Home  > PORSCHE 356A (TOMY 1/32)>特集 ポルシェ>2022年9月号

特集 ポルシェ

PORSCHE 356A (TOMY 1/32)

by 五六式(TYPE-56)

 倉庫からTOMYのポルシェ356Aを発掘しました。



  うちの子がまだ小さかったころ,地元岡山で広く展開している天満屋ハッピータウンの玩具売り場(1980年代は,スーパーにも玩具売り場が普通にありました。)で8割引で売っていました。同包していたメタルパーツやエッチングパーツにユーザーが恐れをなしてさっぱり売れなかったためではないでしょうか?40年経った今なら,ツールも簡単に手に入るし,モデラーの技術も進化しているので状況が違っていたかもしれません。(もし,再販するなら,バックミラーだけはプラパーツも同包してね。)

<実車について>

昔,遭遇した実車

 1948年から1965年まで生産された。ポルシェの名を冠した初のスポーツカー。フォルクスワーゲンのエンジンを元にした空冷水平対向エンジンを車体後部に装備し,後輪を駆動するRR方式を採用している。A型は,1955年から1959年まで生産され,以降,B型,C型と発展した。

 その後,ポルシェ356の後継車となったのが,あまりにも有名なスポーツカーの代名詞,ポルシェ911である。

<キットについて>


 初版は,1982年。ノーマル版とレーシング版があり,1990年頃にハセガワから再版されています。
 メタルパーツやエッチングパーツが入っているため,当時としては,定価¥2500と高価(ゲルググが5個買えた!)なキットでした。
 その金属製パーツの扱い方については,組み立て説明書に丁寧に解説されていて,素直に従えばきちんと完成させられますが,経験の浅いモデラーは,びびっちゃったことでしょう。
 部品の精度は,良好で最近のキットと比べて何の劣るところもありません・・・というか,東欧キットを大きく凌駕しています。エッチングのバックミラーの加工と取りつけを除いて組み立てでストレスを感じるところはありませんでした。

<製作>
 パーティングラインは目立ちませんが,おそらく,塗装すると浮き出てくるのは必定なので地道に溶きパテとサンディングで消しました。


   トランクとエンジンフードが開くようになっていますが,僅かに隙間ができるので固定して製作しました。もう1個キットがあれば,開いたまま固定で作るのもよいかと思います。



 エンジングリルからエンジンがちらっと覗けるのでエンジンルームの塗装は,必要です(説明図に塗装図があるので安心)。

 部品の精度が高いので合わせの調整は必要ありませんが,エッチング部品(バックミラーの部品は,油断するとねじ切れてしまう。)やダイキャスト部品(固い)の扱いがやややっかいです。



  コクピット内に,多数の突き出しピンの跡があります。

赤 目立つので必ず処理しましょう。
黄 組み立て後は目立ちません。気になるのなら処理しましょう。 
緑 ロールバーの取り付け位置を示しています。ロールバーを取りつけるなら残しましょう。
青 組み立て後は,見ることが困難です。「でも,許せない。」という人は,処理しましょう。


 ボディサイドのモールを表現するステンレス線の寸法は,キットのボディの取り付け穴の間隔とぴったりと一致しています。東欧キットなら,ステンレス線の加工も穴開けもモデラーに丸投げだったことでしょう。MADE in JAPAN,偉い!説明書には「ボディの曲面に合わせて少し曲げておきます」と書いていますが,これは,悪手。

① ボディの塗装が終了したら,まずは,片方だけピンをしっかり差し込んでボディ裏からゼリー状瞬間接着剤で固定し1時間放置。
② もう一方も,同様に接着。ステンレス線の張力で外れないよう,しばらく押さえておく。
③ 退屈なので録り溜めたビデオとかを見る。これは,半乾きのゼリー状瞬間接着剤があちこちにつくのを防ぐための措置。
④ モール4本をこうやって1日がかりで固定する。

 下手にステンレス線を曲げてボディにフィットさせ損ねるよりステンレス線の張力に頼る方が良い結果が得られます。


 フロントのウィンカーは,メッキのままだと実感に乏しいので白の塗料の上澄みを薄く塗っています。←記事の最初の写真参照。


 ボンネットのメッキされたモールにポルシェのエンブレムのデカールはフィットしませんでした。←記事の最初の写真参照。


 小スケールキットの辛いところです。黄色い紙を五角形に切ってクリアで固めてなんちゃってエンブレムにしました。

<完成>


 旅行中に遭遇した個体にちなんで黒一色で塗装しました・・・かっこいい〜・・・。


 メタルパーツのおかげでずっしり重いです。繊細なパーツもあるので,完成したら触らずにケースに入れておきましょう。



 幌の部分は,固定せず,取り替えて楽しめるようになっています。



   自動車って,超高性能でなくてもいいし,低燃費でなくてもいいし,このぐらいの規模でいいよね。



 電気自動車なんてとんでもない!


 漢なら,ガソリン燃やして走れ!


 このキット,メーカー自身でちゃんと組み立てて,完成するかどうか検証されていると思います。


 それが,部品の精度や組み立て説明書の記述に明らかに反映されています。本当に良心的なキットです。 


 <追補>
 キットも完成し,原稿をWEBMODELERSに送ってしばらく・・・

改修しなければならないところがあることに気づいてしまいました・・・。

 ステンレス線で表現しているモールですが,

前部フェンダーからドアにかけて,モールが1本のわけはないだろ〜!2本に分かれていないとドアが開かないよ!
↑まぁ,可動部がないので開きはしないのですが。

塗装もデカール貼りも終わった時点で気づいても後の祭り。



 しかたがないので,2つのパーツに分かれているように見せるために,本体をマスキングテープで保護しつつ,目立てヤスリで筋を入れ,そのへこみに車体色を入れました。調子に乗ってステンレス線を切断してしまったり,本体に傷を入れたりしないように慎重に作業しなければなりません。

 本来は,塗装前にやっておくべき作業でした。塗装前なら,あらかじめ,2つに切り離して切断面をなめらかに処理するという手もあります。どの時点でどの方法をとるか,1人1人が自分に適した戦略をたてる必要があります。

 もし,キットをお持ちの方がありましたら参考にしていただければと思います。


<シン・ポルシェ356 完成>
 写真にしてしまえば,たいした違いではないのですが,実物を手にしたとき,追加工作の効果を実感できると思います。







  Home>PORSCHE 356A (TOMY 1/32)>特集 ポルシェ>2022年9月号
Vol.169  2022September.     www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /
                    editor Hiromichi Taguchi 田口博通 /無断転載を禁ず/リンクフリー
「webモデラーズ について」 「広告のご出稿について」

プラモデル模型製作特集3

TOTAL PAGE