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  F104 J  スター・ファイター (マルサン1/100)

by 小山新一


(初めに)

 1/100は今ではすっかりマイナーなスケールとなってしまった。それゆえに、このスケールの飛行機を作り続ける私に、「ひょっとしてコンプリートねらってるんですか?」とたずねる模型仲間がいたりする。完成機が増えるのは嬉しいが、そのことはまったく念頭にない。殆ど新作のないスケールではあるが、機種は膨大である。
 マルサンとタミヤのシリーズが代表として浮かぶが、タカラが出したエリア88シリーズがあり、大昔のものであればYMCの複葉機中心のキット群もある。旅客機まで広げればニットーの製品群もかなりの数がある。コレクションもそのコンプリートにもこだわらず、気の向いた機種を少しずつ作っていきたい。もちろん他のスケールのキットもだ。
 さて、マルサンのF104Jである。発売は1960年代初めあたりであろうか。大戦機の単発機が50円だったとき、ひと回り大きいジェット機は80円であった(F86 Fセイバーは50円!)。パーツ構成は、タミヤの1/100のF104とそう変わらない。ただし、タミヤのキットにあれこれはいっている武装パーツは一切ない。参考までに、インストとボックスを掲載する。
 その橋本喜久男氏の手になる1/100のボックス・アートは、数あるF104のボックス・アートの中で、私見だがベスト・ワンだと今なお思っている。緩降下してくる機体を前下方からとらえたアングルがいいし、的確なデッサンと手なれた彩色による金属感が素晴らしい。何より背景である。夕暮れどきであろうか下の雲がオレンジに染まっているが、機体の背景の空が黒に近い濃紺だ。これがナチュラル・メタルの機体を引き立たせている。

ボックス・アート


なつかしのインスト

(制作)

 今回キット添付のデカールは使えないので、ストックのタミヤ1/100を1機、並行して作ることにした。これの空自のデカールをマルサンのキットに貼り、タミヤのには西ドイツ空軍のデカールを貼ることにしたのである。以前に完成させたタミヤの空自機があるので、都合3機のF104のオーナーになったわけだ。
 外形はマルサンに比べ、タミヤのキットがいささか細身である。ここはどちらかといえば、マルサンの方に軍配があがるのでなかろうか。モールドの比較では、タミヤの方が断然精密である。マルサンの方はほとんど舵面の線のみで、方向舵など凸線で表現してある。タミヤを参考に、垂直尾翼の外板の線をカッターで彫り込んだ。
 どちらのキットも合わせの悪い箇所があり、パテ盛り削りは必須である。小さいキットゆえ、大仕事にはならないが、逆に小さいがゆえに、老眼泣かせであった。
 かくて下地をととのえたのち、マルサンのはクレオスの缶スプレー(銀)を吹き、タミヤのは筆で迷彩を施し、デカールを貼って完成となる。
 マルサンのキットで、主翼端の燃料タンクがいささかオーバー・スケールに感じられたので、一度とりつけたがはずしてしまった。タミヤの空自機と並べた時、見分けが一目でつくのは利点かも知れない。タミヤのF104は「タミヤ全仕事」によれば 1968年初版とあるから、マルサンとは5年ほどの開きがある。細部表現での進歩はあるが、並べて遜色がない。

主要なパーツ構成


右側面


左側面(後方から)


タミヤの空自機と


西ドイツ空軍機を加えて



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