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(Photo) セクストン 25ポンド 自走榴弾砲

by  コルディッツ
博物館実機写真

 セクストン(寺男)25ポンド自走榴弾砲は、カナダで生産されていたラム(雄羊)戦車、後にグリズリー(灰色熊)戦車の車体に、25ポンド野砲/榴弾砲を搭載したものです。ラム車体流用がセクストンⅠ、グリズリー車体流用がセクストンⅡになります。
 開発が先行したビショップ(司教)自走砲も25ポンド砲搭載ですが、射程距離が短縮等の欠陥が多く、更新が必要でした。
 1942年9月に米国製M7プリースト(聖職者)が英軍に供与され、第二次エル・アラメイン戦で活躍しました。しかし搭載の105mm榴弾砲は英軍の装備体系になく、砲弾供給の課題が生じました。
そこで25ポンド砲搭載の新型自走砲が開発されることになったものです。
※ 本稿は博物館の標示、「世界の戦車」(コスミック出版)、帝国戦争博物館Wensaite、Web戦車研究室、Wikipediaを参照しました。

 M7 B2 105mm自走榴弾砲 プリースト(Priest)
 技術博物館(ジンスハイム)にて   2011年11月撮影


 M3中戦車の車体を用い開発されました。写真のB2型はM4中戦車の車体に換え、搭載する105mm榴弾砲の仰角を+35度から+65度まで取れるよう改修しました。ジンスハイムの展示物ですが、最初に見た時、小型過ぎるように感じました。しかしその後も肯定も否定も資料が見つからずです。今後もリサーチして行きますので、よろしくお願い致します。

 オードナンス QF 25ポンド砲(Oldnance QF 25 Pounder)
 帝国戦争博物館(ロンドン)にて  2008年7月撮影

 英軍の誇る25ポンド砲。タミヤ1/35が懐かしいです。

 ラム(Ram)巡航戦車
戦車博物館(ボービントン)にて  1996年4月撮影

 カナダのモントリオール・ロコモティブ社が、M3中戦車の車体を用いて開発した全周旋回砲塔の巡航戦車です。米国のM4中戦車の大量生産が進むと、ラムは余剰になり、カナダ国内での訓練に使用されました。他方カナダ軍はラムをベースにした25ポンド砲搭載自走砲の独自開発を進め、1942年6月に完成します。
 試験後にカナダと英国は当自走砲を発注、1943年5月にセクストンの名称が与えられ、ラム車体の自走砲はセクストンⅠになりました。 

 グリズリー(Grizzly)巡航戦車/M4A1/シャーマンⅡ
帝国戦争博物館ダックスフォードにて 2008年7月撮影

 モントリオール・ロコモティブ社は、M4A1中戦車のライセンス生産を始めます。この戦車がグリズリーで、カナダ独自の改修がされています。特に目立つのは履帯で、CDP(Canadian Dry Pin)と呼ばれる全鋼製のシングルピン式履帯に換え、また起動輪も13枚歯から17枚歯の物に換えています。CDPは重量が米国式より半減し、コストも安価ですが、米国でM4中戦車が大量生産されていたので、188輌で生産打ち切りです。グリズリーもカナダ国内での訓練に用い、実戦に参加していません。そしてグリズリーの車体はセクストンⅡになりました。
 写真のグリズリーは、戦後に同戦車を導入したポルトガル軍を退役した車輌のようです。

  セクストン Ⅱ 自走榴弾砲(Sexton Ⅱ Self Propelled gun)
帝国戦争博物館ダックスフォードにて 2004年1月撮影  

 地上車輌館のD-Dayホールに展示されていました。セクストンは英軍とカナダ軍に配備され、ノルマンディ上陸作戦時に揚陸艦艦上から火力支援を行なっています。セントー戦車以外も揚陸艦から海岸砲撃した自走砲もあったことを、今回知りました。

  Sexton Ⅱ  Breda
 軍事博物館(ワルシャワ)にて    2009年4月撮影  

 ポーランド陸軍第1機甲師団配属車輌。同師団は第1カナダ軍の第2カナダ軍団に所属し、1944年8月1日にカーンに上陸しました。
ファレーズの戦闘で奮闘し、その後英仏海峡沿いに北進します。
10月にネーデルランドのブレダ市を解放しているので、写真のセクストンⅡに書かれている「BREDA」はその記念かと思います。
ポーランド第1機甲師団は、終戦時にウィルヘルムスハーフェンに至りました。

  Sexton Ⅱ  
 戦車博物館(ソミュール)にて    2016年8月撮影  

 流石にソミュール戦車博物館、セクストンのフランス軍配備はなかったと思いますが、ノルマンディ上陸作戦に使用されたことから、収集品にしているのでしょうか?


   老眼なもので、起動輪の17枚歯を確認するのは疲れました……







 25ポンド砲は車体の左側に寄せてオフセットされています。
 右ハンドルの国が理由と思いますが、親近感が沸きました。



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