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(Photo) SAAB 29 in Vienna

by  コルディッツ
博物館実機写真

 サーブ29のネックネームTunnan(トゥンナン)はスウェーデン語の「樽」を意味し、それはもちろん胴体が短く膨らんでいる外見から派生しました。しかし西ヨーロッパで最初の後退翼を備えたジェット戦闘機を、メッサーシュミット社の技術を活用したとは言え、戦後間もない1948年9月1日に初飛行させたのは大戦中の武装中立維持に孤軍奮闘したスウェーデンの努力の賜物に思われます。また一つの機体に戦闘、偵察、攻撃の役割を担わせるマルチロール機開発の先駆でもあったので、スウェーデンの科学技術力の高さを物語ったと思います。
 2015年11月号でスウェーデン空軍博物館展示のサーブS29写真偵察機をご紹介しましたが、ウィーンの軍事博物館外周にサーブJ29F戦闘機が展示されていましたので、紹介させて頂きます。
※本稿は「大戦後戦闘機」(K・マンソン著 湯浅謙三訳 野沢正監修 鶴書房 昭和46年)を参照しました。

Saab J29F 29566/1
 軍事博物館(ウィーン)にて        2016年12月撮影


目の粗い金網に囲まれていましたが、撮影は上手く行った方でした。しかし金網の支柱が邪魔して、機首吸入口の撮影は出来なかったと記憶しています。(掲載の写真を見る限り機首は支柱の真後ろではないのですが…)




 サーブJ29Fの武装は20mm機関砲4門、AIM-9Bサイドワインダー2基。ただしオーストリア空軍の機体は1955年のオーストリア独立条約の制限により、空対空ミサイルの装備はしません。
攻撃機として運用する場合は24基のロケット弾と250kg爆弾2個を懸架します。








赤丸に白三角がオーストリア空軍の国籍マーク。オーストリアは1961年に15機、翌年に15機のサーブJ29Fを導入し、1972年まで運用しました。輸出に成功した唯一の例で、オーストリアは後継もスウェーデンのサーブ35を採用します。





サーブ29はデ・ハビランド ゴースト エンジンをライセンス生産したスベンカフライモーターRM2を搭載。ゴーストを最初に搭載した機体です。F型はアフターバーナーを装備しています。



水平尾翼取り付け部。


Saab S29 29970  (再掲) 2014年6月撮影
 スウェーデン空軍博物館(リンシェーピン)にて
 機首の様子は以下のとおりです。



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