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九七式戦闘機 甲型(ハセガワ・マニア1/48)
by
小山新一
ヤフオクで複数のキットを落札した中に、2機の九七戦が入っていた。初版のマニア版がどこかにあるはずだが、この2機を作ることにする。
日の当たらない有名日本機を、1/72,1/48 でキット化する。このマニアックな志でスタートしたマニア社が、模型業界から消えて久しい。幸いにも、すべての金型をハセガワが引き取り、デカールがえなどの形で再販してくれるので、今でも入手が容易なのはありがたい。
今回作ったのもそのハセガワ版だが、説明書中の指定カラーが、今はなき「モデルカラー」だから、相当に年季が入ったキットだと知れる。
キットそのものは、今でも九七戦のベストで、他メーカーが新キットを出していないことからも、それは伺えよう。
表面の細かい凹リベットが、開発された時代を感じさせるが、オオタキの1/48日本機などより緻密で、そううるさく感じさせない。筆塗りで塗装すれば程よく埋まって、スケールに見合ったリアル感がある。
フィギュアたちと
1機目は、飛行中の鮮明な写真が残る独立飛行第84戦隊の、派手な塗装にした。機体全体の青緑白色、日の丸、赤ラインなどすべて筆塗りで仕上げた。尾翼の「30」は手描きも考えたが、試したら何とデカールが使えた。胴の赤鷲もデカールである。細かいステンシルのたぐいは、主脚の赤枠つき「ノルナ」のみデカールで、あとは面相筆でちょぼちょぼと、らしく塗ってすました。
77戦隊 迷彩塗装
同時進行のもう1機を、どんな塗装にすべきか、悩んだすえに77戦隊所属機とした。全面灰緑色の機体に応急的な迷彩をほどこしたもので、84戦隊の機体と並べれば変りばえがすると思ったのだ。出典は故 長谷川一郎氏が塗装の考証をした、「日本陸軍戦闘機の塗装」(モデルアート社1989)である。日の丸、部隊マーク、グリーンと茶の迷彩などすべて筆塗りである。迷彩が、主翼と水平尾翼のみなので、仕上がりが中途半端な印象といえなくもない。腕と足に入れ墨をしたが、胴体は素肌のままみたいである。痛さに耐えかね、途中でやめた刺青を「はんぱイレズミ」というそうだが、似ていなくもないか。
2機そろいぶみ
それはともかく、一機目の派手な塗装と並べると対照が際立ち、悪くない。余計なことだが、風防枠も面相筆で手描きをした。今どきはメーカー側が塗装済み風防を用意したり、マスキングシートを入れたりするご時世である。何を使っても、どう作ってもいいプラモデルだが、あまりに手取り足取りに頼り過ぎると、個性が失われる気がする。とはいえ、「風防枠は息をつめて手描き」を強要するつもりはない。
九七戦2機、ソリッドの合間に、変化が欲しくて作っていたので、制作途中の写真は撮っていない。写真はしたがって完成写真のみである。
以下は余談だが、ひいきにしてきた作家半藤一利氏が、今年亡くなられた。氏のドキュメンタリーの傑作の一つ「ノモンハンの夏」で描かれるノモンハン事変で、空の戦いをになったのが、この九七戦であった。地上戦は機械化されたソ連陸軍部隊に、わが関東軍が大敗を喫した悲惨きわまる戦いであったが、空においては終始航空優勢を保つことを得た。九七戦の活躍のたまものである。
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