Home  > SIR WINSTON CHURCHILL (今井科学 1/350) > 特集 懐かしきブランド>2019年11月号

特集 懐かしきブランド

SIR WINSTON CHURCHILL (今井科学 1/350)

by 五六式(TYPE-56)



 特集”懐かしきブランド”に合わせて今井科学の帆船模型を作りました。今井科学と言えば,定価50円のマスコットシリーズとか”サンダーバード”,”キャプテンスカーレット”のメカ群とか,マクロスシリーズなど,キャラもののプラモデルをたくさんリリースしていたイメージがありますが,帆船模型や1/72YS11(ハセガワさん,そろそろ覚悟を決めて1/72スケールで出そうよ)などの優れたスケールキットをリリースしていたことも忘れてはなりません。今回は,倉庫の奥深くから新婚当時に購入していた帆船のキットを発掘してきました。

<サー・ウィンストン・チャーチルについて>

 英国STA(Sail Training Association)が,青少年の洋上教育の場としてエジンバラ侯爵をスポンサーとして寄付を募り1964年に建造に着手、1966年に進水した3本マストの美しい帆船。1976年、アメリカ建国200年を記念して大西洋横断帆船レースが開催され,サー・ウィンストン・チャーチルが女性だけの訓練生で参加して話題を集めた。

<キットについて>


 上記の1976年の大西洋横断帆船レース後に,今井科学は,レースに参加した日本丸を含め,多数の帆船のキットをリリースしました。このサー・ウィンストン・チャーチルのキットの初版は,1978年で,今回製作したのは,1981年製の箱のデザイン(箱絵は,イマイ版全てとアオシマ版で共通。それぞれ,元絵からのトリミングの仕方が違うだけ)とパーツ変更をしたものです。今井科学の帆船模型の金型は,青島文化教材社に渡って,ここ10年間で少しずつ再販されています。

※アオシマ版は,洋上模型にするためのパーツが追加されているようです。



 キットには,張り線用の糸や帆を再現する形をつけたプラ板などが付属しています。また,マストに掲げる旗には,その船の所属する国の旗やアメリカ国旗,アメリカ合衆国建国200周年記念の旗があります。このイベントを記念してギブソンやマーチンから記念モデルが出たり,帆船のパレードの様子を描いたジグソーパズルが出たりしたものです・・・しみじみ・・・。

デカールは,購入後30年以上経過していてダメダメになっていましたが,アオシマさんの再販のおかげで部品請求ができました。ホントに感謝です。

<製作>

 実は,若いころ,一度このキットを3日ぐらいで作ったことがあるのですが,今回は,全く完成できる自信がありませんでした。無駄な知識が積もり積もって手を動かすことが億劫になってしまっています。・・・認めたくないものだな,老いゆえの怠惰というものを・・・。

1/350スケールの艦船模型なので,手すりをつけたり,ロープを張りまくったり,ボウスプリツトに網を張ったり,キットでは省略されている船首のドルフィンストライカーをつけたりと様々なディテールアップポイントがあります。が,今回は潔く全てパスしました。

再現性重視なら,ウッディジョーというメーカーから1/75スケールの木製キットが出ているので,無理せずにそちらを製作することをおすすめします。また,某サイトでこのキット(イマイ製の方ね)の超絶的な作例を見つけました(SCALE MATESというサイトで検索)。それはもう,素晴らしすぎて艦船模型を作る意欲がごそっと削りとられるほどのものだったので,五六式は,何も見なかったことにして素組みで作ることにしました。



 同スケールのクリスチャン・ラディック(ノルウェー)との比較。3000t未満の比較的小型の帆船ですが,マストの高さはあまり変わりません。

喫水線上下の部品の継ぎ目は,ぴったりで何の工作も要りません。また,船体と甲板の合わせ目は,少々きつめです。様子を見ながら,少しずつ甲板の裏側を削っていけば,隙間無く接着できます。


船首周りの部品構成が複雑になっています。塗装と組み立ての手順をよく検討しておくことをおすすめします。五六式は,船首の小部品を接着した後,接着跡を消し,塗装を終わらせて甲板を組んだ後,ボウスプリツトを差し込んで接着することにしました。接着剤が固まったり塗料が乾燥したりするのをいちいち待たなければならず日数がかかりますが,急がば回れです。

船首から喫水線にかけてヒケが見られます。処理はしたのですが,ヒケを消し切れていませんでした・・・涙・・・。



 プラ板を熱成形した帆の部品は,合計13枚。シートから切り出した後は,マスキングテープや粘着力が弱めの両面テープを利用して上の写真のようにしておけば管理が簡単です。

古い在庫なのでプラ板が劣化して脆くなっていました。帆の切り出しは,よく切れる刃物で慎重に行います。五六式は,いつも,スコッチのチタンコーティングされているカッターを使っています。通常のカッターに比べ,お値段は,3倍くらいですが,耐久力は,通常の2倍(メーカーによると)で,作業を通常の3倍(体感)の速度で行えます。

何て言っているのに13枚目に部品を折ってしまいました。愕然として対処法を思いつくまで数日,手が止まってしまいました。薄いプラ板で裏打ちして継ぎ,瞬間接着剤やパテで継ぎ目を消して補修部分が不自然に厚くならないようにサンディングして仕上げました。

船体各所の塗り分けは甲板色やグリーンを吹き付けた後,ちまちまと面相筆で塗り分けてはみ出しはリタッチしました。また,船体側面の”SIR WINSTON CHURCHILL”のマーキングは,実物の写真や,1/75スケールの木製キットの完成写真から判断して無い,もしくは,一時的なものと考えられます(このキットの箱絵にすら描かれていません)。アオシマさんに部品請求して手に入れたデカールが・・・とほほ・・・。


 
 説明書には,ロープはピンレールから張るように書いてありますが,写真のように何も取っかかりがないところの場合は,そこから巻き付けて瞬間接着剤で止めておいてからピンレールに向かって張った方が良いです。

<完成>


正直,完成しないかと思っていました。



コンテナや通風筒などは,どうしてもオーバースケールになってしまいます。



ポールが折れてしまって応急処置でつないでいます・・・涙・・・。



説明書の指定より多めにロープを張りましたが,その分,巻き付けたところがごつくなってスケール感を損なうことになりました。アップには耐えられない作品です。


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