Home  >   66式メーサー殺獣砲車 (WAVE 1/87(HO)スケール)> 特集 SF・アニメロボ>2022年5月号

特集 SF・アニメロボ

 66式メーサー殺獣砲車 (WAVE 1/87(HO)スケール)

by 素組亭気楽

 本誌の主要読者層はどういう人々であろうか。おそらく50~60代の親父達であろう。そのような読者が好む非商業スケールモデル誌でのSF特集となれば、親父による親父のためのSFメカ骨董キットを種に雑談と言うのが醍醐味であろう。
 そこで、WAVEの66式メーサー殺獣砲車の登場である。
 東宝映画「フランケンシュタインの怪獣サンダ対ガイラ」において、木々を薙ぎ倒しつつ怪物に猛射を浴びせる66式メーサー砲の勇姿は、往年の特撮史に輝く生唾ものの名シーンたることに異論はなかろう。と同時に、同車両はニッチな日本映画の脇役メカという徒花であり、海外での評価は期待できない際物でもある。そんなアイテムをインジェクションキットとして世に出してくれたWAVEに幸いあれと叫びたい。
 なお特撮怪獣映画はSFではないとのお叱りは、解釈の違いということでご容赦願いたい次第である。



 さて、本キットは30年ほど前の発売であるが、お子様相手のぬるい商品ではなく、上級者向けの本格キットである。金属スプリング・真鍮線が同梱されており、作り手に相応の技量を要求する内容となっている。実際、パッケージに「このキットはマニア向け少数生産の高級ホビーキットです」との記載があり、素人大衆はすっこんでろという不敵な凄みまで醸し出している。当初の価格7,800円。高級キットというか割高キットというか判断に悩む水準である。
 キット内容としては、パーツの合いの悪い箇所やヒケが散見されるものの、失望を誘うようなディテールの省略はなく、砲塔・砲身部のパーツ構成を見るだけで設計者の惚れ込み具合が知れる名キットと言って良いだろう。さらに組立説明書が秀逸で、キットの改造方法のみならず、車両についての設定資料満載で読み物としても面白い。ちなみに、本キットは数年前にもパッケージ替えで再販されたのだが、版権の関係からであろうか、設定資料が省略されてしまっているとのことで大変残念である。



 私は、いわゆる素組派である。なので基本的にストレートに組んでいる。組みづらい箇所もあるが、エッチングパーツまで一般化しつつある現在の水準から見れば、手に負えないというほどの事はないという印象である。
 塗装は設定を完全無視してしまった。66式砲車のフォルムは最高なのに、オリジナルでは車体上半分がシルバー、砲塔周りに妙なブルー配色、パイプとタンク類は派手な原色、台車にトラ柄帯というもので全くいただけない。子供に媚びるなとまでは言わないが、兵器にそのような色使いをする意味が全く見いだせない。デカールが死んでいたことも手伝い、独自解釈での塗装にすることとした。
 時代の空気を考えると、1966年当時の自衛隊装備には地味な単色がお似合いであろう。華は日の丸だけで十分である。一方、パラボラ内側はシルバーでは安っぽいため、トアミルのボーンミラーでテカテカの鏡面に仕上げた。いい雰囲気が出せたと思う。汚しは油彩(アプタイルンク502)で控えめに行い、マットのコーティングで完成。



 キット最大の不満点はスケールである。何故にHOスケールなのか。1/35、いや、せめて1/72であってくれれば、他キットとの組み合わせで一層楽しめたのにと恨めしい。実は、その解答までが組立説明書に載っている。当時存在していた30cm級の怪獣のガレージキットとのスケール統一感を重視した事、ジオラマ仕立ての際には鉄道模型用HOスケールの各種素材の流用が便利だからとの事である。兵器類欲しければ、ロコ社からHOスケールの物が出ており、流用するのも一手とある。なるほどと思いつつもやっぱり恨めしい。
 ところで最近、アオシマが1/35戦線に自衛隊トラックで殴り込みをかけてきた。その勢いで、血迷って1/35でコレを出さないかと密かに願っているのだが、まあ、あり得ない話であろう。



  Home> 66式メーサー殺獣砲車 (WAVE 1/87(HO)スケール)> 特集 SF・アニメロボ>2022年5月号
Vol.165  2022 May.     www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /
                    editor Hiromichi Taguchi 田口博通 /無断転載を禁ず/リンクフリー
「webモデラーズ について」 「広告のご出稿について」

プラモデル模型製作特集2

TOTAL PAGE