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誌上個展

<スター・ウォーズの世界 Vol.9>

by Windy Wing 2013

 最終回は帝国軍の全地上用偵察歩行兵器AT-STをご紹介いたします。

<mpc 1/55 AT-ST>



  帝国軍の地上攻撃の主力が全地上用装甲歩行兵器AT-ATであることは論を待たないが、その強力な火力と表裏をなすこの車輌特有の弱点については以前にも本稿において縷々解説した。軍担当局もこのAT-ATの持つ特攻兵器的な側面の回避には一定の配慮を示しており、前線展開においては常に複数の威力偵察小隊を配する部隊編成を旨としている。



 そして、その支援僚機となるのが全地上用偵察歩行兵器AT-STと呼ばれる本機である。この直線を基調とした外見からも容易に想像されるように、本機はなにより安価な大量生産を前提に設計されており、軽量化のために乗員保護が軽視されている点では、後世の海軍レシプロ戦闘機を彷彿とさせる。また、オートバランス・ジャイロなどの制御系統にも簡易な機構が多用され、これらの弊害として、木材の衝突だけで外板が毀損したり、不整路面において簡単に転倒したりするなど、前線兵士の間でのその評判は必ずしも高くはない。



 このクローンをクローンとも思わぬ非人道的兵器も、しかしながら、本機の機動性をもってAT-ATと連携運用された状況下ではその特性が最大限に発揮される。すなわち、まず本機が前線を強行突破し、小機銃で敵先鋒を分散させつつ後退、これにより突出してきた敵本隊を後衛のAT-ATが殲滅する、という勝利の方程式はここに確立する。さらに、いかに軽装甲車輌とはいえ、区域の暴徒鎮圧や艦艇甲板の警備などには充分以上の装備であるがゆえに、本機は反共和国系の全時代を通して小改良を加えられながら重用され続けており、現在ではその派生形の全容把握は極めて困難となっている。

<mpc 1/55 AT-ST/BB-8ドライブ>



 ただ汎用性を優先するあまり、前述の諸点に加えて、基本OSのサブルーチンなどがあまりに貧素で、ハッキングやウイルスに対して著しく脆弱な点については半ば確信犯的に改修されなかったようである。その一例として、反乱軍によるメガ級スター・デストロイヤーの破砕攻撃に際して、本機の一台がいとも簡単にBBユニット・ドロイドの制御下に組み入れられ、ために敵兵士2名の脱走を許した挿話はなお記憶に新しい。



 もっとも本映像については、大猿よりも胴回りの太いこのドロイドがどのようにして本機の狭いハッチから車輌内部に侵入したか、など、不明の点も多く、これを反乱軍による戦意高揚のための合成CGである、とする説もいまだ根強い。


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