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 E‐7PD(Mig-21PD) (Aモデル 1/72)

  by 加藤 寛之



 E‐7PDじゃあ、何だか分りません。Mig-21PDでは? 型式じゃあワカリマセンね。Mig-21の胴体中央部へ小型ジェットエンジンを前後並びでタテに2本入れたV/STOL研究機です。西側諸国へのデビューは、1967年7月のドモデドボ航空ショー。このショーは豪勢で、V/STOL研究機ではヤコブレフの鮟鱇みたいな「フリーハンド」、フロッガーをデルタ翼にしてV/STOL仕様にしたような「ファイスレス」、フラゴンの改造機、可変後退翼機では後のMig-23やSu-17の原型か初期生産型、それにSu-15やMig-25 の原型機群も披露。とはいえ子供の私が知るはずもなく、しばらく後に古本屋にあった当時の「航空ファン」で知ったのでした。  ところが、さらに今回で分ったことは、Mig-21のV/STOL研究機は胴体中央部にジェットエンジンを入れたので、タイヤを入れる場所がなくなって固定脚ということ。主エンジンへの流入空気は、通常のMig-21よりもさらに外向きに曲げて急に絞ったんじゃあないかと思うので、だいぶ効率が落ちたと思うし、胴体中央部にジェットエンジンを搭載したら燃料はどこに入れたのだろう? 要するにちょっと浮くだけ、というV/STOL研究機から一歩も出ていない飛行機のようで、そのつもりで当時の「航空ファン」「航空情報」を見ると、扱いは軽い紹介程度でした。



 さて、プラモデル。Aモデル製のジェット機プラモと聞いて、震えが止まらない人もいると思う。箱を開けただけではちょっとアマいモールドの普通のプラモデルに見えるけれどもそれは仮面。それらしく完成にたどりつければ成功という製品なのだ。
 V/STOLエンジンは、天地の見えるところだけの造形で、穴が開いている四角い板に入口や出口の造形物をはめ込む。コックピットはコの字型の囲いと椅子、操縦悍、計器盤の全4パーツ。主エンジンも後端のみ4パーツで組む。これに前脚庫や椅子の背部用の穴塞ぎとかも入れて、さらに錘を入れて、各々を何とかそれらしいところに据えて胴体左右を接着する。
私の場合、ジェットの排気部分は後ろから突っ込むようにしたが、結果はちょっと突っ込み不足。まあ問題ナシ。当然だが、胴体左右は事前の擦りあわせやズレ調整は欠かせない。それでもガタガタなので、パテを使ってそれらしく整形する。胴体下面の左右にある細い線状のものは主エンジンから高圧空気を抽出して前に導くパイプらしく、プラモ的には細長い別部品。まあ、ちゃんと接着できる。実機は風防の後ろにつながる整形部分がもうちょっと小さいようだが、もちろん改修などしないでOKとする。そんなこと、私を含めて誰も気にしないと思う。



 主翼もキビシイ。左右各1枚モノなので、プラパーツとしては厚いが、模型としては薄すぎに見える。プラパーツとしては厚いために表面がふわ~~とヒケて歪んでいるから、削って均す。全体が薄すぎに見えるのは許容範囲だが、後縁は厚みが一定せずクニャクニャに見える。これは上下から削って、真っ直ぐっぽくする。
 胴体と主翼の接着は、どうしようかと思うほど合っていない。差込用のベロを切り落とし整形を重ね、接着できるようにする。水平尾翼の取付けはだいぶ良いが、それでも良質なキットを作っている人では卒倒するかもしれない。
 幸いなことに風防は軽い整形で済んだ。もちろん、良質なキットと比べたら不良品の範囲である。主脚の取り付けは、曲芸レベル。脚カバーも動員して固定する。左右バランスが崩れて左が高かったので、タイヤの接地面を切って合わせた。
まあ、そんなこんなで作り進めて形にする。
 塗装だが、「銀で塗ればいいや」と一色でテキトウに塗る。緑もそのヘンにあった色で塗る。説明するようなことはない。左右バランス用の排気口は、翼端下面にあったアンテナ接着用のくぼみを黒に塗って、それっぽくごまかした。




 すっかり塗りあがったこの段階で、どうしても前後バランスのための排気口が気になった。やめればいいのに、ここで『世界の傑作機』を見てしまった。“あれ?前脚も固定だ。キットには扉があるのに…”“この鳥居みたいなもの、これが排気口じゃないの?”。実機はどうやら、前脚を固定して空けた脚庫を使って下向き排気口を付けた「みたい」なのだ。この周辺、キットはデタラメといえる造形だ。 資料を見たからの迷いとはいえ、あまりにも違うのでこの段階で改修した。結果、マズい整形なのだが下面で見えない部分なのでOKとした。これでデカールを数枚貼って完成とした。
 「それらしく完成」したので、これでいいでしょう。ちゃんと“Mig-21の垂直上昇機”に見えます。キットをお持ちの方、ぜひお作りください。コツは資料を見ないことです。


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