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フルスクラッチ&ソリッドモデル

DOUGLAS X-3 STILETTO (ソリッドモデル 1/32)

  by 安土潤吉


(1) 実機 

 X-3は1952年に初飛行した超音速実験機です。最高速度マッハ2が目標でしたが、エンジンのパワー不足のため、ダイブ中のマッハ1.25が最高記録でした。
その後、NACA(のちのNASA)に移管され、ロール・カップリング現象の解明に使用されました。性能は目標に届きませんでしたが、未来的なデザインは今見ても新鮮です。



(2) 図面

 正確な図面は入手できなかったので、LINDBERGの1/48プラモデルのパーツをコピーしてアウトラインを起こして写真を参考にパネル割など作図したのち、拡大コピーで1/32に。



(3)木取り・工作

① 胴体、主翼 
 胴体は、朴の角材ではなく薄板を張り合わせて作ったブロックからの削り出し。
中央の板はあらかじめ機体側面形状に切り出してから張り合わせ、ブロックを削る際に側面形削り出しの目安にします。
また、上半分のブロックとした半分のブロックに分けて、胴体上面形状に切った型紙を挟み上面形削り出し時の目安にします。
さらに、入り隅の部分は削り出し作業が難しいので、入り隅でもブロックを分割して、別々に削り出し成型後、合体します。



板材を張り合わせる際は木目方向をそろえ、カンナでの成型がしやすくし、また、脚庫など後でくり抜く部分については、その部分だけ接着剤をつけずに張り合わせ、後からくり抜きやすくします。



ブロックを削ると張り合わせた板が等高線のような模様になって見えるので、これで削り具合やシンメトリー具合をチェックします。



主翼は左右の翼を1枚の板で切り出し胴の上下のブロックに挟み込んで固定します。




② コクピット
 胴体の成型後、コクピットをくり抜く前に胴体を使って塩ビ板など(今回はPET板を使用)でガラス部分のヒートプレスをして部品を作成しておきます。今回はアルミ板張りにするため、窓周りのアルミ外装パーツも胴体に合わせて成型作成しておきます。



X-3では、機体下面のハッチが開きシートが降りてきてパイロットが乗り込みます。
このハッチ開閉とシート上下は可動として再現しました。ロックはネオジム磁石を使用。



計器盤は実機の写真を縮小して銅板に張ってメーターの穴あけしてそれらしく。




③ 降着装置、ノズル
 降着装置については、タイヤはゴムブロックから削り出し、ホイールはミニチュアベアリングを利用、シャフトはスチール棒と真鍮パイプ等をはんだ付けして作成しました。
ノズル内側は、形状は若干フィクションですが、メンソレータムのリップクリームのキャップをカットして使用しました。




④ アルミ張り   
 主翼のアルミは、多少のぶつけてもエッジが変形しないよう焼きなまし無しの0.4mm厚、胴体は成型しやすい焼きなました0.3mm厚のアルミ板を主に使いました。
ゴム板の上で木の球や棒でしごいて曲面に整形します。



張りつけは、主翼など平面に近いパーツは両面テープ(強力タイプ)、曲面パーツは瞬間接着剤とエポキシ接着剤を主に使用しました。



リベット痕は玉グリを使いますが、強く押すとアルミが凹む恐れがあるため、ピンバイスに銜えてあまり強く押し付けずに回転により〇状にを打痕しました。
アルミ表わし部は金属磨き(ピカール)仕上げです。




(4) 塗装 
 胴体の塗装部分のリベットは実機写真でもほとんど見えないので省略し、ハッチのボルトなど目立つ部分のみ打ちました。
 塗装は、プライマー(ミッチャクロン)を吹いてからサーフェイサー缶(白色)を吹いたところ、白色のためかアルミの目地が予想外に目立ったため、目地をすべてポリエステルパテで埋めて水ペーパー掛けとサーフェイサー吹きなおしを数回、スジボリとリベット打ちしてから白色(クレオスGX1)を吹きました。機体が大きいからなのかエアブラシのパワー不足なのか単に下手なのか、なかなか全面艶塗装とならず、予定以上に厚塗りに。
 マーキングは、ありもののデカールと、LINDBERGのデカールを原稿に拡大した特注インレタですが、機首の「X-3」は形が変だったのでYOU TUBEの実機画像を写真に撮って原稿を作り直しました。




(5) 完成  
 胴体のリベットを省略したので割と早く(約7ヶ月)完成しましたが、リベットが少ない分すっきりしている反面、ややあっさりした印象の模型になりました。






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