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特集 ソビエト戦車

  ソビエト陸軍スターリン重戦車 T-10(タミヤ 1/35)

by口博通 Hiromichi Taguchi



 タミヤのスターリン重戦車T-10です。懐かしくご覧になる方も多いでしょう。今回、製作したのは1964年リリースのタミヤT-10のシングルモーターライズ版です。「2段変速インスタマチックギヤー使用」ということで、ギヤの切り替えにより、ゆっくり走るだけでなく、60年代当時 各地で行われていた「戦車によるスピード競技」にも対応していました。キャタピラはもちろんゴムキャタピラです。7組みの転輪サスペンションにはコイルばねを仕込むようになっており、鉛筆などの障害物もかっこよく越えて行きます。  1980年代くらいまで模型店の店頭にありました。本当はリモコン版が欲しかったのですが、買えたのはシングル版でした。
 幸いにもデカールもゴムキャタピラもまだ使え、快調に走りました。赤外線暗視装置はムギ球を赤色LEDに替えています。
 製作の動機は 昨年暮れのグランドパワー2018年12月号がT-10の特集で、それが大きな刺激になりました。





 箱絵にはスターリン重戦車 T-10 JS3と書かれていますが、資料が少なかった1960年代当時のことゆえ少し混同があります。T-10とJS3は別別の重戦車です。
 JS3は大戦末期に出現した転輪が6組の重戦車で、タミヤからはやっと1996年に素晴らしいキットがMMで発売されました。
 T-10の方はJS3後継の戦後型重戦車として開発が進められ、最終的にはJS8に改良を加え、1953年から生産が開始されています。外観はJS3に似ていますが、車体が延長され一回り大きく、転輪は7輪となっています。

箱絵



 下はキットの車体と砲塔と走行部品です。
60年代のキットなので簡単な構成ですが、後部エンジン扉が開閉式になっています。
後年のMM戦車に比べると部品点数が少なく、簡単に組めました。これにギアボックスが付属しています。




 可動サスペンションにはコイルばねを仕込みながらポリキャップで組み立てます。現在ではこのような構成の戦車プラモデルは見られなくなり大変残念です。
ポリキャップはタミヤの戦車プラモデルでは初期から使われていたような記憶があります。


 砲塔の手すりは壊れやすいのでシンチュウ線で置きかえました。プラ材質の車体と砲塔はつるっとしているので、タミヤパテをシンナーでゆるめて筆で全面に塗り、表面ざらつきを加えました。実車の砲塔は鋳造で表面は鋳造肌でざらっとごつごつしていますし、ソビエト戦車の車体もざらっとしているようなイメージが個人的にあるからです。
この上に艶消しにしたNo.42マホガニーを下塗として、塗っておきます。

タミヤパテを薄めて、塗りたくりプラ材質表面をざらっとさせる。



 塗装は、Mrカラー特色のロシアングリーン2をエアブラシ → ウエザリング の順で行っています
ウエザリングは Mrウエザリングカラーのグランドブラウンを全体にウォッシングしました。ドライブラシは白くなりすぎないように注意しながら、エナメルのグリーンとサンド系を混ぜてごく軽くドライブラシしています。
 プラスチックは皆様ご経験のようにエナメルシンナーに侵されてボロボロになっていくので、できるだけエナメルシンナーを使わないようにしています。
 デカールの車体ナンバーを貼り、落ち着いたら、保護のために、つやけしクリアーを吹きつけ、塗装は完了です。


 赤外線暗視ランプはLEDに置き換え、2本のコードは熱収縮チューブをかぶせ、砲塔内に引き込みました。 車長機銃は1960年代のキットゆえディテールが大甘ですが、そのまま使用。他の部品も同様です。

完成

 車体前部の前照灯も極甘いディテールですが、こちらも精密スケールモデルを作っている訳ではないので(モーターライズ戦車を作っているのであります。)、そのまま接着して完成です。もちろん、最近のキットと比べると、各部が甘く、スタイルもつっこみどころが満載でしょうが、ソビエトの重戦車らしさは表現されているのではないでしょうか。 モーターライズ戦車としては、ゴムキャタピラの接地力も強力で、地面にしっかりと踏ん張り、本の段差や障害物を越えて走り、快感です。少年時代の楽しさをもう一度味わうことができました。今の時代にあっては贅沢な事かもしれません。   2モーターの適当なギアが手に入れば、シングルからリモコンに改造してやりたいと考えています。

 タミヤのT-10はヤフオクでも時々見かけますので、興味があれば、一度作ってみられてはいかがでしょうか。
 T-10は最近トラペとモンモデルからも発売されていますが、組み立てと遊ぶ楽しさは昨今の広東キットよりもタミヤの旧キットの方が格段に楽しいことを保証します。







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