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誌上個展

<日本航空史> アブロ504K練習機の色

  by 加藤 寛之
プラモデル コラム

 前回に予告した、「どっちでもいいや」と思われそうな話をしたい。大正8年、陸軍の招きでフランスから総勢61名のフォール大佐一行が航空指導に来日したときに輸入した練習機の一種に、アブロ504K練習機がある。いかにも知っていそうな書き出しだが、「504K」だけでなく「504L」とかもあって、陸上機タイプや水上機タイプ、ペラも2枚だったり4枚だったり、エンジンは似たようで違ったりと、私にはよく分らない。

 さて、1989年発行のモデルアート社『日本航空機辞典(上巻)』p.31 に掲載の同機の解説文を見ると、そこに塗装説明があり、「写真の陸軍輸入機は、一面濃紺または濃緑で、・・・」とある。
 これを読んだときに「濃紺または濃緑って、何?」と思った。「2種類あるの?」「どちらか分らない、ってこと?」「でも、濃紺か濃緑だって分っているってことだよね・・・」。
何でこんな書き方なのか、謎の記述だった。

アブロ504 紺色


 このヒミツが読み解けたのは、アブロ504の彩色絵葉書を入手したときだった。以前に書いたように、彩色絵葉書はモノクロ写真に色版を作って刷り重ねることでカラー写真のような出来にしたものだから、その色にはブレがある。アブロ504K練習機の彩色絵葉書の場合、入手した多くは濃紺の機体色なのだが、1枚だけ濃緑といえるものがあるのだ。 その後にこれとは別に、オリーブドラブのような色の絵葉書があることも分かった。「おそらく」だが、この解説文は彩色絵葉書を根拠にしているのではないか?解説文の証拠がこれではないのか!? だからどうなんだ、といわれると困るのだが。

アブロ504 緑色


 サブタイプによる差異はわからないが、アブロ504のプラモデルは、72サイズがエアフィックスにあって、48サイズもパイロから発売されていたという。曖昧な記憶だが、48サイズでSUMERだったかKPだったか、どこかからも発売されていたと思う。きっとパイロの金型だろう。これを使って日本輸入機を作るとなると、濃紺または濃緑の記述が問題になる。ないかと推定できたことが重要なのだ。 多数派に思える濃紺にするのか、でもホントは濃緑なのか、あるいは濃紺と濃緑の中間の色なのか、濃紺の機体もあり濃緑の機体もあったのか。それは日本の輸入機だけにあったことなのか、あるいは再現した人が見た実機の状態の差なのか、再現した人の技量の問題なのか。結局、分らない状態が一歩進んで、また分らないだけのことだ。
 私としては濃紺か濃緑かでなく、この解説文は彩色絵葉書を根拠にしているのではないかと推定できたことが重要なのだ。

ファルマン F-50


 さて、オマケ。「60年前の幻機 ニュー・ポール破損機発見記録」『航空技術』1987年5月号の筆者の田中氏その人だと思うのだが、“陸軍丁式一型爆撃機(ファルマンF-50)の色について実機を知っている人が「いやな色だった」と教えてくれた”というようなことを私に教えてくれた。
 では、「いやな色」って、どんな色なのだろう。


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