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T2V-1(T1-A)シースター (ソード 1/72)

  by 加藤 寛之



 珍なT-33、って感じの飛行機。要するにT-33の艦上練習機型になる。航空情報臨時増刊『世界航空機年鑑1958』によれば、ロッキード社の自主開発で1953年12月15日初飛行。エンジンはT-33よりも30%以上パワーアップされ、高揚力装置として境界層制御装置(吹きだしフラップ)を実用機で最初に装備した機体だそうだ。同書には「原型より洗練され」とあるが、モコモコしていてプラモデル的には洗練と逆方向に見える。
キットはいわゆる簡易金型で、やや暗い灰色のプラ。コックピットや足周り、アンテナなどはエッチングパーツが付いている。プラパーツ状態ではイイカンジに見えるが、組む過程は調整につぐ調整で、手間がかかる。全てのパーツで、接着面の均しや抜き勾配の整形が必要だ。パーツの形の精度も充分でないので、外観をしっかりと組むだけで相当に大変だ。



 コックピットは前後2席分をプラでバスタブ型に組み、レジンの座席をのせる構造。計器盤などにはエッチングパーツがあり、貼り重ねるようになっている。台座となるプラパーツが正確ならば使えるが、切ったり削ったりする必要があるので金属貼付は問題を大きくするように思う。よって、私は使わなかった。椅子は胴体を組んだ後から入れる方がよい。高さ調整をしないと風防が閉じなくなる。組み図では計器盤カバーも早々に取り付けるようになっているが、これも風防パーツとの調整が必要だから安易な接着は事故のもとだ。
 前脚庫は前席の箱組みの下部に取り付け、後席の箱組みとともに胴体へ接着する。接着場所はあいまいだから、自己責任で決める。
尾部には排気管パーツがある。胴体側の穴の整形が必要だから、胴体内部にランナー片でストッパーを設け塗装後に差し込むようにした。
機首内に錘をいれたら、胴体左右を接着。多少ガタガタしているが、簡易金型はこんなモノだ。垂直尾翼の後縁が厚い。ダルい曲面のラダーの後縁を調える必要があるので表面から削った。水平尾翼は、まあ合格。水平尾翼は主翼取り付け前のこの段階で胴体側に接着。このときに垂直尾翼と水平尾翼の中心線が直角になるようにする。
主翼は、後縁を薄くする。内側から接着面をガリガリと削り、さらに上下接着後に後縁を削り上げた。



 主翼を胴体に接着するときは、水平尾翼とねじれないようにする。接着順は、まず下面の胴体後部が最初。内部に高さ合わせのプラ板を設け、段差ができないようにした。次に下面の前部。吸気口あたりでだいたい合わせて、接着。充分に固まったら、上反角が左右で揃うように主翼上面と胴体側を接着…出来ない。隙間がある。隙間に薄いプラ板を挟んで、なんとか接着する。パテも使って整形したが、ここはステップの黒色になるのでテキトウでいい。
 吸気口パーツは充分な整形が必要だが、私は「まあいいか」程度でOKにした。
 風防パーツは、特に後端の調整が必要。胴体との角度を整え、透明パーツの厚み部分の内側にある角を切り落とすだけで、かなり改善する。そこから先は、根気で調整する。風防には中央に内側フレームがある。私は薄いプラ板を大雑把に曲げて胴体側に差し込むように仮止めし、そこへ風防をのせて押さえ、内側の形にだいたい合わせた。細かいことを気にしていたら完成しないので、テキトウでOKとする。



 主脚は、ちょっと短いように思うが気のせいか。前脚は形が気になる。オレオがペチャンコ状態では??しかも工作が原因なのかキットパーツかマズいのか、超々機首上げになった。まあいいや、でちょっと短縮した。足周りにもエッチングパーツがあるけれども、私は使わなかった。
 キット指定では、後胴右側に排油パイプ?みたいなモノを取り付けるのだが、壊れそうなので省略した。
 さて、塗装。キットは3種から選択で、2種は赤白のハデなもの、もう一つが全面明灰色のジミなもの。塗装嫌いの私は、当然のように明灰色にした。このジミ塗装になると型式はT1-Aになるらしいが、まあどうでもいい。塗装は特に説明することはなく終了。デカールはエデュアルド製。発色や刷りがいい。フィルムはやや硬いが充分に合格。最後に光沢クリアをブブブブっと吹きかけて完成した。

 作りやすいとは思わないが、珍しい形なので楽しかった。エッチングパーツもいいけれども、外観をしっかりと組む方が、私には大切に思える。それと、白いプラでモールドしてあったらいいのにな、と思う。昔ならプラの色を実機にそろえるのは当然だったのに。まあ、考え方をかえれば、地色は暗い方が重厚な発色にはなるのだけれども。


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