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(Photo) Pfalz D.Ⅲ(Replica)
by コルディッツ
博物館実機写真
ファルツ D.Ⅲ戦闘機はファルツ航空機製造会社が製作した複葉
単座戦闘機で、1917年6月に初飛行しました。ファルツ社は1913年
にシュパイアー(Speyer)で設立され、佐貫亦男教授は「フランス
のモラーヌ・ソルニエ機のライセンス生産や、後にはドイツのロー
ラント戦闘機などの下請け生産をやった、いわば二流である」と
書いています。(「ヒコーキの心」の「二流の誇り」光人社)
現存機はなく、1966年の映画「ブルーマックス」撮影のため飛行
可能なレプリカ機が2機作られ、その後1987年に3機目の飛行可能な
レプリカ機が作られています。そして2005年に現代のファルツ社が
展示用のレプリカ機を作り、シュパイアーにある技術博物館に現在
は展示されていますので、ご紹介させて頂きます。
※ 本稿は博物館の標示と「ヒコーキの心」(光人社NF文庫)、
「世界の軍用機図鑑」(コスミック出版)、Wikipediaを参照しま
した。
Pfalz D.Ⅲ 1362/17 (Replica)
技術博物館(シュパイアー)にて 2020年2月撮影
合板外皮のセミモノコック構造で、「鮫のような」と描写された
ように滑らかな表面で銀一色。私は一瞬金属製かと思いました。
実機の発動機はメルセデスD.Ⅲ水冷列型6気筒160hp、最大速度
165km/h(高度3,000m)、航続時間2.5時間とされています。武装は
7.92mm LMG 08/15 シュパダン機関銃2挺です。
アルバトロスD.ⅢやD.Ⅴは、ニューポール一葉半機を真似て、
翼間主柱をV形にしましたが、ファルツD.Ⅲは木製の丈夫なU形
を採用したことを佐貫教授は高く評価しています。中央翼支柱も
逆U形で「頑丈なファルツはアルバトロスのように急降下中に空中
分解の心配がなかったため、それだけ安心感があって、空戦に強
かったといえる」と書いています。
翼間支柱の上翼取付部(写真上)と下翼取付部(写真下)
逆U形の中央翼支柱
発動機を175hpのメルセデスD.Ⅲaに強化したD.Ⅲa型と合せ、
約1.010機が生産されました。アルバトロスD.Ⅴaやフォッカー
D.Ⅶに性能は劣りましたが、頑丈さと急降下速度の速さにより、
容易に撃墜されなかったため、終戦時(1918年11月)に166機が
使用されていたとWikipediaにありました。
さらに佐貫教授は、下翼取り付け部の整形が、後年のフィレット
にあたるものとして、感心しています。
「さらに急降下速度は他のいかなるドイツ機よりも速かった。
また気球撃墜に好適であったというのも、この急降下性による
ものだろうう」とも佐貫教授は書いています。
ファルツ社はD,Ⅲの次にD.Ⅻを開発します。高性能でしたが、
登場は1918年で、より高性能のフォッカーD.Ⅶが先行し、さらに
フォッカーD.Ⅷも登場したため、500機(別説あり)の少数生産に
終わりました。
ファルツ開発の2機種を「二流品」と佐貫教授は位置づけるも、
しかし特にファルツD.Ⅻに愛着を示し、その心理を「ひとがみな
一流品に気をひかれるとき、自分だけ二流品の中から渋い逸品を
掘り出したときの満足感かもしれない」と分析し、テーマを締め
ました。この分析は実に耳に痛いものです。
Pfalz D.Ⅻ 2600/13 (再掲)
戦争記念館(キャンベラ)にて 2018年4月撮影
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