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F6F ヘルキャット (モノグラム 1/48)
by
田口博通 Hiromichi Taguchi
皆様ご存じのように、モノグラム1/48の米大戦プロペラ機キットには傑作ぞろいといわれています。その中の米海軍F6F-5ヘルキャットも1960年代設計のプラモデルで、部品点数は非常に少ないのですが、形も良く、可動満載で、主翼折り畳み、主脚が90度回転して収納、尾輪と着艦フックが連動して可動となっていました。
バンダイ国内版が発売されていたので、入手されたモデラーも多かったのではと思います。
このヘルキャットですが可動部が多いため、組み立ては難しく 私も学生時代に1度挑戦して見事敗退、完成のためには可動部固定をやむなくされました。
今回は2度目の再チャレンジでやっと可動部を生かして完成しました。
ヘルキャットの実機の主翼を90度後方に折りたたむ「1回ひねり後方折りたたみ」メカニズムはグラマンの天才技術者が考案した斜めに設置された1軸の回転軸によるものですが、同様な折りたたみ機構がF4F,アベンジャー、戦後のグラマンE-2ホークアイ等にも採用されています。
「考案した技術者は日本の折り紙を見てひらめいた」と伝わっていますが、折りたたみ時の主翼の動きは私の平凡な頭ではいくら考えても未だによく理解できません。
モノグラムのキットではさすがにプラモデルでは再現は難しいと判断したのか、実機とは違い、長い連結棒を使って、一度外翼を引き抜いてから回す機構となっています。
初版の箱絵
初版は空母の上をパトロールする3機が素晴らしいタッチで描かれていました。この箱絵のキットは骨董品扱いでさすがにもう見かけません。アメリカでは1970年代の消費者運動の影響で プラモデルも購入者にイメージに訴える箱絵が消え、代わりに完成したプラモデルの写真がボックスアートに表示されるパッケージに一斉に切り替わった時期がありました。バンダイ版も完成写真になっていたと思います。
当時の時勢とはいえ、プラモデラーには悲しい出来事でした。
製作
私が入手できたのは、1988年の再販版で、コンフェデレイトエアフォースの全面シーブルー塗装機のデカールが付属したものです。
この再販版では翼折り畳み用の部品はついているのですが、組み立て説明書の方は主翼可動メカは記載を省略し、単に外翼と内翼を接着するように書かれています。
このキットの初期の翼折りたたみメカの製作方法が購入者にとって相当難しかったからだと思われます。
このキットの初期の翼折りたたみメカの製作方法指定は
1)まず、外翼に連結棒メカを入れて組み立てる。
2)連結棒を内翼下面にセットする。
3)可動主脚も組み込み、内翼上面を接着。
4)連結された右外翼と内翼を胴体穴に通して、内翼を胴体に接着する。
というとサーカスのような手順でした。
これでは、また、主翼可動で失敗するのが目に見えてます。それで、内翼の連結棒差し込み部を削って広げ、連結棒が後差し込みできるように追加工しました。
これで、主脚メカを組み込んだ内翼を胴体に接着すれば胴体側は形になり、外翼を別々に作ることができるようになり、塗装も楽になります。
内翼下面に組み込む主脚メカは写真のようになっています。主脚柱は90度回転して内翼に組み込みができるようにロックがついています。
ここは可動調整しながら慎重に進めれば簡単でした。主脚タイヤ軸が長く、昔は軸の焼き潰しでタイヤ回転可能メカだったのかもしれません。タイヤが回転する必要はないので接着し、タイヤ軸を短く切りました。
主脚を出した位置でカチッとロックがかかります。
主脚を90度回転して収納し、ロックがかかります。
尾輪も収納できます。
尾輪と着艦フックの連動メカは写真のようになっています。
エンジンは一枚板ですが、素晴らしい彫刻でダブルワスプの前面シリンダーが再現されていました。
写真では見にくいですが、戦闘機にはどうしても必要な照準器をプラ板と透明プラ板を追加しました。
塗装指示は全面グロスシーブルーなので、MrカラーC365を使いました。
デカールは経年変化で変色しており、使えそうにありませんでした。そのため、
2019年10月号ベルヒューイコブラ
と同様な方法で白ベースデカール用紙を用いて、自作しました。
キット付属デカール
自作したデカール
貼り付けた後で、丁寧に余白をかみそりで切り取ります。
外翼の翼端灯は切り取り、100均で買える紫外線硬化レジンを盛り、置きかえました。方法は2019年5月号の「
UV透明レジンで着陸灯と翼端灯を作る
」記事をご参照下さい。
機銃も1.2mm外径のシンチュウパイプで置きかえました。
キャノピーの塗装ですが、最近、
マイクロスケールから マイクロマスク
が発売されていることを知り、さっそく入手し 使ってみました。
グンゼやガイアと同様に ポリビニールアルコールが原料のため、水性塗料には向きませんが、粘度が適当で薄く塗ることができ、塗膜が固く、青色が濃く、カミソリでカットしやすく、使い易いマスク剤でした。20ml入りで800円前後だと思います。
キャノピーに筆で塗り乾いてから、枠をカミソリでカットする。
Mrカラー艶消し黒で下塗りし、グロスシーブルーを塗装。
塗膜が乾いてから、もう一度 枠にカミソリを入れてマスキング部を剥がすとエッジがシャキッとなります。
完成
憧れのモノグラム 48ヘルキャットが なんとか完成しました。作る過程も難しくはあるが楽しく、完成した満足感は十二分にあります。さすがの傑作キットだと思います。
何人が完成に至ったのだろうかと考えると、そのお仲間入りを果たすことができました。
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