Home  >デカール自作第6弾 P47Dサンダーボルト(レベルファイターシリーズ1/72)> プラモデルの製作> 2020年1月号


 デカール自作第6弾
P47Dサンダーボルト(レベルファイターシリーズ1/72)

by口博通 Hiromichi Taguchi



 新年 明けましておめでとうございます。
今回は、雑誌等に掲載されているカラー塗装図を利用してデカールを自作する方法を紹介したいと思います。
 さて、1/72 P47Dサンダーボルトは 最近、ハセガワ、タミヤと作っているので、少年時代に作ったことのあるレベルファイターシリーズのサンダーボルトをもう一度作りたいと思い、探していました。今春に、ヤフオクで見つけ、「思わずポチッとな。」してしまいました。
幸い、キットの程度が良く、箱絵のチェッカーカウリングのデカールも生きていました。
 しかし、製作にかかろうとしたものの、少年時代にチェッカーデカールがうまく貼れず失敗し、当時売り出していたマスキングゾルでマスクしてチェッカーを手塗りしたが技量不足で変な仕上がりとなったトラウマが蘇ります。今時のカルトグラフデカールと違い、当時のチェッカーデカールをうまく貼る技量がこのウン十年でついたとも思えず、思案の結果、あっさりと もっと楽な銀塗装機を探すことにしました。
 



デカール


 下はそのレベルファイターシリーズP-47Dキットの胴体と主翼の部品です。1960年代リリースの古のキットゆえ、表面にびっしりと凸リベットがモールドされています。パネルラインは凸ラインです。カウルフラップも脚など小物類も甘いモールドです。
また、キャノピーは良く知られているように枠のモールドもラフで少し大き目です。
 しかし部品点数は少く、部品の合いに問題はあるものの そこをクリアすれば、組み立てそのものは難しくなさそうで、すぐに形にはなりそうです。

胴体部品


主翼
小物部品とキャノピー

製作

 コクピットは当時のレベルファイターシリーズの標準で、床板とシートが一体にモールドされています。広い胴体なので胴体左右を接着後、下からシートを組み込むことができます。左右胴体は寄る年波で接着部が荒れており、主翼接着後にパテを盛って整形することにします。
主翼下面の後部には隙間が出ないようにプラ板でノリシロを追加しておきます。

胴体とコクピット 主翼下面にプラ板でノリシロを追加

 主翼下面と胴体間に段差ができるので、プラ板をはさんで段差が出来ないようにレベル調整します。
 主翼下面の接着状態が安定したら主翼上面を接着します。この際、上反角が左右で揃うように注意が必要です。


 胴体と主翼を正面から見ると、前縁に隙間ができるので、パテで埋める必要がありそうです。
ラフな主翼機銃はしんちゅうパイプで作り直すこととし、切り取ります。そして主翼前縁、後縁を実機写真をみながら、サンダーボルトらしくなるようにやすりで成形します。



 水平尾翼の昇降舵もモールドが荒れている箇所があるので、マスキングテープで養生しておき、紙やすりできれいに成形します。また、下の写真でわかるように胴体下面の接着部はパテを盛って成形しています。
この際に消えた凸リベットは サフェーサーを吹いた後で、針で斜めから突いて少し盛り上げ再生します。


塗装とデカールの自作

 最近のモデルアート飛行機スペシャルNo.18 P-47特集号(2017年7月号)を見ると、70ページのカラー塗装図にイタリア戦線の79FG/87FSの派手な黄色の3本のライトニングを記入した機体(機番56X)が掲載されています。しかし、垂直尾翼にFINがある機体なので、FIN追加の改造が必要となります。
手元の資料ファイルの中に同じ黄色の3本のライトニングを記入した機体の塗装図がありました。下がそれです。この塗装だと機体を改造する必要も無いので、これを利用することにしました。
 昔、1970年代の航空ファンに郡是レベル提供のカラー塗装図が掲載されていました。それらを見ながら、「こんな塗装にしたいな」と憬れた記憶を皆様もお持ちかもしれません。雑誌を廃棄するときには、そんな思いを忘れ難く、「いつの日にか」とそのページを切り取って大切にファイルしてあります。

ヨーロッパで活躍した79FG/87FSのカラー塗装図



機体塗装

 一度、サフェーサーを吹いてから、全面を Mrカラープレビアスシルバー(旧色8番シルバー)を吹きます。
マスキングして 上面のアンチグレアを No.54カーキグリーン、尾翼と機首カウリング下面をNo.34スカイブルーで塗り分けました。




デカールの自作

 デカール自作の手順は9月号のカワサキ ヒューズ H-500(タミヤ 1/48) とほぼ同様です。
(画像加工ソフトについては、9月号のカワサキ ヒューズ H-500(タミヤ 1/48) を参照下さい)

1)まず、スキャナーで「カラー塗装図」を取り込んで上のようにデータ化します。スキャナーの最も高い解像度(筆者の使っているスキャナーでは1200dpi)でスキャンしておきます。
2)次に画像加工ソフトで 必要とする部分のデータを作って行きます。
機番19の黒文字は透明ベースのデカール用紙で作成することにします。
 具体的には下のデータの19文字以外のデカール余白部を「ペイントカン」ツールでホワイトに塗ります。(画像上でホワイトの領域がプリンターでは印刷されないので透明色となる。)
黒線のパネルラインも「筆」ツールでホワイトに塗りつぶします。そうすると必要な黒文字機体番号19が出来上がります。

スキャナーでデータ化した機番19
画像加工で完成した黒文字

3)当初、イエローの電光マークも「透明ベース」で作ったのですが、青く塗った垂直尾翼の上に貼ると見事にグリーンになってしまいました。
 それで、電光マークは「ホワイトベース」で分けて作り直すことにしました。ただ そうすると、デカールを貼った後で、印刷したイエローの電光マーク以外の白部分をカッターナイフで切り取ることになります。
 スキャナーで取り込んだ尾翼電光マークの画像から 上と同様に電光マークを作って行きます。ここでピンポーンと閃きが。
イエローの電光マーク以外の部分ですが、尾翼の下地はスカイブルーですから、切り抜きが楽なようにスカイブルーに似た色をカラーパレットから選び塗り潰しました。(白の余白が残るよりも同色ブルーの余白の方が目立ちません。)
 電光のイエロー色は取り込んだ画像は網点印刷になっているので、画像加工ソフトのカラーパレットからカラー図に似たイエロー色を選び、「ペイントカン」ツールで塗りつぶしておきます。電光マークの下側にグリーンのシャドーが入っていますので、それも「エンピツツール」で再現しておきます。
 また、左右対称のマークが必要なので、対称パターンも180度裏返しコピペで作製します。

スキャナーで取り込んだ尾翼電光マークの画像

作製した電光マーク


4)次に印刷のためにドローソフトに 先ほど作った画像を取り込み、取り込んだ画像を拡大縮小して 印刷できるようにします。
(ドローソフトについては、9月号のカワサキ ヒューズ H-500(タミヤ 1/48) を参照下さい。また、拡大縮小の具体的な計算方法は、12月号のハセガワ飛燕を参照下さい。)
さて、カラー塗装図を利用したドローソフトにとりこんだ画像の拡大縮小の具体的な方法ですが 古いプラモデルは縮尺が必ずしも正確といえないので、現物合わせが最適です。
 カラー図の垂直尾翼根本の寸法を定規で測ります。それがレベル1/72モデルの現物をノギスで測った寸法の1.1倍でしたので、印刷時に 1/1.1に縮小して印刷することにしました。


5)そして、このドローソフトからインクジェットプリンターでデカール用紙に印刷します。
家庭用インクジェットプリンターで印刷できる自作デカール専用用紙が売られています。
・透明ベース(HIQPARTS 製品名 INKJ-T04CL-05 880 A4サイズ 5枚入り950円)
・ホワイトベース(HIQPARTS 製品名 INKJ-T05WB A4サイズ 5枚入り950円 )
*模型店、HIQPARTSメーカーホームページもしくはアマゾンで買えます。
(6) 水に溶けるインクジェットなので、印刷後、「クリアーコーティング」が必ず必要となります。
デカール用紙の注意事項を良く読んで、2日くらいプリンターインクをしっかり乾燥させた後に 模型用ラッカークリアー「GSIクレオス「スーパークリア」、ガイアカラー「EXクリア」)などをエアブラシで注意深く吹き付けます。完成した自作デカールは 切り抜いて、水につければ、普通のキットデカールと同じように使用可能となります。

透明ベースに印刷したデカール


ホワイトベースに印刷したデカール


 上のP-47D塗装例では 主翼上面の国籍マークが普通サイズ、下面がオーバーサイズなので、1/72タミヤのP47Dから流用すると良いでしょう。

 筆者はあいにく既に使ってしまっていたので、デカールの保存データ(最近はキットを購入したらスキャナーでデカールのデータを採取し、保存しています。こうしておくと、万一 デカール貼り時に失敗しても 保存データから必要なデカール部分を新造すれば良いので気が楽になります。)から 同時にホワイトベースに国籍マークを作製しました。


完成

 1960年代リリースのレベルファイターシリーズの1機なので 脚やプロペラ、キャノピーのラフさはそれなりですが、しっかりとP-47Dに見えます。なによりも 機体全面のごつごつとした凸リベットモールドが魅力的です。それがこのキットの良さといえましょう。
 皆様も雑誌や資料本などでカラー塗装図を見て、「この塗装で作りたい」と思うことも多いと思います。別売りデカールが売っていなければあきらめてしまう所も、デカール自作を自分で気軽に出来るようになれば、世界が広がります。あきらめていた憧れのマーキングも手中に「完成」の可能性が見えてきますので、令和2年の初トライをお奨めします。







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