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特集 1/144

HS.748 (MARK 1 MODEL 1/144)

by 五六式(TYPE-56)



 今回は,”1/144”の特集に合わせて,よく似ていると言われる両機を並べてみるとどうなるかなという動機でHS.748とYS11を作りました。 

<実機について>



 イギリスのAVRO社がDC-3の更新需要に向けて開発したターボプロップエンジン双発の旅客機で初飛行は1960年。イギリス国内の航空機メーカーの統合・再編により,AVRO.748,HS.748,BAe.748と名称が変更されていった。また,イギリス空軍の戦術輸送機として採用された機体は,HS.780 ANDOVER(アンドーヴァー)と呼称されている。

 YS11(初飛行は1962年)と同じロールスロイスダートエンジン双発で,開発の目的も,STOL性能を重視していることも共通しているため,外見もよく似ている(YS11より全長が短く,主脚収容部の形が違っている。)。

 インドのヒンドスタン航空機でライセンス生産(ほとんどが軍用)されたものを含む総生産数は約450機,生産年数約30年と,YS11と異なり,商業的に成功した機体である。

<キットについて>


 2020年リリースの最新簡易インジェクションキットですが,押し出しピンの跡がたくさん残り,水平尾翼や小部品はイモ付け,エンジンナセルは主翼を貫通させるという技術的に言えば,二昔前のものです。

 商業的に成功し,民間のみならず各国の空軍でも多数使用されていたので塗装のバリエーションが多く,デカール替えで3種のキットが,オプションデカールが数種リリースされています。調子に乗って揃えようとすると10個以上も在庫を抱えることになるので注意されたし。


YS11より全長が短いですが,胴体の太さは同じくらいです。

<製作>

 前述したとおり,組み立てのための配慮という点では,技術的に言えば,二昔前のものです。しかし,たとえ部品の接着がイモ付けになっていても,  下手に精度の悪いダボが付いているよりは,はるかにましです。ヒケも出来ないし・・・。結果的にこの方がきれいに仕上がるのだと自分を励ましながら製作していきます。

 前脚の収容部は,箱組みして胴体にセットするようになっています。あちゃ〜,今時箱組なんて,こりゃだめだと思いましたが,部品の接合部の平面を出してから組んでやれば,問題なく接着できました。

 機首にバランスを取るためのおもりを30g入れるよう指定されてますが,できるだけ前の方にセットすれば,20g未満でも十分です。主脚や前脚に負担がかかるのでおもりは軽ければ軽いほどよいと思います。


 垂直尾翼に大きなヒケがあるのでパテで埋めました。垂直尾翼の付け根に大きな隙間が,胴体左右部品の接合部に段差があるのでパテで埋めました。マスキングテープで養生してパテが最低限の量になるようにしました。

 組み立て説明図によると,エンジンナセルを組んでから主翼にセットするようになっていますが,完全にエンジンナセルの部品が固着してから主翼にセットしようとするとエンジンナセルが入りません。そのため,部品の一部(下面後部)は,接着しないでおいてプラスチックの弾性を利用して接続部の隙間が広がるようにしておきます。

 この部分は,隙間が翼断面より狭いところがあるので慎重にヤスリで前縁部分が当たるところを広げます。主翼にエンジンナセルが収まったら,流し込み接着剤で少しずつ押しつけながら接着していきます。


赤い印  とりあえず接着しないでおくところ
黄色い印 削って少し広げるところ


 アンテナ類は,イモ付けです。あっけなくとれるので補強の金属線を入れようとしたら部品が小さすぎて金属線を入れる穴を空けられない・・・汗・・・。バーアンテナ(部品36)は,現物合わせで取り付け穴を空けます。実機写真を見ると,塗装例Cの機体(ストライプがないのでおすすめ)は,取り付け位置が主翼より後ろに変更されていることが分かります。上面前のアンテナ(部品34)は,ゲートを残してダボの代わりにし,上面中央のアンテナ(部品35)は,付け根の形に合わせてくぼみを作って接着強度を確保しました。


 また,機首のピトー管?(部品33)は,取り付け位置にくぼみがありますが,若干広げた方がよいでしょう。SCOTTISH EUROPEAN航空の機体の場合は,デカールを貼った後に取りつけた方がよいでしょう。一発勝負で,失敗すると今までの苦労が水の泡になりますが,取り付け位置がデカールを貼ったところにあるので仕方ありません。皮肉なことに,一番面倒だと思っていたこの作業が全工程を通して一番簡単な作業でした。

 脚柱やホイルハブをライトグレーで塗装するように指定されていますが,実機写真を見ると,金属色が正解です。プロペラの前縁の黒縁は,自前で塗装するようになっています。プロペラ4枚の裏表,それが2セット・・・地獄じゃ・・・。

 今年の新キットなので,デカールの劣化は無いと思っていたら,機体を一周するストライプのデカールがバラバラになってしまいました。気を取り直してマイクロスケールのリキッドデカールフィルムでデカールを補強して・・・これで安心と思ったら,ストライプの寸が足りず、不足分や破損した部分は,地道に手描きで補修しました。でも,五六式は,人間国宝じゃないからアップに耐えられない作品に・・・涙・・・。

<完成>


 ストライプの足りない分は,キットを2個買ってデカールを継ぎ足すとか,余ったデカールのストックから似た色のものを探して細く切り出すとか他にも対処法があったはずなのに・・・。


 夜間飛行みたいです。


 同じエンジンなのにエクゾーストの太さがこんなにも違うのはどうして?


 平面形で両機を比較してみました。きっと,日本人もイギリス人も自国機を贔屓するのでしょうね。


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Vol.147  2020 November.     www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /
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