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特集 スピットファイア

Spitfire Mk.Ⅴc(エアフィックス 1/72)

  by 平針みなみ HIRABARI Minami



 予約しておいたエアフィックス1/72スピットファイアMk.Ⅴc(製品番号A2108)が、やっと先日届いたので早速作ってみました。



  以前同社から出ていたMk.Ⅴbのキットのバリエーションとして出たⅤcとは異なるまっさらなキット。プラの材質は同社特有の柔らかいもの。部品点数は、ライトブルーグレーの4つのランナーに68、透明部品は1つのランナーで5つの部品。パーツの状態で全体を眺めると、まず、パネルライン等のスジ彫りが以前のようなきつめものではなく、細目のほどよいものになっていました。塗装した感じでは、スジ彫りが浅くなったわけではなさそう。ただ動翼等はもっとくっきりとメリハリをつけてもよいとように思います。

デカールは定評のあるカルトグラフ製で、次のA、Bの2機分が用意されています。どちらも標準翼で、ヴォークスフィルター装備の熱帯地迷彩のもの。印刷はきれいで精細、コーションもしっかり用意されていています。
A 米陸軍 第307FS MX☆P ER180
B 南アフリカ空軍第2スコードロン DB◎V JL115

このA、Bで選択パーツは、
・機関砲(Bは銃身4本が突き出る)
・排気管
・プロペラとスピンナー(デ・ハビランドとロートル)。

A、B共通の選択パーツは、
・キャノピーの開閉(開は3分割キャノピー、閉はワンピース)開の場合のスライドキャノピーは、かなり大きくなっていて、使うのには勇気がいりそう。
・スリッパ型増槽(90ガロン)を取り付ける場合は、そのための穴をあらかじめ開けておく必要があります。
・ラジエターフラップは開閉好みの位置で接着。
・主脚は飛行姿勢、着陸姿勢両方のパーツが用意されています。

キット指定の2機では使いませんが他のバリエーション用のパーツも入っています。
・ヴォークスフィルターを装備しないときの機首下面。
・切断翼の主翼上面のパーツ(主翼上面パーツは標準翼のものと切断翼のものの2種が用意されていて、他キットによくあるような翼端のパーツだけを選択・接着するものでありません。)
・オイルクーラーフェアリングのパーツが2種入っていて、キットではその片方を使い、もう片方は今後のバリエーションで使う?



  製作にあたってキットの気になるところ、追加工作など。 
・コックピット後方、ヘッドレストの裏側から後方に延びている「支柱」がないので、真鍮棒を取り付けました。
・シートベルトはキットに用意されていないので自作。
・キャノピーは閉じた状態のワンピースのものとしました。そこでスライドキャノピーを接着する胴体側の箇所のモールドを切り取りました。キャノピーパーツはピタリと収まります。
・主翼下面中央にある下部標識灯は窪んでいるだけで、透明部品は用意されていません。今回は色を塗っただけでとくに手は加えませんでした。
・箱絵の機体には角型バックミラーが描かれていますが、パーツは用意されていません。写真によると「B」でも角形のバックミラーを装備していたようですのでプラ板で自作。
・機首上面に燃料注入口ハッチのモールドがないので、とりあえず今回は丸いマスキングシートを貼っておいただけです。
・翼端の航法灯のモールドかなり小さく目立たないので、大きくした。
・なお、キットの箱絵には描かれている垂直尾翼の上にある小さい支柱がキットにはありません。ただ「B」の方は実機にもないのでそのままです。Aの方は未確認です。

組立説明書の塗装指示やデカールの貼り付け指示に一部疑問がありそれは無視しました。



  南アフリカ空軍のスピットファイアMk.Ⅴcについて
今回はキット指定の「B」南アフリカ空軍機を作ることとしました。

キットのJL115についての塗装図におおむね次のようなコメントがあります。
「JL115の写真を見ると、左の垂直尾翼にはスプリングボックのマークは付いていなかったが、右側には付いていたかもしれないので、オプションのデカール(#45)を付けている。
同時期の他の南アフリカ空軍第2スコードロンのスピットファイアMk.Ⅴcの写真を見ると、尾翼端が赤で縁取られている機体がある。
いくつかの機体では、主翼前縁に淡い色が伸びているものがあるが、これが下面の青なのかそれとも黄色なのかは不明である。また、機関砲のバルジを含むパネルが、周囲の迷彩より濃い色で塗られている。JL115については、そのような特徴はないようだが、現在調査中です。」

そこで写真を探してみたら、DB◎S、DB◎V、DB◎Rの3機が左側の側面を見せて編隊飛行をしている写真が見つかりました。これを見るとDB◎S、DB◎Vともにスプリングボックのマークは付いていません。残念ながらDB◎Rの垂直尾翼は写っていません。DB◎Rについては、1機だけ右側を見せて飛んでいる写真が見つかり(「DB」ははっきり写っていませんが)、それにははっきりとスプリングボックのマークが写っています。DB◎Rは両側に描いてあったのかもしれませんし、DB◎Vはどちらにも描いてなかったかもしれませんが、デカールを用意してくれているので貼ってみました。

この3機編隊の写真によると胴体中央の爆弾架に爆弾をぶら下げていることがわかりました。キットには爆弾および爆弾架は入っていないので、自作しようと思って図面を見ましが、形状がいまひとつはっきり理解できませんでしたが、ハセガワ1/48スピットファイアMk.Ⅴbのキットに爆弾と爆弾架が入っていることがわかり、そのパーツを参考にして爆弾架を作りました。ただ太めだったようです。爆弾のほうは調達が間に合わなかったので今回はオミットしました。



  スプリングボックは、ウシ科スプリングボック属の偶蹄類で、ガゼルに似ているが、その学名中の属名のほうは「ガゼルではない」という意味だそうです。スプリングボックは南アフリカ共和国のシンボルともいうべき動物で、これにちなんでラグビー南アフリカ共和国代表チームはスプリングボクスという名称。
南アフリカ空軍機の国籍マークは、1947年~1981年の間、その中央にスプリングボックをあしらったものでした。古くからのモデラーの方でしたら、タミヤのバッカニアやフロッグのシャクルトンでおなじみかもしれませんが、その前はラウンデルの中央にスプリングボックを描いたものでした。



  私なりの結論
外形の正確さ、組み立てやすさ、選択パーツの用意、デカールの質など好キットといえる。いろいろな塗装とマーキングで楽しみたいので、安定して入手できるとありがたい。
細部の小パーツにあまりシャープでないものがある。
開状態のスライドキャノピーとピトー管のパーツはサイズ的にも問題あり。



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