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特集 陸海空自衛隊

F-4EJ改 (ファインモールド 1/72)

  by 寿



 ようやく完成にこぎ着けたファインのF4。仲間うちに一人ファントム気ちが、じゃなくて熱心なマニアが居て中々敷居が高いのですが逆に考えれば資料なんて借り放題だしちょびっと謎な部分があったりしても聞けばすぐに答えが返ってくるという、実に使い勝手の良い便利アイテム的な御仁だったりします。



 失敬な話だ?いやいやその辺りはお互い様だったりするので無問題。模型仲間が集まったりするとそんな持ちつ持たれつなぁなぁな関係は日常茶飯事ですよね。っていうかそれがクラブやモデラー集会の醍醐味であったりなんかします。プラモの怪しげなオーラに惹かれてオカシナ連中が集まって来ている訳ですよ。自覚があれば治りは早いと言いますが当人たちは自分こそ真っ当と信じて疑っていないので完治にはほど遠いのであります。
 まぁその辺りもまたお互い様と言うことで。 



 巷では退役に合わせてファントムフィーバーだったりする訳でしてやっぱお祭りは参加してこそオモシロイというのが今回の動機です。いやぁ~こんなキッカケって中々無いよ。だってその手の御仁たちどころかメーカーまでもが大はしゃぎで浮かれてんだもん、コレに乗らない手はないでしょ。しかしストックには空自のファントムも色々蓄積されてるってのになして新たに買ってきちゃったりするのよと言われたりもするのですがその辺はアナタ「モデラーだから仕方が無い」。



   積みプラタワーの中から「コレ作りたいっ」って思って引っ張り出して箱を開け制作にかかると勢い余って新作同種のキットを買っちゃうなんて誰しも経験あるでしょ?否、無い筈が無い(断言)。その挙げ句にストックが減るどころか逆に増えちゃうってのも「モデラーだから仕方が無い」。
 自然の摂理なんですよ。世界の理なんだから逆らっちゃマズいよね。



   そんな訳でファインモールドの最新キットF4ファントムであります。ヨンパチのディティールをナナニイサイズに凝縮させプロポーションと細部のラインも手抜かりなしという隙のなさ。あちこちにファインらしいこだわりや工夫が凝らしてあって「コレが有ればヨンパチ要らないんじゃね?」と唸らせる傑作キットであります。タミヤの新作B型ファントムもスンゴイけれどファインもじわじわとバリエーションを増やしていてその内B型も出てきそうな勢い。作り比べて並べるのも面白いかもしんないです。



  「ポケットを叩けばビスケットがふたつ」って童謡があるけれどあれは決して不思議な力で増えてるんぢゃなくって割れて二つになってるだけじゃね?などとヒネクレた考えをしてた時期もあったけれど、実はやっぱり不思議な力が作用して増えてるんですよ間違いなく。 



 だってホラ、毎度毎度減らしたはずのキットがその都度に増えてゆく。
 魔法って本当に在ったんだなぁ。





製作の詳細

(写真1)ファインモールド渾身の新作F4ファントム。このキットの見所の一つがパーツの繊細さです。見よこのペラペラな水平尾翼。ランナーに付いてる状態でこの始末。光に透かせば反対側のモールドが見えちゃうよ的な薄っぺらさ。すげえな、おい。バリも無いしこれでちゃんと湯が回ってるってのが信じらんない。どんだけの金型精度なんですか。
 バリエーション展開も怠りなくって「ファインのファントム」ってのがジャンルの一つになりそうな勢いです。全く力の入れ方がハンパない。直にB型はおろかR型も出てくるね、きっと。スペイファントムやH型まで出てきたら嗚呼もうどうしたもんやら。ファントム教信者の方々も大喜び諸手を挙げてのお祭り騒ぎだ。

(写真2)ちう訳でこの超絶パーツのモールドを台無しにするわけには行かないので今回メインで使う接着剤がコレ。GSIクレオスのMrセメントスーパーパワー(なんちゅう名前じゃ)。流し込み接着剤の中では一二を争うちょー強力なヤツ。タミヤの同系統のブツとどっちが優れているのか分んないけれど個人的にはこっちの方が好み。臭いは今まで以上にキョーレツだけどね。
 そんな訳でばしばしくっつけてべたべた塗っていきます。パーツ精度がスンゴク高くてめちゃ楽。だってパーツの形を信頼していいんだもん。なにせどこぞのアレ系統的なキットの中には取説と全く違うカタチのパーツを全く合わない場所に貼り付けろとか、カマボコを二つ段違いにくっつけた様な断面の脚パーツとか明らかにねじくれた翼とか胴体とかが平気で「どうでございますか」的な顔してランナーにバリごと張り付いてたりしてるしね。そんなん作った後に日本製キットを作ると「ここは天国か」って言いたくなります。



(写真3)

(写真4)

(写真5) ある程度組んだら主翼の前縁だの垂直尾翼だの透けたらアカン的な場所を濃いめのグレーで下塗り。水平尾翼は後で真っ黒に塗るから取り敢えず置いとく。で、実はこのファインファントムのトピックが「できる限り塗り分けする箇所を別パーツにする」って所なんだそうです。つまりバンダイの色プラとかと同じ方法論でエアブラシ一発塗りへの特化、マスキング不要街道を邁進するパーツ割りってことですね。
 チャレンジャーだなファインモールド。確かにそーゆー方向性はアリだと思うけど組み易さを犠牲にしたら本末転倒だから余程の自信が無いと出来ないよそんな冒険。最初にこの尾部のパーツ割りを見たときには「何故」って思ったけれどそーゆー意味だったのね。


(写真6)ざっくりヒコーキのカタチになったら下塗りに突入。ミディアムブルーでばーっと塗って指定色でアクセント入れて濃いめの青で迷彩入れて指定色で退色入れたらほぼおっけ~。下面色が無いから楽でいいのう。ついでに尻尾の部分と水平尾翼も下塗りでグロスブラックで塗っときます。






(写真7) 魅惑の尻尾塗り。今回もメタル系のカラーは使わず金属表現にチャレンジ。黒塗った後にミディアムグレーで明るい部分を塗っとく。


(写真8) 然る後にちょびっと明るめのグレーをぷー。う、う~ん。ちょびっと明るすぎたかね?まぁいいや、暗くするのなら後で何とでも出来るし取り敢えずはこんなもんだ。


(写真9) エナメルラバーブラックでべたべたとスミ入れ。乾くの待つ間に吊り下げ物も塗っとこうかな。翼部分は透けちゃうので透過防止の黒をペタペタ。

(写真10) 金属地剥き出しじゃない部分を塗るためにマスキング。流石にファインも水平尾翼をバラバラにはしなかった。まぁその方が正解だよ。色別に木っ端微塵になった尾翼なんて正直組みたくないもんね。


(写真11) 今回はファインモールド謹製ナノドレッドシリーズのシートベルトを使ってみました。キャノピーは開けるつもりだったし、これ一度やってみたかったんだよね。

(写真12) 上塗りが完了したらスミ入れして余分な部分はエナメル溶剤で落としていきます。いつものように面相筆でちまちまと。ファインのモールドって繊細なのは良いけれどタミヤのヤツよりも浅いからウォッシングするとものの見事につるべろりんになっちゃう。だから手間でもこーやって地道に落としてゆくしかないのよ。インストにも「モールドが埋まるからサーフェーサー吹かないで」って書いてあるくらいだし。


(写真13) 今回は色々と盛り沢山じゃ。初めてシタデルカラーを試してみました。塗膜がウルトラ頑丈で乾くのがちょー早く鬼のような隠蔽と言われるヤツです。巷で色々と噂されてるからずーっと気になってたんだよね。ただ純粋にホワイトが欲しかったのに何故かバリエーションの中に無い。なして?しょーがないので白に極めて近いと思しき色をチョイス。ただコレは基本色の「ベース」ではなくて「ドライ」と呼ばれる種類で恐らくドライブラシ用に調整された塗料みたい。中身が液体じゃなくてパテ状なのよね。

(写真14) かようにパテのような塗料をつまようじでちょびっとだけ取り出して






(写真15) パレットに見立てたプラ板にちょんと乗っける。

(写真16) 水皿の水面に筆先をちょん。水分はこれでおっけ~。足りなくなったらまた後で補給すれば良いし。


(写真17) 今回はお試しなので小物の部分だけにしときました。フロントの着陸灯まわりをコヤツでぺたぺた。



(写真18) 反対側を塗る頃には最初に塗ったところがもう乾いとる。流石に早いな。しかもアホみたいなつや消しだよ。隠蔽力凄まじいし噂通りじゃ。でもドライであったせいか塗料がかなり固めでベタ塗り向きじゃないね、やっぱり。次はベースを使って試してみたいのう。

(写真17) シート塗ってベルト着けてフェイスカーテンのハンドルもナノドレッドのパーツに這入ってたから付け替えとく。コクピットはこんなもんじゃ。ベルトがかなり太いよーな気もするけれど気にしなーい。付けたモン勝ちじゃ。

(写真18)ついでのファイン製ピトー管。ミサイルといいシートベルトといい今回はアフターパーツてんこ盛り(しかも全部ファインモールド製)の作品となってまいました。


(写真19)取り敢えず完成。吊り下げ物のASM-1はこれから塗るんだけどね。しかしEJ改がASM-1を運用出来たって今回初めて知ったよ、追加された能力は非火器管制系の電子装備だけかと思ってた。退役した後に事実を知るってのもアレだけど知らないよりはずっとマシってことでカンベンして下さいね。

(写真20)

(写真21)



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