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(Photo) Malta 1940

by  コルディッツ
博物館実機写真

 1940年6月10日月曜日午後7時、ドイツの攻勢の前にフランスが敗北寸前なのを認めたムッソリーニは、フランスと英国に宣戦布告します。翌11日にイタリアの喉元に位置する英領マルタ島への空爆を始めます。イタリア空軍は圧倒的に有利な戦力で、英軍には4機のシーグラディエーターと34門の重対空砲、8門のボーフォス40mm高射機関砲しかありませんでした。しかし英軍にはレーダーが設置され、早期発見によるシーグラディエーターの迎撃で、6月末にハリケーンが配備されるまでの防空を成し遂げることが出来ました。 この後、ドイツ空軍の派遣もあり、マルタ島包囲戦は続きますが、開戦当初に少数のシーグラディエーターを排除出来なかった事が響きます。
※本稿は「Giadiator over Malta」(Brian Cull & Frederick Galer 著
Wise Owl Pubrications Malta)を参照しました。


   Gloster Gladiator Mk.Ⅰ K7985 G-AMRA
 戦争博物館ダックスフォードにて       2009年7月撮影
 原型は1934年9月初飛行。ブリストル・マーキュリーⅨ(840hp)
を搭載し、最大速度407km/h、ブローニング7.7mm×4挺


  Gloster Sea Gladiator Mk.Ⅱ N5520  Faith
 戦争博物館(バレッタ、マルタ島)にて   2012年1月撮影
 1940年4月に、マルタ島には空母グロリアスの第802飛行隊用に、
10機のシーグラディエーターが梱包のまま、配備されていました。
 1939年9月の第二次世界大戦勃発後も、地中海戦線は存在しません
でしたが、4月になるとイタリアのドイツ側に立っての参戦が予測
されたので、4機を組立ました。(N5519、5520、5522、5531)


  そして4月19日に島のHal Far 英空軍基地に4機の海軍機を配備し、
「Hal Far Fighter Flight」 を組織します。要員は空軍と艦隊航空隊
の混成でした。5月に残る6機の梱包のうち3個がエジプトに運ばれ、
マルタの航空戦力はシーグラディエーターの実戦配備4機に予備3機
で、そのまま開戦を迎えます。


  シーグラディエーターなので着艦フックを残したままです。
 開戦時にイタリア空軍はマルタ周囲にSM.79を140機、CR.42を40
機、MC.200を26機、Z506又はZ506Bを15機を展開していました。
そして6月11日の空爆初日に7回の空爆と1回の偵察を実施し、私の
計算ですが、通算で100機のSM.79と23機のMC.200を投入します。
対して英軍は3機(N5519、5520、5531)を通算7回発進で、SM.79を
1機撃墜、MC.200を1機撃墜を報じましたが、実際はMC.200に黒煙
を吐かせただけでした。この迎撃に参加した3機が「Charity 慈善」
「Faith 信頼」「Hope 希望」と、後日ジャーナリストが勝手に命名
し拡散させました。なので当時、機体にFaith等の文字はないはす。


  エンジンを砂漠用のマーキュリーⅧ A(840hp)に換装したのが、
Mk.Ⅱとシーグラディエーターです。マルタ包囲戦ではエンジンを
ブリストル・ブレニム用に保管していたマーキュリーXV(920hp)に
変えると共に、ハミルトン・スタンダード社の3枚ブレードの可変
ピッチプロペラを装着した写真が残っています。博物館のN5520は
最初の状態に戻されたようです。
 オフ・シーズンに拝観したためか、照明との相性が悪くて申し訳
ございません。上面はダークシーグレーとダークスレイトグレー、
下面はスカイグレーの、標準的は英海軍機迷彩です。


  開戦後、予備3機のうち2機が組立られ(N5524、5529)、部隊は
全6機となりますが、6月21日にN5522が墜落して5機になります。
この日前後から2機位づつ、ハリケーンがマルタに集結を始めます。
 6月22日にバージェス隊長操縦のN5519がSM.79を初撃墜します。
SM.79は湾内に墜落し、操縦士他1名は英軍に共助され捕虜になり、
他のクルー4名は死亡。救助に来たカントZ506B 水上機は対空砲に
撃墜されました。翌日バージェスはN5519で「本当に古いWWⅠの
ドッグファイトで」MC.200を撃墜し、イタリア軍操縦をは捕虜に
しました。同機の公認撃墜はSM.79とMC.200を各1機です。


  6月30日にハリケーン1機が迎撃するも、会敵に失敗。しかしこの
日を以てグラディエーターの孤独な戦いは終了しました。
 昔読んだ戦記物で、グラディエーター3機でマルタの防空を1年間
支えたと読んだ覚えがあり、信じていましたが、史実は5~6機で、
20日間程度でした。しかしそれだけでも偉業です!
 7月31日、写真偵察のSM.79 が1機と目視偵察のCR.42が1機、護衛
の9機のCR.42と共にマルタに飛来します。シーグラディエーター
3機(N5519、5520、5529)が迎撃しますが、ハートリー飛行士官
操縦のN5519(慈善)が、CR.42に海上で撃墜され、ペイルアウト
したハートリーは酷い火傷を負います。また同空戦でN5520(信頼)
はCR.42の初撃墜に成功しました。
 1941年2月4日の空爆でN5531(希望)が地上で破壊されます。
同機の公認撃墜記録はありませんが、同機は上翼に7.7mm機銃2挺
を追加し、7.7mm機銃6挺で空戦に臨んでいたようです。
 3月5日の空爆でN5524と5529が焼失、N5520だけが残りました。
 N5520は公認撃墜はCR.42 1機です。


以下イタリア軍事史航空博物館(Vigna di Valle)にて 2017年12月撮影
 Svoia-Marchetti SM.79 Sparviero MM24327/278-2


  Cant Z506 S Airone 23174


  Macchi MC.200  Saetta  MM5311/369-1


  Fiat CR.42 Falco MM5643/162-6


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