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Handley Page Victor K.2 (Pit-Road 1/144)
by 大山 盛幹
2014年にピットロードよりまず爆撃機型のビクターB.2が発売され、それに引き続いて2016年に給油機型のビクターK.2が発売されました。それまでは、1/144のビクターはAnigrandのレジンキットかWelshのバキュームフォームキットしかなかったところに、万人が作ることができるインジェクションのキットが発売されたことはうれしいことで、私も数個、購入してしまいました。1/72では大きすぎますが、1/144では適度な大きさでコレクションにも最適です(でも、Matchboxのキットも完成していないのにもかかわらず、Airfixから1/72のキットが発売されると、躊躇なく買ってしまいました。(笑))。
実機のハンドレページ ビクターは「ビッカース バリアント」、「アブロ バルカン」と続く3Vボマーの機体で、初飛行、飛行隊配属そして退役したのも3機種の中では一番最後でした。三日月翼と言われる主翼の平面形が大きな特徴です。量産されたのはいずれも爆撃機型のB.1、B.2の2形式で、B.1から給油機K.1、B.2から戦略偵察機B(SR).2、給油機K.2への改修がなされました。爆撃機型B.2から給油機型K2への改造は、爆弾倉への給油タンクの装着、主翼下への給油ポッドの取り付け、通信装置や電子機器のアップグレードがされました。そして、外観で一番大きな変化は、主翼の疲労寿命の延長を図るため、主翼スパンが片翼約46㎝短縮され、機首の爆撃照準用窓が塞がれました。
ビクターは、フォークランド紛争と湾岸戦争を経験していますが、有名なのはフォークランド紛争における「ブラックバック作戦」でした。これは、英領アセンション島からフォークランド島のポートスタンレー飛行場の爆撃に1機のアブロ・バルカンを飛ばすため、予備機を含めて11機のビクターがバケツリレーのように給油をしていくものでした。
さて、キットの雰囲気は、まさにビクターK.2ですが、前述の通り、給油機型は主翼が爆撃機型より短縮されており、惜しむらくは爆撃機型に給油機型パーツをセットしたため、主翼が爆撃機型のままとなっています。このため補助翼とピトー管との間を片側で約3㎜(実機で約46㎝)詰めます。切り離した翼端は真鍮線で補強して改めて接着します。この結果、補助翼外側のラインとピトー管を結ぶラインがほぼ一直線となっていますが判りますでしょうか。この主翼の工作を行えば、基本的な外形は問題ありませんので、誰でもビクターK.2を完成することができます。追加工作としては、エアブレーキ基部に軽め穴を開口してあります。そして、一番閉口したことは、老眼の目で、前脚、主脚合わせて全部で18個のタイヤの塗装しければならないことでした。
塗装は、1990年の湾岸戦争「デザート・ストーム作戦」に参加した第55飛行隊所属の「Lucky Lou(XM717)」機で、上面ヘンプ、下面ライトエアクラフトグレーです。機首の上面、下面の塗り分けについては世界の傑作機№187の14頁からのページによくわかるカラー写真が掲載されています。細部塗装としては、主翼付根の空気取入口内のフェンスの一番内側はヘンプ、主翼付根上面の歩行帯はデカールが用意されていませんので、ダークグレーで、主翼下面の空気取入口先端は白、胴体後部のエアブレーキ直下にあるでっぱりは、胴体後部の損傷を防ぐためのテイルダンパーの尾輪タイヤなので黒く塗ります。また、給油機型は、機首の爆撃照準器用の窓は塞がれていますので、ここもヘンプで塗装します。デカールはキット付属の物を使用しましたが、筋彫りにもなじむ薄い上質の物でした。ただ、主翼下面の注意書きデカールが主翼下面全面のデカールになっていたのには驚きでした。
資料としては、以前は、Scale Aircraft Modelling(1983年№7)くらいしかなかったのですが、最近はビクターの資料も多く発売されています。参考にしたのは、Linewrights Aeroguide№11「Handley Page Victor K2(1985年)」、Ian Allan「Handley Page Victor(1988年)」、Aerofax「Handley Page Victor(2009年)」等ですが、入手しやすさと日本語の資料として、前述の「世界の傑作機 №187」が細部写真も多くお勧めです。
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