Home  > F-4CファントムⅡ(旧グンゼレベル版 1/72)> 飛行機プラモデル製作>2020年11月号


  F-4CファントムⅡ(旧グンゼレベル版 1/72)

 by  田口博通 Hiromichi Taguchi



 10月号に掲載されていた加藤氏のハセガワ旧版ファントムに刺激されまして、長い間 心にひっかかっていたレベル旧版ファントムF-4Cベトナム迷彩機を思いきって完成させました。
 レベルの72F-4Cファントムはモデルアート1968年2月号のレベルの広告ページでF-105,F-104と並んで掲載されておりました。レベルが誇る迷彩ジェット機! 定価250円也。「そんなこともあったかな」とご記憶のモデラーもいらっしゃることではありましょう。
 1960年代後半はテレビでベトナム戦争という言葉を聞かない日などないという時代です。「今日、アメリカは南ベトナムで100人以上のベトコンを殺したと発表した」と平気でニュースに流れているとんでもない日常でした。 
もっとも 最近も「日本の今日の新型コロナ感染者は600人、重症150人、死亡者3人と発表された」といったニュースが毎日のように流れるとんでもない「新しい日常 ニューノーマル」ではありますが。
 話を50年前に戻して、レベルから当時の最新塗装だったベトナム迷彩ジェット機登場であります。その衝撃は大きく、感性豊かなプラモ少年だった私は それ以来、このレベル3機を揃えたいと固く誓ったのであります。
 とはいうものの、1970年代は飛行機プラモデル黄金期で毎年怒涛のごとく出現する国産新プラモの荒波に心を奪われ続け、気が付いた時には あらっ半世紀経過してしまっておりました。

モデルアート1968年2月号のレベル広告ページ


 半世紀経過し、いまや骨董絶版プラモとなってしまったこのレベル3機ですが、F-105は中古店で幸運にも入手することができ、2017年4月号で掲載させていただきました。ところが、F-104とF-4Cの方は未だに入手できずであります。
 1960年代後半から1970年代前半はどの模型店の棚でも見かけましたのに、欲しくない時にはたんまり有り、欲しい時には無しという 人生のタイミングはつくづく難しいものであります。
 見かけた時に買っておけばよかったのにと言われそうですが、当時、ハセガワから毎月のようにリリースされるニューキットに目を奪われ、少ない原資の投入先を厳選しなければならないプラモ少年にとってはレベルのファントムに手が延びることはついぞなかったのであります。
 さて、レベル迷彩ファントム完成させるぞと一念発起したものの、結局入手できなかったF-4Cキットの替りに ヤフオクで入手したF-4BキットをF-4Cとして化けさせ、ベトナム迷彩を施し完成の運びとあいなりました。
 1960年代のレベルキットなので、実は海軍型F-4Bと空軍型F-4Cは同一モールドでデカールと箱が違うだけ。1960年代当時のファントムに対するメーカー認識はそんなものだったのあります。


キットについて

 今回使った海軍型F-4Bの箱絵は素晴らしいタッチの絵で今では貴重な貼り箱となっておりました。一見すると輸入版に見えるのですが、箱横はしっかり日本語していて、グンゼ物資部が国産パッケージをあつらえたキットで当時は定価300円だったことがうかがえます。  デカールは日本で印刷されたと見られるF-4Bのデカールが付属しておりました。
とはいっても、こちらが作りたいのは海軍型ではなく、空軍のベトナム迷彩機。マイクロスケールデカールのストックから適当なマーキングを見繕って、完成を計ることといたしました。

貼り箱






 モールド部品です。1960年代当時の流行で 表面にはびっしりと凸リベットが彫刻されております。部品点数も少なく、誰にでも完成できる構成なのが、このレベル ファントムキットの良い所です。
 しかし機体形状も細部も現在の目で見ればですが、ラフ。胴体は短く、水平尾翼は小さく、1/72と表示されているものの実際は1/80程度なのかもしれません。
 主翼は薄く、大きさだけはそこそこの72サイズで胴体とはバランスが崩れております。
 胴体長と水平尾翼を大修正したいという浅はかな欲がもたげてきますが、ここで自分の作りたいのはレベルが1960年代に売っていたファントムそのものだと心を強く持たねば、自分を見失ってしまいます。心を強くして修正せずににオリジナルの個性を生かして作ります。
 現代では、正確なスタイルのファントムが欲しいのであれば、星の数ほどある他社キットを作れば良いわけです。





 コクピットはバスタブでシート背もたれまでがモールドされており、ヘッドレストは胴体にあるという構成です。  機首レドームは見れる形ですが、ジェットノズルは情けない形状です。しかし、いずれもレベルキットの個性を尊重いたします。


製作

 胴体にコクピットを組み込み胴体左右を接着。機首にはおもりをつめこんでおきます。胴体にはエアインテーク部に3mm角プラ材を入れて補強し胴体幅を確保します。
(下写真は現在続いて作っているレベルF-4J)



 胴体と主翼を接着し、リベットをつぶさないようにマスキングテープで養生し、各部を整形します。
捨てサフを吹いて、整形が足らない箇所に瞬間接着剤をパテ替わりに使いながら整形していきます。



主翼前縁、後縁もダルなのでシャープに削って整形します。主翼はB型と同じモールド部品なので、当然のごとく薄いですが、ここは辛抱です。


塗装

 ベトナム塗装には使い慣れているMrカラー特色を使いました。
まずレドームの艶消し黒をNo.33で塗りテープでマスキング。
次に下面にNo.311グレー FS36622を吹きます。


 下面ホワイト部をテープでマスキングし、上面塗装に入ります。48だと直吹きで3色迷彩という方法で大丈夫ですが、72で直吹きをするとぼっとしすぎとなりますから、今回ははっきりとした3色迷彩を目指しました。
まず、No.310 タンFS30219で上面全体を塗装。
タン部をマスキングして No.303 グリーンFS34102を塗装。
次にグリーン部をマスキングして 最後に残った部分にNo.309 グリーンFS34079を塗装。
マスキングをはがしてから各色の境界を少しぼかすという手順と致しました。


水平尾翼は小さく、シルバー塗り分け線はキットのモールド通りだと変なので 無視して塗り分けています。


 ウエザリングにはMrウエザリングカラー グランドブラウンを薄めて用いました。
マーキングは手持ちのマイクロデカールNo.112から、「OO」50870"Hillbilly Slick" としました。
このマイクロデカールも購入から30年は経っているので、マイクロフィルムを塗って補強してから使っています。そうでないとさすがのマイクロといえどもバラバラ事件になってしまいます。


レベルキットの特徴である埴輪のようなパイロットさんも丁寧に塗り分けて搭乗させます。


 前脚、主脚ともラフですが、そのまま使用しております。
キャノピーは今一つあいませんが、削りあわせて左右バランスを取り木工透明ボンドで接着しました。
 残念ながらこのレベルキットにはサイドワインダーが付属しておらず、丸腰では北ベトナム上空で空戦ができないので、フジミから空軍用ランチャーと共にトレードしてきました。スパローもキットオリジナルはラフな出来ですがそのまま使用させていただきました。


完成

 ずっと心につっかえていたレベル72ファントム ベトナム迷彩が完成し すっきりとしました。機体表面には細かい凸リベットがモールドされており、ウエザリングにつかったグランドブラウンがうっすらと残り、実感を高めているような印象です。
 眺めるとこれがファントムだという存在感があります。ベトナム迷彩の空軍型F-4Cにちゃんと見えております。

 50年前のモールドなのでラフさは各部にありますが、最近のファントムキットに比べると部品点数も格段に少なく簡単に完成しました。少年時代の私がもし組み立てても、おそらくきちんと完成したことでしょう。
 最近の完成するかどうかわからない組み立て面倒なファントムキット達よりも、これぐらいで充分なのではと感じます。
当時のレベルファントムの指していた方向は間違っていなかったのではという思いを強くしました。









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