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>デカール自作 第2弾 ベルAH-1G ヒューイコブラ (タミヤ 1/100)> 特集 1/100スケール> 2019年10月号
デカール自作 第2弾
ベルAH-1G ヒューイコブラ (タミヤ 1/100)
by
田
口博通 Hiromichi Taguchi
1/100特集をきっかけに完成したのはタミヤの1/100 AH-1Gヒューイコブラです。
1968年4月 No.1 Mig-19から始まったタミヤ1/100ミニジェットシリーズは1983年のNO.28 F-4EJまで続きました。「田宮模型全仕事3 (文芸春秋刊)」によると、シリーズの中でも ベルUH-1B イロコイスとAH-1ヒューイコブラはなんと1機種あたり100万キットの大台を突破した最大のベストセラーだったそうです。
このタミヤのAH-1Gヒューイコブラは当時の世相を反映してベトナム戦争投入機のモデル化が盛んだった1971年2月の発売でした。
2004年7月にイントルーダーやファントムなど人気の高かった10機がコンバットプレーンシリーズとして再販されましたが、現在は全て製造停止状態となっているのが残念であります。
値段も安くて 部品点数が少なく 気楽に作るには手頃で、高校生時代 大変良く作ったタミヤ1/100シリーズでした。
社会人になってからも 結構 買い貯めておりました。その在庫の中から最近も「夢の全部揃えリベンジ」で
ベルUH-1Bイロコイス
CH-54 スカイクレーン
とヘリコプターを作っています。
ヘリの中で残るヒューイコブラはあいにく押入れストックの中にありませんでした。
しかし、日頃の行いが良い?と幸運はころがっているもので、なんと昨年2018年の静岡ホビーショーの際にタミヤ本社オープンハウスのバザーでヒューイコブラが500円で売られているのを発見!
ただし袋入り再販でデカールが入っておりません。金型は使用できるものの、おそらくデカールの版がもう使えなくなっていたからでしょう。「これはどう作ればいいのよ?」とウーンと唸ったものの、お客様のために成型品だけでも提供したいというメーカーの担当者さんの熱意がそこにはあったんだろうと好意的に解釈し、快く買って帰りました。
という訳で、デカール自作が必須条件となった今回のヒューイコブラ製作でした。
製作
昔は実機に近いオリーブグリーンで成型されていた記憶がありますが、袋入り再販はグレーで成型されています。また、キャノピーが透明ブルーでなく普通のクリアで成型されています。ローターは上から差し込むだけです。
部品点数が少なく、ニッパーとカッターナイフだけで、そのまま無塗装で作ると30分くらいで完成しました。スタンドにとりつけると、グレーのヒューイコブラが出現。
それでも楽しさが蘇ります。
塗装は機体内部には艶消し黒を筆をつっこんでに塗り、機体はオリーブドラブを筆塗り。機体後部の警戒黄色はテープでマスキングし艶消しイエローを塗装し完了。
マーキングは資料も少ないことから、組み立て説明書の写真を元にシリアル15042とすることにしました。この写真を元に 1/100で必要なMARINESとシリアルナンバーの寸法を割り出しておきます。
(写真1)筆塗でオリーブドラブを塗装
組み立て説明書の写真
デカールの自作
9月号のタミヤ48 ヒューズ H-500
と同様の方法で、家庭用インクジェットプリンターで印刷できる自作デカール専用用紙を利用してデカールを自作します。
今回は MARINESと尾翼シリアルNOが白文字のため、デカール用紙にはHIQPARTSというメーカーののホワイトベース(製品名 INKJ-T05WB )と透明ベース(製品名 INKJ-T04CL)を使いました。両方ともアマゾンで A4サイズが5枚入りで950円でした。
自作した白ベースのデカール
自作した透明ベースのデカール
(A) 透明ベースでデカールを作る
まずは、黄色帯上の「DANGER→」マークを透明デカールシートに作るところから。
(1) 種になるデカールを探します。ヘリコプタキットの手持ちストックの 1/100 スカイクレーンヘリのデカールの中に 使えそうな「DANGER→」がありました。
そこから必要な「DANGER→」の部分をスキャナーでパソコンに取り込みます。
種となるデカールを探す。
ちょうど1/100 スカイクレーンヘリの中に 使えそうな「DANGER→」があった
必要な部分だけ、スキャナーで画像をパソコンに取り込む。
(2) 次に画像加工ソフトで上の画像を基に デカール画像を作ります。
画像加工ソフトはフォトショップのような高級高価なソフトでなくとも、パソコンに同梱されている「お絵かきソフト」でも充分です。
(筆者は 「paint.net」というフリーのレタッチソフトを使っています。
窓の杜のpaint.net
からwindows版がダウンロードできます。)
パソコン画像上のホワイトはプリンターでは透明となるので、デカール余白部を「ペイントカン」ツールでホワイトに塗ります。「ペイントカン」ツールの塗りつぶしは、許容範囲設定を50%程度から上下に前後させて調整すると、マーキング周囲の黄ばみの塗りつぶし具合が変わります。
同時に黄ばんだ矢印の赤と文字の黒も「ペイントカン」ツールでしゃきっと好みの色合いに修正しておきます。
こうしてうまく画像修正ができたら、修正画像をJPGフォーマットでパソコンに保存します。
画像加工ソフトで余白を綺麗に加工して デカール画像を作る。
(B) 白ベースでデカールを作る
MARINESと尾翼シリアルNOは白文字のため、白ベース用紙にデカールを作ります。
(1) 種となるデカールを探し、まず MARINESを作ります。白文字である必要はありません。今回はストックのタミヤ1/48スカイレイのデカール中にMARINESの黒文字があり それを使っています。
必要な「MARINS]の部分をスキャナーでパソコンに取り込みます。そして画像加工ソフトでデカール余白部を「ペイントカン」ツールでホワイトに塗ります。
完成したMARINES書体
(2) 白文字にするには一工夫が必要です。
デカール余白部をオリーブドラブとして、文字を白にすると白抜き文字ができます。
色々試したもののオリーブドラブという色は難しく、結局、上の(写真1)画像から 画像加工ソフトのスポイトツールでオリーブドラブをサンプリングし使うことにしました。色が現物に近ければ、多少の違いは目立ちません。
デカール余白部を「ペイントカン」ツールでサンプリングしたオリーブドラブに塗ります。
そして「MARINES」の文字を「ペイントカン」ツールでホワイトに塗ります。
この方法で、白抜き文字が出来上がります。
サンプリングしたオリーブドラブ色
完成した白抜きMARINES文字
(3) SiNoの白文字を作るには まず、米海軍、海兵隊で使っている数字フォントが必要になります。
0から9 の文字データを作りますが、白文字である必要は無く、黒文字で作っておきます。
これは、MARINES文字と同様に 手持ちの米海軍機キットのデカールから数字の文字を探し、スキャナーで取り込んで、画像加工する方法で簡単に作れます。
この文字を画像加工ソフトの上で並び替えて、15048のシリアルナンバーを作ります。
ここから余白オリーブドラブの白抜き文字を作る方法は上のMARINES文字と同様です。
まず米海軍海兵隊の数字フォントを作る
シリアルナンバーを文字を並び替えて作る
完成した白抜きシリアルナンバー
(3) 次に印刷ですが、ドローソフトを使います。パソコンにドローソフト(例 マイクロソフトパワーポイントなど)が付属していればそれを使うのが簡単です。
筆者は 「inkscape」というフリーの編集ドローソフトを使っています。
窓の杜のinkscape
からwindows版がダウンロードできます。)
先ほど作った画像を ドローソフトに取り込みます。取り込んだ画像をソフト画面上で拡大縮小して 実機写真から割り出した 1/100モデルに必要な寸法に合わせます。
そして、ドローソフトからインクジェットプリンターでデカール用紙に印刷します。これで、デカール用紙に必要な寸法で印刷ができました。
作製した白抜き文字デカール
乾燥が不充分だと、上のようにクリアーを吹き付けるとインクがしみ出すことがあるので注意!
あせりは禁物です。
(4) 水に溶けるインクジェットなので、印刷後、「クリアーコーティング」が必ず必要です。
デカール用紙の注意事項を良く読んで、2日くらいインクをしっかり乾燥させた後に 模型用ラッカークリアー「GSIクレオス「スーパークリア」、ガイアカラー「EXクリア」)などをエアブラシで注意深く吹き付けます。
乾燥が不充分だとクリアを吹き付けた時に印刷インクが溶け出し、泣きをみますので、しっかり乾燥は非常に重要です。
また、クリアは厚めに吹き付けた方が安心できます。
自作デカールの使用
切り抜き断面から水溶性印刷インクが溶けることがあるので、自作デカールは印刷部よりも大きく切り抜くようにします。
デカールをキットに貼ったら、水分が乾燥後、周囲の余白をカミソリで切り取っていきます。文字間はオリーブドラブ色の印刷が残りますが、地の色とほとんど同じなので、目立ちません。
米国籍マークも白ベースで同様な方法で自作しました。これも水分が乾燥後、余白をカミソリで切り取っていきます。
印刷部よりも大きく切り抜いた自作デカールを貼る。
MARINESの4辺の余白を切り取る
完成
白抜き文字間余白は地色のオリーブドラブに近いので地と同化してほとんど目立たないのが写真で判ると思います。気になる場合は、カミソリで丁寧に文字間も切り取って下さい。
こんな手法で自作デカールが作れると プラモ作りのレパートリーが大きく広がります。デカールが使えない、デカールが無いキットも大丈夫。
皆様もぜひ一度お試し下さい。
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