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誌上個展

<日本航空史> 押しかけ自衛隊機 T-28

  by 加藤 寛之
プラモデル コラム



 「押しかけ自衛隊機」という語句は、『写真集 自衛隊の航空機』航空情報臨時増刊№259(昭和44年)のp.132のサーブX1Gの解説にある。曰く「航空再開の初期には、メーカーや輸入商社のもてあました機体を防衛庁が引取るというケースがいくつかあった」とある。そのサーブX1Gの対向ページにT-28が掲載されている。今は浜松広報館にあるこの機体は、昭和29年11月に新三菱重工が購入したB型で、T-6の後継機を狙って5000万円くらいで購入したのだという。
結局、カンジンの中間練習機は後のT-1開発になって、目論みはボツに。防衛庁はこの機体を昭和31年3月末に6100万円で購入したそうだから、損はさせません、ということだったのか、もともと「後で買い上げるから、とりあえず民間で買っておいてね」とかハナシをつけてあったのか(妄想だけど)。このころにバンパイアも輸入されていて、こちらは本Web誌2013年5月号で、私がエアフィックスの新キット紹介で掲載してもらった。



 T-28の外観は垂直尾翼なんかどことなくP-51ムスタングみたいで、フィンはかなり薄く垂直尾翼と合うところは窪む感じに整形されている。よく見ると垂直尾翼へ伸びるフィンは胴体のちょっと左に寄っている。プラモ的にはこういったところが気になる。もうひとつ気になるのは、エンジン。T-28のエンジンはバッファローなどのエンジンと同系統の単列のライトサイクロンなのだが、前から見ると隙間がない。ちょうど、古いモノグラムの48アベンジャーとかが、カウリングと一体にエンジンの前部分を作ってあったように見える。
これについては鳥飼鶴雄氏が『世界の傑作機スペシャルバージョン⑤ヴォートF4Uコルセア』(2011年、文林堂、p.113 )に書いてあり、「T-28のエンジンは、バッフルプレートでしっかりと包まれていた。九六艦戦のように気筒の間から飛行甲板や滑走路を見ることはできない」のだという。なるほど、ではプラモデルはどうなっているのだろうか。残念なことに、私はいまだかつてT-28のキットを作ったことがない。



 さて、このT-28は普通、「トロージャン」と呼称される。ところが、「航空情報」1960年6月号p.68に「T-28はこのC型だけ制式名があり、「トロージャン」(トロイ人の意味だが、俗語で勤勉家などの意味もある)と名づけられている」とある。“あら、そうだったの!”だ。
 T-28は、WWⅡの戦闘機なみの性能を持っているそうだ。浜松広報館に展示されている機体の経歴については、「航空ファン」2014年3月号に細かく書いてある。


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