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(Photo) Korean 1950

by  コルディッツ
博物館実機写真

 1950年6月25日日曜日午前4時、北朝鮮軍が38度線を越えて侵攻開始、朝鮮戦争が勃発しました。以後1953年7月27日に休戦協定締結までの3年間、朝鮮半島全土が戦場になりました。
 開戦時の航空戦力は、第二次世界大戦期に活躍したソ連機のリニューアル版で装備した北朝鮮が圧倒的に強力で、韓国の保有機は練習機と連絡機でした。韓国の後見人アメリカは27日に軍事介入を決め、日本駐留中の第二次世界大戦期に活躍又は開発された機体で北朝鮮空軍と交戦を開始し、たちまち制空権を確保します。
 しかし地上戦では、T-34戦車を装備の北朝鮮軍が28日にソウルを占領します。そして一時停止した後、30日に南下を再開、7月5日に烏山で米軍と最初の遭遇しますが、鎧袖一触で蹴散らしました。
 米軍は九州駐留の第24歩兵師団の先遣隊で、勢いに乗る北朝鮮軍は24日に同師団の本隊を大田で撃破破し、師団長を捕虜します。
 かくて米軍中心の国連軍は釜山橋頭堡に追い詰められました。
 一方、米空軍と米海軍航空隊は、英連邦諸国の航空戦力も指揮下に収め、国連軍として攻撃をエスカレートして行きます。
 今年は開戦から70年目になるので、開戦当初に活躍した両陣営のレシプロ軍用機を紹介させていただきます。
※ 本稿は「朝鮮戦争争空戦史 」(ロバート・ジャクソン著 戦史刊行会訳 朝日ソノラマ)とWikipediaを参照しました。


   Yakolev Yak-9P  23
 軍事博物館(ワルシャワ)にて        2009年4月撮影
 北朝鮮空軍の配備機種や機数は資料によって差があり、 正確なことは不明ですが、戦闘機はYak-9やLa-7などで約70機。Yak-9Pは1946年に初飛行したYak系列戦闘機の集大成で、全金属製。朝鮮戦争では初日に金浦飛行場を銃撃、米軍のC-54輸送機を地上で破壊しました。米軍はYakをソビエト製戦闘機の代名詞代わりに使ったので、 MiG15も当初はYak戦闘機と呼ばれていました。


Yakolev Yak-11  225           2014年8月撮影
 ドイツ空軍博物館(ガトウ、ベルリン郊外)にて
 Yak-3から発展した練習機で1946年初飛行。戦闘任務にも従事。6月27日の金浦飛行場襲撃に参加し、F-82Gに撃墜されています。そのため朝鮮戦争での米空軍の撃墜第1号とする資料もあります


Lavochin La-7  77            2008年8月撮影
 チェコ空軍博物館(ケベリ、プラハ近郷)にて
 Yak-11を撃墜された6月27日の空戦戦で、北朝鮮空軍は他に2機撃墜され、それはLa-7のようです。米空軍の撃墜第2号、第3号とする資料があります。以降La-7は後継のLa-9と共に戦います。
なおWikipediaによるとLa-7現存機は3機で、他の2機は ロシア展示中とありました。それを知らず本博物館では、アビア199ばかり撮影していて、後悔しています。


Lavochin La-9  06         
 中国空軍博物館(北京市)にて        2004年6月撮影
 La9は、La7の機体構造を全金属製にして、視界を改良した機体で1946年に初飛行。武装は20mm機関砲3門から23mm機関砲4門に強化されています。


Ilyushin Il-10  1219
 中国空軍博物館(北京市)にて        2004年6月撮影
 北朝鮮空軍は開戦時に62機のIL-10が配備されていたと資料にあります。6月27日の空戦1時間後に、8機のIL-10 が金浦飛行場襲撃を試みましたが、F-80の迎撃を受け、4機を撃墜され、残りは退散しました。


North American F-82B Twin Mustang  44-65168 Betty jo
 アメリカ空軍博物館(デイトン)にて    2004年12月撮影
 開戦時に米空軍が即応できた戦闘機は、板付、横田、三沢、沖縄に配備のF-80が84機と、板付と横田に配備ののF-82が36機でした。F-82は272機生産と少ないため、 以降のF-51の投入に繋がります。


North American F-51D Mustang  A68-648
 戦争記念館(キャンベラ)にて        2018年4月撮影
 開戦時にF-51D装備のオーストラリア空軍第77飛行隊が岩国に駐留中でした。しかしこの時点では英連邦軍の参戦動向は不明のため、米空軍は出撃要請をしません。
英連邦軍の参戦は7月7日になります。




Douglas C-54D Skymaster  10683/ETI-683
 イスタンブール航空博物館にて        2019年3月撮影
 C-54は開戦時に目立ちました。6月25日の金浦飛行場襲撃で炎上、6月28日には水原飛行場襲撃で別のC-54が炎上。6月29日にC-54でマッカーサーが水原飛行場に到着 すると、4機のYak-9が襲撃して出迎えました。


Douglas B-26B Invader  44-34765 AN-J
 軍事博物館(ブリュッセル)にて     2009年12月撮影
 B-26はジョンソン基地に配備されていました。初出撃は6月27日夜ですが、目標を確認できず空振り。6月28日に芦屋から離陸した12機が、38度線付近のムンサン鉄道操作場の空爆に成功します。しかし激しい対空砲火に全機が損傷し、3機が失われました。B-26は朝鮮戦争の全期間を戦い続け、国連軍機の最後の戦闘行動を行ったのもB-26でした。朝鮮戦争ではソリッドノーズのB型が 多く使われました。


Douglas B-26C Invader  45-35444
 航空教育展示館(岡山、高雄)にて     2018年12月撮影
 B-26は戦争の進展と共に夜間爆撃に投入されたので、黒装束になります。展示機のグラスノーズはレプリカに見えました。
 なお今まで当展示館を空軍軍史館と表記しましたが、誤りでしたので訂正させていただきます。当展示館は軍史館から分離したもので、軍史館の北に位置します。
リサーチ不足でご迷惑をかけてしまい、申し訳ございませんでした。


Boeig B-29A Superfortress G-BHDK 44-61748/Y
 戦争博物館ダックスフォードにて      2008年7月撮影
 B-29の朝鮮投入は6月29日で、嘉手納基地を離陸した9機が、北朝鮮軍の占領した金浦飛行場を爆撃しました。
Yak-9戦闘機3機に迎撃されましたが、1機を撃墜、1機を撃破の返り討ちにして、B-29は全機帰投しています。
 展示の IT'S HAWG WILDは1952年に嘉手納配属で、休戦までの期間に105ソーティの任務をこなしました。



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