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特集 絶版キットを おしげもなく作り倒す

  空技廠・愛知 艦爆 彗星(バンダイ・コグレ 1/40)

by 小山新一



(実機について)
 本機は99艦爆の後継機として、昭和13年に設計が開始された。いわゆる13試艦爆であるが、設計主任は空技廠の山名正夫技師でスタッフも空技廠のメンバーで固められていた。設計コンセプトは「戦闘機より速く、敵艦載機より足が長い」ことであった。アウトレンジから発艦し、敵艦隊を守る戦闘機を振り切って、敵艦に爆弾を投下するねらいである。



  空母搭載の爆撃機ゆえ、そう大量生産もしないだろうとの発想で、機構がやや複雑になり、作りにくくても性能優先で設計、試作を行った。最たるものが、水冷エンジン・アツタの採用である。アツタはドイツのダイムラーベンツDB600を愛知が国産化したものだが、国産化による性能のばらつきや、整備態勢の不慣れに悩まされることになった。戦争後期、エンジンが間に合わずに、三菱の空冷エンジン金星に換装する羽目になる。空冷化によって、若干の性能低下をみたものの、稼働率が大幅に向上したのが33型である。この一連のトラブルとその解決の道程は、陸の飛燕のそれと奇しくも一致している。
 乗員を含め、用兵者サイドからみれば、初めから空冷で作って欲しかった思うであろうが、モデラーからみれば、空冷装備の後期型より、液冷装備の11型、12型、さらには2式艦偵の方がずっと魅力的だ。



(キットについて)
 コグレが開発した金型を、コグレ倒産後バンダイが受け継ぎ発売したものである。外箱、取説もコグレ版の踏襲であるが、ボックス・アートは3種あったコグレ版の「コントラスト彗星」のものを使用している。コグレ版の3種とは「通常版」「透明彗星」「コントラスト彗星」で、それぞれボックス・アートも違っていた。「通常版」は空母甲板上を、誘導員の誘導でタキシングするイラスト、「透明彗星」は透明な胴体と主翼、それに内部パーツがセットになった豪華版で、イラストも内部パーツが見える彗星が描かれている。
 そして「コントラスト彗星」である。これは、本キットの表面仕上げを、外板ごとに変えることで、銀メッキをしたときに本物らしい材質感を出す効果をねらったバージョンだ。バンダイ版のイラストが、銀塗装の彗星になっているのはそうした理由による。
 こうした気配りはもちろん、全体のデッサンや確実な可動部など、コグレのキットは当時の国産キットの水準を抜いたものであった。


バンダイ版のボックス・アート


バンダイ版の取説


主要パーツとランナー(一部)

(制作)
 もう10年ほども前に作ったキットなので、細かいところは覚えていない。モーターライズで組んだのは、指定のマブチ13の規格が、タッチダッシュ13と同じであったからだ。しかも、タッチダッシュはスイッチレスだから、スイッチの工夫・自作も不必要だ。モーターのリード線を爆弾倉まで引き込み、単4(だったかな?)にセロテープでダイレクトに接続をした。かくてペラをはじけば、快調にアツタ・エンジン始動となる次第。


胴体貼り合わせ前。発動機はタッチダッシュ13




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