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He70 (マッチボックス 1/72)

  by 加藤 寛之



 ワールドホビーショップはせがわの店主さんがちょっと前に作り、店頭に飾ってあった。ちょうど友人からキットを頂いてあったので、私も旅客型で作ってみた。
金型は1988年製らしい。キットは3形式から選択できる。スペイン内戦の軍用機型、旅客型のルフトハンザ仕様、そして空冷エンジン装備のハンガリー空軍型。3つめの形式はペラも3枚になる。空冷エンジン装備型というと異様に感じるかもしれないが、実は99式艦上爆撃機の原型がこれにソックリ(だと思う)。この型式選択ゆえに機首と胴体背部が別パーツになっている。パネルラインの表現は例の太い筋彫りでなく、細い凸線で描いている。
 キットは、機内から組む順になっている。機内は必要最低限より多少マシな造形になっているが、結論からいえば機内はほぼ見えないので、全部を省略しても大丈夫だった。窓類は透明パーツと胴体側の双方の厚み部分を黒に塗ってから接着する。この塗装でプラの厚み感を緩和できる。胴体背部は胴体左右を接着後に、「まあ、このあたりか」と位置決めして接着する。ピタリとは接合できないので、テキトウに。
 機首パーツは、接合部分がダルい。そこで胴体側の凸ガイドを切り取りって平らに整形した。凸ガイドと胴体との窪みにカッターの刃を入れてグイツと切り込めば、簡単に削除できる。胴体左右を接着して固まってから、面を平らに整形する。エンジン側の接合面も、平らにする。「まあ、こんな感じかな」くらいに妥協して、胴体と接着する。
水平尾翼は翼面をなだらかに整え、楕円翼の平面形を滑らかに。前縁は厚みが滑らかに変化するように整形。接着面も胴体側とともに整形。整形が済んだら、垂直尾翼と90度になるように胴体へ接着する。これが主翼取り付けの際の基準になるので、位置決めは大切。
主翼は頑張って造形しているが、右上面のエルロンが翼面よりも上がっている。ここはエルロンの左右を残してカッターで切り離し、翼側をウラから持ち上げて固定して改善。後縁の厚みは、接着面を多少削るとともに、接着後に下面から削り上げで薄くみせる。当然、削り上げたところは不自然になるが、完成後に上から見る限り支障がない。後縁の整形では、特に胴体に近い窪んだところを、無理しない程度にスッキリさせる。どうなっていたら良いかは、He111の同じ部分を観察すれば判断しやすい。
主翼と胴体の接着には大いに難がある。



  まず、上反角。これがまったく決まらず、下面には隙間がパックリと開いてガタガタ。しかも組図に上反角を示す図もない。とはいえ、なんとなくここがキットの目指す位置だろうという所にした。軽い逆ガル状の取り付け位置であることやこの時代の飛行機だから、上反角はやや強めなのだろう。まあ、こんなモノか。
次は下面側の穴埋め。隙間に伸ばしランナーを詰め込む。次に瞬間接着剤を流しこみ、すぐにガリガリ削って削りカスを落とし込み、そこへまた瞬間接着剤を流しこむ。すぐにまたガリガリ削って削りカスを落とし込み、そこへまた瞬間接着剤の流しこみ。これを3回くらいやると、ほぼ埋まる。しかもランナーやカスでガチガチに固まるので強度も充分。最後に溶剤で溶いたパテを塗り、軽く仕上げてOKとする。
上面側は、まず隙間に瞬間接着剤を流しこんで溝に底を作り、その後に溝へ溶剤で溶いたパテを塗り、余分を溶剤でふき取って終了。最初の瞬間接着剤の流しこみをサボるとパテが窪んでしまい、なかなか終わらない。
細かなとこころでは、風防パーツの工夫が面白い。内側にガイドがあってしっかり置ける。
プロペラは軸がズレているので、軸を切り落とし妥当な位置へ接着した。
主脚の取り付けは曲芸的。



 塗装では、書くようなことがない。ペロペロッと塗っただけ。デカールはちゃんと使えた。マッチボックスは、古くてもたいてい使える。

 さて、感想。主翼と主脚が何とかなれば完成できる、というところか。難物であることは確約できる。でも売れそうにもないのに1988年の時点で発表してくれたし、3型式から選択できるのだし、よってマッチボックスは偉い。感謝である。



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