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イリューシンIL-2 シュトルモビク (タミヤ 1/72)
by
Windy Wing 2013
今回はタミヤのウォーバード・シリーズから<イリューシンIL-2 シュトルモビク>をご紹介いたします。
大戦初期にすでに次世代のSB2Cヘルダイバー並みのスペックでロシア平原を飛び回っていた本機ですが、効率の悪い発動機に重装甲機体を載せて、主翼ばかりが巨大に見えるアンバランスなその外観からは航空機を陸上部隊の支援兵器としてしか発想しない大陸的なお国柄がよく伺えます。
そしてこの機体が革新的な技術開発も受けないままに終戦まで延々と製造され続け、その結果として生まれた軍用機生産数の世界記録は、例えば、我が国で大戦を通じて36,000余機もの九九式襲撃機を作り続けたかのごとき「数多きがゆえに貴からず」のひとり横綱でありましょう。
このIL-2を1/72でキット化したタミヤのウォーバード・シリーズ第81弾はアイテム的には一瞬、イタレリのOEMかと錯覚してしまいますが、これも間違いなくタミヤ純系のオリジナル金型で、先に発売された1/48モデルのスケール・ダウン版です。
したがってこのキットもなにとて非の打ちどころのないタミヤ・スタンダードの逸品であり、その完璧なモデラー目線で設計されたパーツ群は、スケールにベスト・マッチした造型と内部表現、ランナー・ゲートの位置、そして各部品の接合精度、など、どこをとっても、毎度の「何もすることがなくてつまらん」というゼイタクな不満しか遺しません。
それでも無理矢理に欠点を探すとするならば、いかに1/48からのスケール・ダウンとは言え、完成後まったく見えなくなる胴体内ダクトや燃料タンクなどは「ボクたちはここまで実機調査したんだ」というタミヤの自己満足パーツでしかなく、モデラーとしてはこういう自慢話は潔く省略していただいて、代わりに魚雷の一発でも付けてもらった方がどれほどうれしかっただろうかと思うのです。
また、主脚柱は強度的にも最終工程での取り付けが充分に可能な構造であるにもかかわらず、なぜか脚前部バルジと同時に組み込まなければならない構成になっているのは、他のユーザーフレンドリーなパーツ群の中にあって、いささか違和感を覚えざるをえません。
タミヤが1/48で本機をリリースする、とアナウンスされた当時、同社の年に1回あるかないかの貴重な新金型製品を、なぜ、わざわざ、アキュレイト・ミニチュアの優れたキットが存在するこのマイナー・アイテムに被せてくるか、と憤慨したものでした。
だから今、こうしてスケール・ダウンされた本機をPe-2と並べてニコニコしている自分がとても嫌いです。SB-2もよろしく。
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