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特集 アメリカ現用空軍機

 F-16CJ 在欧米空軍 第52戦闘航空団司令官機(仮)
 2011年ドイツ シュパンダーレム基地 (タミヤ1/72)

  by 寿



 ちょっと前までの現用アメリカ空軍と言えばF15、そして脇を固めるF16でありました。現在でも数の上ではそんな感じなんだけれど世間のイメージはそうじゃないよね。以前は映画やらTVやらアニメやらで露出も多かったけれど最近はあんまり見ない感じです。 昨今ではF22とかF35とか見栄えのあるヒコーキに押されてF15ですらもすっかり影が薄く為っちゃった。少し前までは最強無敵戦闘機の名を欲しいままにしていたのにねぇ。



 F16などに至っては「そう言えばそういうヒコーキも居たな」的な塩対応でなんとも寂しい限りです。世間の興味とは移ろい易いものじゃのう。ヒコーキファンやモデラーにしてみればむしろF22やF35の方がマイノリティのような気がするんだけどなぁ。 大切なのは個人の思い入れで性能や目立ち度が興味の対象となるとは限らないのであります。まぁ時間が経てば徐々に入れ替わってゆくんだろうし、そもそも戦闘機の種類を言い当てられる人間の方が少数派なのかも知れないけれど。



 そんな訳で今も米空軍の重要な一翼を担うF16。ハイ・ローミックスで質のF15に数のF16と役割当て振られ廉価ヒコーキとして生まれたんだけれどどうしてどうして。今では世界各国に輸出されてそれぞれの国で主力張っちゃってる。安くて高品質なものが市場を席巻するのは自明の理といったところですか。今だに最新型が作られてアップデートが繰り返された挙げ句、ステルスとレーダーとネットワーク能力以外はむしろをF35を凌いじゃってる有様です。米空軍の中でも「ステルス性能は本当に必要なのか」とF35の大量配備に疑問を投げ掛けてる者も少なくないのだとか。F22に比べれば安いとは言えF35が「お安い物件」とは言えないからねえ。ステルス性能維持の為整備だって既存機以上の手間暇掛かるって言うし。

 電子性能を上げるだけで将来戦闘に対応出来るっていうのなら後はプラットフォームだけの問題で、ステルスに拘らなければ既存機のアップデートで事足りるって話になっちゃう。もっと話を進めれば前面に出すのはネットワークに連結した無人機だけで良くって有人機がレーダーに引っかかりそうな場面へ出張る必要もないという理屈に。
 あれっ、F22やF35って要らなくね?まぁ偵察なら兎も角本格的な戦闘に無人機を主力とするってのはまだまだ先の話だろうから今すぐってことは無さそうだけど。



 最近はドッグファイトだってミサイルまかせだしそもそも格闘戦が成立すること自体「イレギュラー」らしいです。昨今の現場では戦闘機同士のガンファイトは過去の遺物みたい。実際イギリス空軍ではユーロファイターから機関砲を外そうとしているみたいだし。
 それでもステルス機同士だったら遠距離で発見するのは困難でそうなると近距離での戦闘に為るしドッグファイトにもつれ込む展開は増えるんじゃない?そんな具合に我々トーシロやモデラーは夢想したくなるもんだけど実際はどうなんでしょ。そもそも遠距離で見つからないのなら格闘戦どころかお互い出会わないかもね。



 F16は低高度から中高度域での運動性に抜きんでていて、演習ではF22すら幾度となく屠っていると聞きますから純粋なヒコーキとしての性能は現状でもトップレベルと考えていいかも(あくまで格闘戦レベルでの話でF22がベクタードノズルを使いAOA限界領域を越えた機動直後を付け込まれたみたい。いくら非常識な運動性を持っていても激しい機動で速度がスッカラカンになっちゃえばいわゆる「死んだアヒル」状態になっちゃいますので)。 細かい性能つつけば粗は出て来るけど導入コストや維持管理を考えれば目を瞑れる範疇。買えない物件を指咥えて眺めるよりはそこそこのブツを数揃えた方が遙かに有益です。そもそもF15やF22は金に糸目を付けず「全領域無敵」を目指した戦闘機だしね。F35ですら「高い」という理由から一部キャンセルしている国もあるくらいだしまさに「安さは正義」ってところでしょうか。まぁ日本のF2は「いろいろあって」決して安い買い物じゃなかったけれどね。



 こう書くと「F2はF16のバリエーションじゃねえ」って反論があったりしますけど成り立ちから設計まで何処をどうつついても日本で魔改造したF16ですよ。翼面積だってアジャイルファルコンにクリソツでジェネラルダイナミックスが提案したデータが流用されたんじゃないかしらんなんて邪推まで働いちゃう。。 似たような経緯のイギリス版F4がブリティッシュファントムならF2はジャパニッシュファルコンになるのかも(あるいはニッポーズか?)



 F16はいいヒコーキだよ。なんでF2と比べた途端ムキになっちゃう人が出て来るかなぁ。気持ちは分からなくもないけれど。
 そんな訳で世界中に繁殖しまくったF16。いまや名機と呼ぶに相応しいヒコーキでつい最近も「新型機」の計画が発表されました。まだまだ当分は現役で頑張ってくれそうです。

製作の詳細

(写真1)コクピットを塗ってしまえば後はパーツを切り出して貼り付けるだけ。箱開けて此所までくるのに半日もかかんない。小一時間もあれば充分。すり合わせもほぼ不要だしパテも不要。流石はタミヤ、魔法のようじゃ。

(写真2) でも道のりが長いのはここからなのよ。まずはインテークの奧を黒く塗るところから。


(写真3) インテーク内を白く塗ってその塗料と接着剤が乾くまでの間に下塗り開始。ニュートラルグレーでだだーっと下塗りです。最初は塗料で繊細なモールドが埋まるんじゃないかしらんと心配だったけど杞憂でした。繊細だけど思いの他に深くてパテくらいじゃないと消えることはありません。タミヤの技術すげー。そして完成するまでにこの台詞を何度口にした事か。



(写真4) 合いが良くって精度も高くて組みやすくしかもプロポーションも文句なし、値段もお手頃でおまけにパイロットまで入ってるというまさにパーペキなキット。にも拘わらずこの状態に来るまでに四年を費やしてしまいました。何故って?そりゃ簡単、放置プレイかましてたからです。
「モチベーションが上がるまで其処まで時間がかかったのか」とか思う人が居るのかも知れないけれどそれは買いかぶり過ぎってもんだ。作ってる最中にちょびっと他の機体に浮気して「すぐに再開するだらう」と軽~い気持ちで箱にしまったらそのまま忘れてしまっていたという悶絶キョーフのこの事実。今回の特集がなかったら未だ箱の中で沈黙を保っていたであろうことは想像に難くなく「忘レ去ラレタ発掘兵器斯クシテ現世ニ顕現セリ」てな感じです。自分で仕込んでおきながら発見したときにはちょっとしたサプライズだったからね。「らっき~」とか言って。
 うん・・・・まぁなんちゅうか、すまんかったのう。
 取り敢えず塗料や接着剤はこれ以上ないくらい乾いているので(乾いてなかったら逆に恐いよ)シート塗ってマスキングゾルでキャノピーを仮接着していつものごとくラッカーの赤褐色でスミ入れを開始。「此所があなたの新しい出発点です」てなナレーションが似合いそう。でもこのキットが口をきけたら「ざけんなボケ」って言うだろな。


(写真5) 下面色を塗った後にそのままとって返して機首まわりや垂直尾翼、そして翼端も同じ色で塗る。指定色だと他の色味になってるけれど実機写真を見てもあんまり変わらない印象なのでまぁいいかな、と。わたくし寿と致しましてはカラーチャートよりも見た感じや直感の方がより優先します。どーせ使ってる内に太陽光線やら油やら埃やら排気汚れやらで新品とはほど遠くなって行く訳ですし模型は模型であって実機じゃないですからね。作ってる本人が好き勝手できるからこその趣味でまたそれこそが醍醐味でもあるのよ。



(写真6) 裏面はこんな感じで。濃淡少ないので細かいモールドがよ~く見える。まるでタミヤのヨンパチ版をそのまま凝縮した印象で他社の古いヨンパチキットなど容易くこれに負けてる感じです(当然此所でも「タミヤすげ~」と連呼することに)。


(写真7) 濃いグレー部分とレドームを塗った後に此所で一先ずトップコートを吹いちゃう。この後にエナメルのブラウンでスミ入れするんだけど薄目に塗った上塗りがエナメルシンナーで落ちちゃうのを防ぐ訳ですね。完全なグロスクリアでもいいんだけれどセミグロスの方がスミ入れが残りやすいし、完全なツヤ消しだとモールド以外の部分にも残って落とすのがタイヘンなのでこのような選択に。でもこの辺りは個人の趣味じゃね。

(写真8) 細かい部分のエナメル落としはエナメルシンナーを筆先に塗ってちまちまと。広い面積ならいざ知らず細部なら綿棒よりもこのほうが落とし加減をコントロールし易くて楽なのよ。




(写真9) アムラームやサイドワインダーはキットに入っているんだけれどドロップタンク本体やミサイルステーションのパイロンが同梱されておりません。なんてこったい天は我を見放したもうた!ぢゃなくて買ったキットが廉価バージョンだったから。フルセットの方は千円ほどお高かったから思わず敬遠しちゃったのよ。そんな訳でセンタータンクとセンターパイロンはハセガワのF16から。ミサイル用のパイロンはやはりハセガワのウエポンセットからそれぞれパクってきてます。



(写真10) エナメルでスミ入れを済ませた後はデカールをぺたぺたと。胴体に貼られたおねえちゃんはいつもの発作とお心得下さい。あんまり深く考えちゃダメ。
 出所は毎度のことながらモデルカステンのノーズアートクイーンシリーズから。この機体はドイツ在住ということなのでチョイスするのは葉巻を咥えた「SMOKIN QUEEN」に決定。ドイツにゃ愛煙家が多いって聞いたしね。




(写真11) 脚庫は何かと入り組んでるもんだから位置決め確認しながら接着を。まぁインスト通りに事を進めれば何にも問題無いから気を付けるのははみ出した接着剤を拭き取るくらいかな。



(写真12) ちまちました小物パーツを付けて細部を塗ったら完成。今回はちょっとキャノピー開けてみました。別にコクピットに手を入れて見せびらかしたかった訳じゃなくって(敢えて言えばパーツを無くしちゃったからHUDを作ったくらい?)開けた方が表情変わっていいかなーという単純な理由からです。だってこの機体塗装も武装も地味で特徴無いんだもん。
 まぁ昨今の戦闘機は低視認性重視で記念塗装機以外は没個性な機体ばっかなんだけどね。兵器としては正しいんだろうけどモデラーとしては寂しい限り・・・・Oh We are カナシー。


(写真13) しかしとはいえ完成したら嬉しいね。パリパリの現用機作るのも久し振りだし卸し立てのスーツを着るような引き締まり感があるよ。




(写真14) 裏面はこんな感じで。センタータンクが無かったらもっと寂しさ満点な状態だったろうからパクってきたのは正解だったなと独り納得する次第。この状態だとスクランブル仕様になるのかな?



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