石川県立航空プラザ(小松市)に展示されているドルニエDo28A(JA5115)は、日本で唯一拝観できるDo28で、しかも「ヒマラヤ」という愛称まで付いた貴重品です。同機は国連の依頼でネパール奥地の航空写真撮影のために、1962年にドイツから輸入され、阪急航空の所属になりました。そして翌1963年にネパールに派遣されたため「ヒマラヤ」の愛称になりました。その後同機は北海道航空にに移籍し、1996年に博物館入りをしました。それで展示機は北海道航空の塗装になっています。同機の離陸滑走距離は310m、着陸滑走距離は209mというSTOL性能が評価されての、ネパール行きだったと思います。
ドルニエDo28は、同社社の開発したDo27 単発汎用機の成功を受け、Do27を双発化したもので、1959年に初飛行しています。 |
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初期型のA型とB型はDo27を単純に双発化しただけの様子で、前部胴体両脇に支持架を張り出しエンジンを装備するという、1930年代のフランスで流行の形式です。この採用について故佐貫亦男教授は「結論的に
いうと、単発のDo27をあまり大変更せずに双発にしたためとしか考えられない」と『続飛べヒコーキ』(講談社 昭和53年)に記述しています。実用志向の強いドイツ人らしい合理的判断かと。
その後Do28は再設計され、箱形胴体に改め搭載量を増し、大型化したD型が1966年に飛行しました。こちらは「スカイサーバント」の愛称を得て、30ヶ国以上で使用される成功作になりました。
※ 本稿は「続飛べヒコーキ」(佐貫亦男著、講談社 昭和53年)と石川県立航空プラザHPを参照しました。 |