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特集 アメリカ

 Blue Thunder「ヤツはそこにいる…」 (Monogram 1/32)

by 大山 盛幹  (翔バナイカイ)



 今月のテーマは「アメリカ」です。F-4ファントム、F-14トムキャット、P51ムスタングとアメリカ機といえば人気の機体も多く、それらの記事が多いのではないかと思われ、今回はニッチなところでアメリカンムービーからMonogram 1/32 Blue Thunderを製作しました。



 映画「Blue Thunder」は、ジョン・トラボルタが主演した「Saturday Night Fever」などで知られるジョン・バダムが監督を務めた1983年に製作されたアメリカ映画です。ちなみに「ヤツはそこにいる…」は日本公開当時のキャッチ・コピーでした。映画タイトルになっている「Blue Thunder」は、ロサンゼルスオリンピックに向けてのテロ対策と警備強化を目的として開発されたヘリコプターの名前です。



 映画でのBlue Thunderの想定スペックは、全長12.0m、全高3.16m、ローター・ブレードの直径は10.5m。最大速度は320㎞/h、巡航速度は220㎞/h、航続距離は800㎞で滞空時間は3時間、上昇限度は18,500ft.とされています。ガトリング砲(映画ではエレクトリック・キャノンと呼ばれていました)やパイロットの視線に連動したコンピーティング・サイト等多くの新機能が搭載されていますが、これらの機能は荒唐無稽なものではなく、1990年代に実現されているであろう技術レベルが意識されており、現在では、攻撃ヘリでそのほとんどが実用化されています。



 メカの主役とも言えるBlue Thunderは、Aerospatiale/Westland SA.341 Gazelleをベースにコクピット部分をダイヤモンドカットの様な多面形風防に変形するとともに、機首下面に6銃身のガトリング砲、胴体左右に消音排気管(?)が取り付けられています。改造前の機体と比べ、大型化した風防やガトリング砲のために機体前部が重くなって、重心が改造前より前方に偏ったため操縦が難しかったとそうです。この実機改造機以外に、空撮アクション用に1/6スケールのラジコンモデルも製作されています。このラジコンは複数製作されたようで、エンジンの排気管が上に湾曲した機体と、ストレートな機体があることが映画で確認できます。



  Blue Thunderは、映画公開後の1984年にMonogramより1/32のキットが、そして2009年にAoshimaから1/48のキットが発売されています。そして、この2社以外にも、MonogramのOEM(海賊版?)が数社から発売されていました。



 さて、Monogramのキットは、1/32といってもパーツ数は多くなくプロポーションは良好で、要領よくまとめられており、胴体パーツとエンジンが一体パーツとなっています。ガトリング砲先端パーツは砲口がちゃんとモールドされています。また、Monogramのキットの常としてクリアーパーツが非常に薄く透明度が高いものでした。



製作は特に難しいところはなく、インストラクションに従えばサクサクと進みます。後発のAoshimaのキットと比べるとコクピット内のレイアウトが異なっており、映画からはAoshimaのキットの方が正しいとわかりますが、ここを修正しようとすると大工事になるため、作例ではキットのままとしました。しかし、コクピット以外にも映画と異なる箇所がありましたので、次のような追加工作をしました。



① キャビン内後方の消火器をランナーから自作して取り付けました。赤くて目立ちます。
② テイルのフェネストロン駆動シャフトカバーは、上と左右に穴が開いているので、左右はモールドされているのでこれを開口し、上部は左右の穴の位置に開口します。
③ フェネストロン駆動シャフトカバーに開口したため中を通るシャフトを入れておきます。
④ 機首右側のピトー管(?)はキットでは後ろによりすぎていますので、4㎜ほど前に移動します。
⑤ テイルブーム下部にアンテナを追加しました。このアンテナは白で塗装します。
⑥ 機首の左右のサーチライトはキットのままではただの空間になるため、透明ランナーを電球らしく加工して追加しました。
⑦ ガトリング砲直後の胴体下面の左右にアンテナを追加しました。
⑧ スキッド先端に、プラパイプとプラ板でパーツを追加しました。箱絵や映画でも確認できます。
何かのセンサーかもしれません。
⑨ 左右のスキッドに移動用車輪の取り付け部を追加しました。
⑩ 左右のスタブウィングに2本のケーブルを追加しました。
⑪ コクピット上部についているマイクロフォンにケーブルを追加しました。
⑫ 胴体後部下部のビデオカセット収納部の扉をプラ板で追加しました。
⑬ 胴体下部の四角い部分に伸ばしランナーでモールドとプラ板でパネルを追加しました。



 塗装は、全面濃いブルーで、Mr.カラーの№328を使用しました。胴体下面のセラミック装甲部分はMr.カラーの№328に黒を混色した色としました。風防の赤いラインはデカールが用意されていますが、塗装しました。映画では排気管の色がシルバーと焼鉄色の2種の機体がありましたが、シルバーではおもちゃのように思えたので焼鉄色で焼けた感じとしました。フェネストロンの後ろの「DAINGER」マークはデカールが用意されていますが文字だけですので、このデカールを貼る部分は四角く赤で塗装しておくことが必要です。ローターヘッドとローター・ブレード付け根は赤、黄、青の帯で塗り分けられていますのでこれを再現するとよいアクセントとなります。



  デカールは、古いキットですので使えないかと思ったのですが、文字類が黄色でグレーのシャドウ付きのため塗装が難しくて、「02」の機番と「25102」のシリアル番号と「DAINGER」マークは付属のデカールを使いましたが、バラバラにならずキチンと貼り付いてくれました。しかし、テカリが激しく塗装部分との差異がはっきりしていましたので、クリアー、フラットベースとシンナーを混ぜた自作トップコートでオーバースプレーして艶を整えてあります。



資料としては、Blue ThunderとAerospatiale/Westland SA.41 Gazelleのネットの写真、そしてAerospatiale/Westland SA.341 Gazelleの資料として Scale Aircraft Modeling 1992年11月号の記事「Aerospatiale /Westland SA.341 Gazelle」、Amberley Pub Plc「Aerospatiale / Westland Gazelle(2019年)」
を参考にしました。これらに加えて、なんといっても一番の資料はDVD「Blue Thunder」と公開当時に
買い求めたパンフレットでした。Blue Thunderのキットとしては最新作になるAoshimaのキットも参考になりました。


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