アルバトロスD.Va複葉戦闘機は、1917年4月の西部戦線で「血まみれの四月」を演出したアルバトロスD.Ⅲを改良したD.Vを、さらに改良した機体です。
D.VaはWWⅠのドイツ帝国陸軍航空隊の主力戦闘機として、敗戦の日まで任務を続けました。先々代のアルバトロスD.Ⅲの4月の戦果は、英軍機機368機とその乗員500名と言われ、リヒトホーフェンの愛機でもありました。しかしニューポール11の一葉半型式を真似た主翼は、下翼が剛性不足で、飛行中に翼が破壊される欠陥がありました。故佐貫亦男教授は著書「続・ヒコーキのこころ」(光人社NF文庫)の一篇「血まみれの四月」で、このことを「アルバトロスⅢ型がニューポールの欠点、すなわち、下翼の捩れフラッターまで持ちこんだことは批判されてもよい。」と書いています。
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D.Vは重量軽減と上翼を12cm胴体に近づける改良を施しましたが、欠陥はそのままで、リヒトホーフェンを含め、パイロットには不評でした。そこで翼桁を強化し、エンジンを170hp/hから180hp/hに換装したD.Vaが1917年10月に登場して、敗戦の日まで第一線機として活躍しました。
D.Ⅲ、D.V、D.Vaで実機が残っているのはD.Vaが2機だけのようです。1機はスミソニアン航空宇宙博物館に展示中ですが、私は見た記憶も撮影写真ありません。あの頃はアナログ・カメラ中心で、元々記憶容量が少ない上、あまりWWⅠ機に関心がなかったので…もう1機はオーストラリア戦争記念館(AWM)に展示中です。こちらは美しい木製セミモノコック胴体を鑑賞することが出来ました。昔々入店した「ディスコ」のような照明の変化に悩みながら、撮影させて頂きました。
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