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特集 温故知新

 Fw190A、D(フジミ 1/48)

  by 兵庫県明石市 小原



 1971年の発売以来、箱絵を変更しながら長く販売されてきたものの最近はあまり店頭でも見かけなくなってきたフジミの1/48フォッケウルフです。これらは両方とも機首の形が大きな欠点で、A型のほうはカウリングがストンとした円筒形になっており、それによって風防前の機銃カバーとカウリングの境目が横から見て軽く逆くの字型に折れ曲がっていて、オーバーに言えばフィアットG50のような感じになっています。それに加えてカウリング前部のカーブが丸っこくて零戦21型のような雰囲気になっていることも気になります(モデルアート1971年3月号の岩河敏氏による工作ガイド記事を見るとストレートに作っておられますのでこの辺の感じがわかります)。

  D型の方はミニベビーモーターを組み込むため?機首が太いので有名で、翼の付け根辺りから機首先端まで、断面型がほとんど絞られないまま伸びています。

  あと細かいところではD型の垂直尾翼がA型と同じだったり、両型ともですがやや主脚が短いことなどありますが、今回は機首のみこのキット発売当時には(少なくとも一般的には)なかったマテリアルを使って簡単に手を加えてみました。

 なおこのフジミ1/48大戦機のシリーズ最初の4作(Fw190A,D、スピットファイアMk.5、F6F-5)は実際には1/50で、タミヤの1/50シリーズとかと並べるためには貴重なキットなんですよね。おそらく日本で最後の1/50キット群ではないでしょうか。

A型


 A型のほうは機銃カバーとカウリング上面が一体となったパーツが2種入っており、その選択でA-5,6型とA-7,8型を作り分けるようになってます。このパーツが側面型で軽い逆くの字の形になっていますので力づくで直線になるように変形させてやり、その上でカウリング先端パーツと自然につながるように少し削り合わせながら組んでやります。そうするとカウリング上面が胴体パーツからかなり持ち上がってしまいますので、生じたギャップを自分が満足できる程度までタミヤ光硬化パテを用いてつなげてやって終わりです。今回はカウリングは自分なりにきちんと、機銃カバー前半と胴体パーツの間はそこそこ処理しましたが機銃カバーの後半-胴体間は面倒なので放置しています。光硬化パテを使った理由はパテが食いつかないようにしたい部分に薄くグリスを塗布しておくとパテ硬化後に簡単に外せるからで、今回は胴体左右、機首前端パーツ(削り込みと防弾リングの筋彫り後)を接着組み立て後、上面パーツのパテと接触する部分にグリスを塗布してからテープで仮止めし、光硬化パテで処理してやりました。硬化後に上面パーツはパテ盛り部分を崩さずにきれいに剥がせますので、あとは通常の部品の削り合わせと同じように様子を見ながら盛ったパテを削ってやりますと上面パーツのモールドに気を使わず簡単に作業が進みました。



 このキット、発売当時の1971年3月号モデルアートでは牧英雄氏がかなり高く評価しており、「デッサンを見ると、ズバリ言ってモノグラムより良い」と書かれていますが、多くの評価は組み立てやすさや表面処理は高くても「どうしても1/48クラスを作りたいなら、モノグラムをおすすめする(モデルアート1975年6月号、文面編集部?)」など形状面で低い評価となっていったようです。いろんな新キットのある今となってはこのキットとモノグラムの優劣を比較しても意味ないですが、今回こうやって形にしてみると、「モノグラムに負けてへんのと違う?」って感じでけっこう自己満足しています。



D型


 D型の方も発売当時の1971年6月号モデルアートで同じく牧英雄氏が紹介しておられますが、こちらについては機首形状について「明らかに太く、長さも少し足りないようだ」とデッサン面ではあまり良い評点をされてません。



 今回は胴体パーツの左右合わせ目を先端で片側1mm程度削り落とすよう上面機銃カバーの直前から、および下面側は主翼取付部からテーパーをかけて削り、その上で力づくでパーツを変形させて左右を接着します。胴体先端で真円になるようパーツを変形させると、先端部分の円周は1mm×4=4mm縮小され、直径で1mm強小さくなり全体として先細りの形状になります(実際はきちんと測ってなくて、カウリング部品よりあまり小さくなりすぎないよう見た感じでやってるのでイイカゲンですが)。その後カウリング部品をポリパテで裏打ち後200番くらいの紙やすりで削って少し小さくし、消えたカウルフラップをスジ彫りしてやって終わりです。できたものを見るとまだ太い感じがしますし削ったカウリングの形もイマイチ、また主翼に近いところの機首の断面型も違うので全体的にはダメだけど見る角度によっては随分格好良くなったのではないかと、こちらも自己満足しています。この組み立て、特に機首部分の合わせめなどを処理するのはほとんどウェーブの黒瞬着を使ってますが、荒いパーツ加工でガタガタであっても強引に埋められるのでものすごく作業が楽でした。



 個人的なことですが中学生だった私が初めて合わせ目を消すということをやったのがこのフジミのFw190Dで、当時(45年ほど前)は模型屋にはレベルカラーと同じ大きさのプラスチック容器に入ったレベルパテしかなく、乾燥時間はかかるし乾燥するとカチカチに固いしすぐポロッと剥がれるし、今なら「この程度」の修正でも当時同じことをやろうとするとかなり大変だったと思います(当時のカタログのパテやコンパウンド、接着剤を見て懐かしく思われる方もいらっしゃると思います)。その後赤茶色したイサム塗料の「木工用パテ」を知ったときは感動でした(色が灰色になった感じなのがいまのタミヤベーシックパテでしょうか)。



 大学入学以降ほとんど模型作成から離れ、ときどき買っては積むばかりだったプラモを何年か前から作り始めましたが、いまのマテリアルや道具、塗料の進歩はほんとすごいですね。ただ今度はシリーズコンプリート欲が出てきて、その当時買ってなかった機種をネットオークションなどで落札するなどで積み上げたプラモが全く減らないのと、捨てていかないと置き場所がどんどん増える粗製乱造完成品が悩みのタネになってきました。


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Vol.151  2021 March.     www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /
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