Home  > 日本航空機製造 YS11 日本エアシステム(HASEGAWA 1/144)> 特集 1/144>2020年11月号

特集 1/144

日本航空機製造 YS11 日本エアシステム
(HASEGAWA 1/144)

by 五六式(TYPE-56)



 今回は,”1/144”の特集に合わせて,よく似ていると言われる両機を並べてみるとどうなるかなという動機でYS11とHS.748を作りました。 

<実機について>



 戦後開発された唯一の実用旅客機(スペースジェット,どうなるんだろう?)で初飛行は,1962年,生産数は182機。ロールスロイス・ダートターボプロップエンジン双発で定員は,60名前後,最大巡航速度は,470〜480km/h。地方の滑走路の短い空港でも運用できるよう,STOL性能も付加された。
 YS11の開発は,官民合同のプロジェクトで,失敗を避けるため,機体強度に余裕を持たせた設計となっており,頑丈だがやや重い機体となった。
 国内での運用を考慮して設計された国産機ということで,当時,全日空をはじめとする国内の航空各社は,本機を積極的に採用してローカル線で運用した。一方,海上保安庁や防衛省,運輸局は,YS11生産の事業を支えるため,合わせて30機以上を導入,これは,総生産数の2割にも及んだ。
 商業的には,海外ユーザーへの営業やサービスの経験が少ないことが徒になり,輸出すればするほど赤字が累積するという事態に陥った。この事が,直接的に本機の製造中止に結びついてしまい,生産数は,182機にとどまった。

<キットについて>


 ハセガワのキットは,1997年に海上保安庁仕様とANK仕様からスタートして現在26のバリエーション(他にC-1とのセットで鬼太郎の記念塗装版がある)が発売されています。すでに定番商品ではなく,実機の民間航空引退などに関連してときどき特別仕様のキットが発売されているのみです。最新のキットは,試作1号機/2号機仕様(2020年10月現在,このキットのみメーカー通販で購入可能)のものです。

 機首にセットするおもりやプロペラを固定するポリキャップやスタンドが付属するなどユーザーに対する配慮が行き届いており,胴体や主翼などの主要部品の精度も高いという長所があります。一方,エンジンナセルと主翼の接合部,風防と機首の接合部の精度が今ひとつでかなり目立つ隙間があきます。

<製作>

 今回製作するのは,1999年発売の日本エアシステムの機体です。購入して20年ほど経っていますが,デカールがカルトグラフ製なのでだいじょうぶでしょう・・・きっと・・・(後で,泣きを見ました。)。

 胴体や主翼は,何の調整も必要なくさっさと組めてしまいます。マーキングによっては,塗装やデカール貼りの手順を配慮して主翼や尾翼を,後から接着する段取りにしなければならないかもしれません。

 風防と胴体の接合がうまくいかず,段差や隙間が出来てしまいます。今回は,デカールで窓と窓枠を表現するので透明部品を保護する必要も無く,パテやサーフェイサーで段差を均しています。


 エンジンナセルと主翼の間には,どうしても隙間があくので(20世紀のキットなので仕方がないところ)外形のつながりを優先してがっちり接着,隙間は,パテで埋めます。また,主翼後縁をシャープにするためのパーツ分割のため,主翼上面にヒケが出来ています。目立つのでペーパーがけなどで均していますが,十分ではありませんでした。これらの処理のためにかなりの時間を費やしてしまいました。

 YSのキットは,スポット生産で海上保安庁機や量産1号機,航空自衛隊電子戦支援機,引退記念機などたくさんのバリエーションがあり,五六式も十数個の在庫を抱えているのですが,これらを組み立てるたびに隙間やヒケの処理をしないといけないのかと思うと目の前が真っ暗になります。ハセガワさんには,新金型のキットとまでは言わないけれど,せめて金型改修をして欲しいと思います(1/72スケールのキットは出さないのかなぁ?Oンダイさんに遠慮してるの?)。

 付属のデカールは,カルトグラフ製。やったね!と思ったら,曲面に全く馴染まないし,マークソフターも全然役に立ちません。位置決めをして(決まらないときは,強引に木工ボンドで一部を固定して)から,ヘアドライヤーで温めて曲面に馴染ませました。それにしても,メーカー側で一度くらい実際にキットに貼ってみないのかねぇ?


赤丸 デカールが曲面に馴染まず,難儀したところ
青丸 デカールの寸法が合わず,黄色と赤色の境界に切り込みを入れて調整
緑丸 デカールの使用を諦めててタミヤのアクリルの黄色を塗ったところ

 デカールには,プロペラに施している注意喚起のマーキングも入っていますが,どう考えても役に立ちそうになかったので,少々不細工になるけれど手描きしました。というか,他に選択肢がないし・・・涙・・・。

<完成>


 機首を見ると,0系新幹線とよく似ています。


JASのマーキングは,美しいですね。苦労した甲斐がありました。


 斜め上から見てもなかなか・・・。


 HS.748と姉妹機みたいですね。

 昭和の後半をともに生き抜いた戦友であり,滑走路の短い旧高松空港(地元では,林の飛行場で通っていた。)から発着する数少ない旅客機であったYS11・・・。この場を借りて,スペースジェットも応援しているゾ!


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