Home  > タミヤのミニジェット機シリーズ> 特集 タミヤの航空機プラモデル>2020年4月号

特集 タミヤの航空機プラモデル

タミヤのミニジェット機シリーズ

by 五六式(TYPE-56)



 今回は,”タミヤの航空機プラモデル”の特集に合わせて, 手持ちのミニジェット機シリーズについてまとめてみました。最初の写真は,記念すべきシリーズ第1作のMIG-19です。

<タミヤの ミニジェット機シリーズの思い出>

 1968年の春,突然,印象的な箱絵のジェット機のプラモデルが5種(MIG-19,A-7A,A-4E,ライトニング,ミラージュⅢ),全国の模型店に並んだ。タミヤの ミニジェット機シリーズのデビューである。何が印象的かって,箱絵の色が,ライトニングは青,ミラージュは緑とそれぞれテーマカラーを持っていて(色鉛筆が12色の時代である。子供心にこれは長く続かんなと思った。),さっぱり実機の色を知る参考にならなかったのである・・・ははは・・・。これはこれで,子ども達の想像力を刺激する素晴らしいものだったのだけれど,正直,さっぱり参考にはならなんだ。

 今まで国産のキットに無かった機種を含む,小さいのに精密な飛行機のプラモデルが,例の三角のスタンドと,黒色のプラスチックで成形されたウェポンが多数付属で,5種類も定価100円で買えるのだから,五六式もそりゃあ喜んだョ。

 でも,きちんと組んで塗装するには,なかなかハードルが高かったことも事実。隙間やがたがあるのは,パテが普及していなかったから仕方がないし,キャノピーの枠なんて塗れないし,白いサイドワインダーが黒で成形されているので何度塗装しても白くならないし,明らかに小学生の塗装スキルではどうにもならないマーキングがあるし,・・・おまけに,ガルグレーってどんな色?

 いろいろ,楽しかったり苦しかったりする思い出を作ってくれたミニジェット機シリーズも,全28種のうち,現行品はわずかに10種である。パンナムのV-107Ⅱとかスカイクレーンとか,ブリティッシュファントムとか,もう一度手にしてみたいのだけれども,きっと,在庫と苦労を背負い込むだけになるんだろうな・・・。

<キットについて>
現在手許にあるキットの概略を紹介します。


●MIG-19
ミニジェット機シリーズNo.1(初版1968)コンバットプレーンシリーズNo.9

 ソ連で生産された中で最後期のMIG-19PMを再現しています。
過去2回チャレンジしたけれど,なぜか完成しません。コンバットプレーンになってから,金型改修があったようで,組みやすくなっています。また,コンバットプレーン版は,ミサイルがグレーで成形されており,塗装が楽です。


●A-7A コルセアⅡ
ミニジェット機シリーズNo.2(初版1968)コンバットプレーンシリーズNo.7

 例の三角のスタンドが無いとエアブレーキが開けません。ガルグレーってどんな色か想像もつかなかったので悩みました。爆弾がどっさり付いている豪華キットが100円とは・・・!


●A-4E スカイホーク
ミニジェット機シリーズNo.3(初版1968)

 空気取り入れ口が,何か,箱絵と違う・・・初期のB,C型と後期のE型の特徴が入り交じっています。オーストラリア海軍のマークが可愛いです。ミニジェット機シリーズの箱絵の中でこの絵が一番好きです。



●ライトニング F.Mk.6
ミニジェット機シリーズNo.2(初版1968)コンバットプレーンシリーズNo.8

 当時,最初にリリースされた5種のうち,このキットが一番高く評価されていたようです。主翼の上の燃料タンクにはびっくりさせられました。ぷっくり膨らんだおなかのストライプや主翼のウォークウェイを塗装で再現せよという無茶振りをするキットです。

ベンホビー版では,迷彩塗装の機体のデカールが付いています。


●ミラージュⅢC
ミニジェット機シリーズNo.5(初版1968)コンバットプレーンシリーズNo.3

 並み以下の実力しか無い五六式には,空気取り入れ口のペイントなんてどう考えても描き込めそうにありません(小学生のときに,果敢に挑んで砕け散りました。おまけに,赤いマーキングは燃料タンク×2にもあるんだぜ?)。おまけに,排気口から突き出ている2本の棒は何じゃいな?ミニジェット機シリーズの中で最も完成に遠いキットの1つです。(個人の感想です。)


●J-35F ドラケン
ミニジェット機シリーズNo.6(初版1968)

 発売当時,AIRFIXの1/72と比べて明らかに勝っていると思いました。内翼と外翼の継ぎ目にできる隙間と段差に悩まされる悪魔のキット。


●G-91 /R1/R4
ミニジェット機シリーズNo.7(初版1968)コンバットプレーンシリーズNo.10

 五六式は,このキットでコンバーチブルキットというものを知りました。

フレッチェトリコローリ(三色の矢・・・サンフレッチェやね・・・。)の青が当時のプラモ用の塗料に無かったので悩みました。そして,主翼の三色の塗り分けで玉砕(当時,マスキングテープは入手できず,セロテープでマスキングするしか無かった)。

前脚などに金型のずれのために段差ができていたそうですが,フレッチェトリコローリの機体なら,飛行姿勢だろうということで気づきませんでした。ついでに,それなら,パイロットが必要だろうということにも気づきませんでした。この段差は,コンバットプレーン版では,改善されているとのことです。でも,”FRECCE TROCOLORI”の最後の”I”がデカールでは抜けているという不具合は未だに改善されていません。これが本当の”I”(愛)が足りないやぁ〜。


●F-104J/G
ミニジェット機シリーズNo.8(初版1969)

 ドラケンやG-91まで出ているのに,当時の自衛隊の主力戦闘機が未だにキット化されていないというタミヤさんの営業のじらしのテクニックで当時のモデラーを悶絶させました。

ついでに,エアインテークがきちんと組めないという不具合で当時のモデラーがまたまた悶絶・・・。 


●MIG-21
ミニジェット機シリーズNo.9(初版1969)コンバットプレーンシリーズNo.2

 F-104J発売と同時に発売。当時,ハセガワの1/72とあまりに形が違うので愕然としました。ハセガワのは,第1世代の型,タミヤのは,第2世代の型なので当たり前のことだったのですが。 


●UH-1B イロコイス
ミニジェット機シリーズNo.10(初版1969)

 組み立て説明書が不親切で何回も組み立てては失敗してキットをいくつか潰さないと完成に至りませんでした。

自衛隊機にするためには,蛍光オレンジで塗装しなければなりません。中学生のときには売っていなかったで,白を混ぜて塗ることにしました。オリーブドラブの上に塗装するとうまく発色しなくてついに完成しませんでした。

後に,ブラジルタミヤ版を再び入手。プラスチックが堅くて,苦闘しながらも完成させました。 


●AJ-37 ビゲン
ミニジェット機シリーズNo.11(初版1969)

 ハセガワの1/72と同じく,原型機をキット化。実戦配備されるまで待てなかったのかい?

カナードの取り付けが簡単になるように,左右一体の部品で設計されていましたが,発売当時,その取り付けに苦労したような記憶があります。あと,その部品の塗装にも苦労した記憶があります。 


●A-6A イントルーダー
ミニジェット機シリーズNo.12(初版1969)コンバットプレーンシリーズNo.6

 後部胴体の断面形が角ばりすぎているという風評を真に受けて初版を買いませんでした。組み立てにくいのは,キットのせいと言うよりも,そもそも,イントルーダーがそういう形状をしているせいだと思います。現行キットなので暇になったらチャレンジしたいと思っています。失敗しても,それは,イントルーダーがそういう形だからです・・・きっと・・・。 


●Iℓ--28
ミニジェット機シリーズNo15(初版1970)コンバットプレーンシリーズNo.1

 主翼つけ根やエンジンポッドとの接続部に隙間ができます。エンジンポッドも筒抜け・・・。今まで完成させた人のレビューを見ると,きちんと完成させるのが一番難しいキットの1つみたいです。

フィンランド萌えの人には,デカールが付いているのでおすすめです。 


  ●V-107Ⅱ(軍用型)
ミニジェット機シリーズNo18(初版1971)

 後から,パンナム機のデカールが付いた民間型のキットもリリースされています。組み立てにくいという評判ですが,まだ手をつけていません。箱絵は,すごくいいです。惚れ惚れしますよ・・・。


●バッカニア S.Mk.2
ミニジェット機シリーズNo.21(初版1971)

 爆弾倉の扉を閉じようとしたら,隙間がたくさんできて組み立てが中断してしまいました。現在,箱ごと行方不明です。・・・さては,消されたか?

組み立てにくいのは,キットのせいと言うよりも,そもそも,バッカニアがそういう形状をしているせいだと思います。

・・・見せてもらおうか・・・AIRFIXの新キットの実力とやらを・・・!


●F-86Fセイバー&MIG-15
ミニジェット機シリーズNo.22(初版1971)

 2機セットで販売されています。MIG-15の胴体内部が筒抜けになっていることと,前脚周りの形状がおかしいこと,セイバーの主脚庫の内部ががらんどうになっていることが気になります。

このキット機は,付属しているスタンドを使って空戦をイメージしたディスプレイができることが肝なので,脚周りの不都合は,飛行姿勢で組めば全く問題になりません。ミニジェット機シリーズには希な,パイロットの部品が付属しているキットなのも,飛行姿勢にせよというタミヤさんの意思の表れなのでしょう


●Me262A&Me163B
ミニジェット機シリーズNo.23(初版1972)コンバットプレーンシリーズNo.4

 No.22に続いてこのキットも2機セットです。そうしなければ,Me163のキット(ミニロケットですが・・・。)の発売なんて実現しなかったでしょう。家でお宝キットとして眠っていたのでこれ以上のコメントはこらえてください。


●F-105D サンダーチーフ
ミニジェット機シリーズNo.26(初版1972)

 No.27とNo.28がこれまでのキットの仕様変更なので実質的にこのキットがミニジェット機シリーズの最終キットとなっています。このころになると,ミニジェット機シリーズのキットの数が出なくなっていたので初版を購入することができませんでした。

ベトナム迷彩が面倒なので倉庫で眠っていました。


●F-4EJ ファントムⅡ
ミニジェット機シリーズNo.28(初版1983)コンバットプレーンシリーズNo.5

 F-4Eのキットは,1969年に出ていて,EJ版を出すにあたり,バルカン砲の形状を自衛隊機仕様にするために金型改修を行っています。タミヤさんは,1969年の自衛隊機としての導入決定以来,実に14年間ほったらかしという・・・じらしもここに極まれリです。

F-4Eのキット発売当時は,ブリティッシュファントムのキットもあって,これらを組み合わせたり改修したりしてファントムを100機作ったお医者さんがいましたョ。

<おわりに>
 倉庫にはまだ,SH-3とか,V-107Ⅱ(民間型)とか,B-52とかが眠っていて,発見され,製作されるのを待っています。果たして,彼らの夢は叶うのでしょうか・・・?

 私たちモデラーに夢や苦労を与えてくれたミニジェット機シリーズですが,コンバットプレーンシリーズとしてカタログ上に留まっているのは,10種のみです。箱が若干大きくなっており,例のスタンドは付属せず,バランスを取るためのおもりが付属しています。目に見える仕様変更は,それぐらいですが,金型のずれの修正やダボの位置の調整をしているキットもあって初版よりも組みやすくなっています。また,現行キットのデカールは,色ずれも無く,非常に貼りやすくなっています。ここのところは高く評価したいし,モデラーのみなさんに広く知っていただきたいところです。

 しかし,デカールは,品質以外は,アップデートされておらず,残念です。コーションマークが全部入っていなくてもかまいません。完成が遠ざかるだけだから。デカールをアップデートして手書きを強いられるライトニングのウォークウェイやミラージュの赤いマーキングなどをデカールで再現できたら,キット完成の難易度はかなり下がるでしょう。タミヤさん、ぜひ,デカールの改訂をおねがいします。きっと,商品としての価値も上がると思いますよ。



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