AIRFIX 1/72)

by 五六式(TYPE-56)



 MONOCHROME(TRUMPETER)のライトニングF.6のキットに付いていたおまけデカールに合わせて設定を考えてみました。



<実機設定>
 1957年の航空自衛隊の次期主力戦闘機選定(第一次FX)は,旧式化した自衛隊の主力戦闘機F-86Fにかわる超音速戦闘機300機を選定するものであった。当初,防衛庁は次期戦闘機をロッキードF-104に内定していたが,一転,日本政府は,グラマンF11FのエンジンをJ-79に換装したG-98J-11を採用決定した。G-98J-11は,速度性能や上昇性能は,F-104に劣るものの,汎用性が高く,整備性も良好と思われていたのだが・・・採用決定時点でペーパープランであったG-98J-11の開発は難航,ライバルF-104についても,ドイツ空軍(F-104G)やカナダ空軍(CF-104)では,低空侵攻核攻撃機として使われることが明らかになって世論の反発を呼び次期主力戦闘機の選定・配備は,大幅に遅れることとなった。

 この遅延を勝機(商機)としたのがBACライトニングである。政府は,1966年に開発中のライトニングの最終改良型F.6の採用を決定,66式戦闘機 電光と命名した。1967年に英国で生産された1〜6号機が納入,三菱重工でノックダウン製造された7〜12号機とともに運用開始,最終的には,RAFで運用された機数を遙かに上回る300機あまりが三菱重工でライセンス生産された。


<キットについて>
 初めは,モノクロームのキットで作業を進めていたのですが,中華系のキットの塗装指定はいい加減なことが多いのでAIRFIXの新しいキットの説明書を参照しながら製作を進めていきました。そのうちにアホらしくなってAIRFIXの方(伝説の水平尾翼がない箱絵バージョン)を組むことにしました。こっちの方が簡単で楽ちん。五六式は,困難に立ち向かって成長・・・しなくていいです。また,モノクロームのおまけデカールですが,よく見ると部隊マークのクマさんが目つきの悪いパンダになっていたので結局,ハセガワのF-104J/CF-104のデカール(空自のF-104全飛行隊を網羅)からもらって来て日の丸と機番のみを使うことにしました。



 シリアルナンバー75-8711は,架空のものですが,1967年納入の戦闘機ということを示す数字が正しく入っているので採用しました。

<製作>
 最初期のロットなのか,湯流れが悪いところがあって照準器が欠品,レッドトップAAMの安定板が欠けていました(他の個体では,問題ありませんでした。)。照準器は作れない部品じゃないし,元から付いていない他社キットだって多いから問題なし。空自仕様だからサイドワインダー搭載ということにしてレッドトップも無くてよし・・・です。



・あちこちにある押し出しピンの跡は,製作の邪魔になります。放置すると,部品が全く合わなくなります。特に,以下の押し出しピン跡は,必ず削り落とすようにしましょう。

1 主翼の内側→主翼部品が合いません。

2 胴体の内側→インテークやリヒートのパイプと干渉します。
  インテーク自体も少し細くしないと胴体部品が合わなくなります。

3 ミサイルランチャー→かなり目立つ位置に押し出しピン跡が露出します。

4 シートの背もたれの裏→シート本体との間に目立つ隙間があくし,パイロットや操縦桿とも干渉します。

・空中給油ブームの取り付けのために1mm径の穴を主翼に開けるように指定されていますが,1mm径の穴では,全く取り付けられません。取り付け穴も,空中給油ブームの取り付けのためのダボも削って調整する必要があります。今回は,自衛隊仕様ということで取り付けていません。

・主翼の取り付けは,前の方は良くフィットしますが,後ろの方には,隙間ができます。削り合わせとパテ埋めの併用で対応しました。

・自衛隊仕様ということで,AIM-9Bサイドワインダーをフジミの1/72RF-86Fから,同,ランチャーをプラッツのT-2(ブルーインパルス)から貰ってきました。

・脚部の組み立てが容易に行えるよう配慮されていますが,実際に組んでみるとなかなかうまくいきません。前脚扉はさっぱりはまらないので各自で仮組みして対策を立てる必要があります。

・本体だけで100を越えるステンシルに閉口しました。おまけに増槽だけで34・・・燃タンになんでそこまで注意書きが必要なのか(合わせて徹夜2回分かかりました。)・・・?次回からは字が読めないようなステンシルは省略することにしようと思います。




 平面形を見ると,サンダーバード1号のモチーフがライトニングだったことがよく分かります。

<66式戦闘機の秘密>


 空自隊員や飛行機マニアは,”電光”と呼ばず,”こいのぼり”と呼んでいたが,一般の人たちは,素直に”ライトニング”と呼んでいた。また,日の丸や機番などの配置は,空自のF-86および,T-1のマーキングに準じて決められた。




 真横以外のアングルから見ると,スマートであることが分かる。マッハ2級の超音速機なのだからどんくさいわけがない。



 敵機の後方だけでなく広範囲からの発射が可能なレッドトップAAMは,高性能だがライトニング以外に使用している機体がなく,安定的な調達に不安があったので採用を見送り,その代わり、空自がF-86Fセイバーに搭載しているAIM-9Bサイドワインダーを主兵装とした。後に翼下にパイロンを増設,二連ランチャーを使ってAIM-9Bを最大6発搭載することが可能になった。

 導入当初、空中給油ブームは,近隣諸国に配慮して装備しなかったが,燃料不足で墜落しかける事案が多発し,順次装備することとなった。その際,機内の配管は,強度確保と生産の都合により残されていたので機体の改修は最小限で済んでいる。空中給油は,当初は,バディシステムで,その後は,専用機(暫定的にP-2Jの改修機KP-2J)で行った。



 世界の傑作機の表紙のアングルで見ると,非常にかっこいい。キャノピー周りのラインなどは,セクシーでさえある。イラストレーター佐竹政夫氏のセンスにはおそれいるばかりである。


  Home>BAC・三菱 66式戦闘機 電光 (AIRFIX 1/72)> 飛行機プラモデル製作>2019年6月号

Vol.130 2019 June.   www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /  
         editor Hiromichi Taguchi 田口博通 /無断転載を禁ず  リンクフリー

「webモデラーズ について」 「広告のご出稿について」

プラモデル模型製作特集1

TOTAL PAGE