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誌上個展

<日本航空史> He116はドイツ的色彩

  by 加藤 寛之
プラモデル コラム

 Webモデラーズに「日本航空史」を書いていて、掲載したかった飛行機の一つ。ハインケルらしい楕円翼をもった4発の飛行機で、その流麗さにひかれていたからだ。
先日、ようやく古い写真を購入できたので、当時の出版物とあわせて登場となった。



 この機体は、昭和13年に満州航空が購入して空輸してきたという。満州航空は国策会社だから、軍の輸入代行みたいなものだ。『日本民間飛行全輯』(工人社、昭和14年)によれば、He116の主翼は合板張、胴体はジュラルミン製でモノコック、プロペラは木製。乗員4名・旅客2名の輸送機とある。
このころ日本は、ハインケル社から昭和12年にHe86輸送機を購入、同13年にHe112戦闘機とHe118急降下爆撃機も購入している。いろいろ買って参考にしていたのだ。He116は4発とはいえ240㏋×4だから強力ではないが、長距離飛行が得意だった。もしかしたら、軍は中国奥地への偵察機の参考に考えたのかもしれない。



「アサヒグラフ」昭和13年5月11日号は、2機が東京飛行場に到着したときの写真を掲載している。副題に「満航姉妹機の空輸成功」とあって、それが大飛行であったことを示している。そして、ベルリン~東京を丸6日、実飛行時間52時間44分とある。『日本航空機総集Ⅵ 輸入機篇』によれば、4月23日発・29日着で、途中6か所に着陸、143時間43分とあって、実飛行時間は57時間51分と56時間18分とある。なぜ両者で異なるのか、私はわからない。
 He116の2機は乃木号、東郷号と命名され、日満間の郵便輸送に使われたという。
 モノクロ写真では色が分らないが、「アサヒグラフ」の記事は機体色にも触れており、「軽快な黒線入りの淡灰色の機胴に主翼と尾翼の卵黄色がすっきりしたドイツ的色彩」とある。ラダーに書かれた「J」の字は、2機でタテヨコ比が異なっているし、機首右面に1機は「HEINKEL」とあるが、もう1機には見えない。プラモデルがあれば塗装の参考になるし、プロペラは木製だとか、主翼は木製外板がからリベット再現をしちゃダメとか、何かと使える内容を書いたが、現状ではほぼ無意味だ。



 掲載写真のうち、右後方から滑走中を撮った写真はウラ焼きだ。古い写真にはよくある。



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