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特集 プロペラ

ユンカースJu87-G スツーカ カノ―ネン・フォーゲル
 (ハセガワ 1/32)

by 小山新一



(実機について)
 スペイン内戦や大戦初期の電撃戦を空から支え、活躍したB型を空力的にリファインしたのがD型である。多少の性能向上は果たしたものの、固定脚で、最高速度が時速400㎞ほどとあっては、連合軍の戦闘機のいいカモに過ぎず、第一線からしりぞいた戦場での使用に甘んじるしかなかった。しかし、高性能の戦闘機が少ない東部戦線などでは、まだ活躍の余地があった。戦車キラーとしての用途である。G型はこの目的に特化するべく、胴体下の爆弾架とダイブ・ブレーキを取り外し、主翼下に戦車攻撃用の機関砲をポッド式に2門装備した。この機関砲は、37mmという大口径のもので、戦車後部のエンジン部に当たれば、1発で戦車を行動不能に出来る威力があったという。弾丸は1門あたり12発と少なかったが、ソ連軍の対戦車攻撃に活躍した。
 B型に比べリファインされたフォルムではあるが、逆ガルの翼とごつい固定脚がかもし出す威圧感は大戦機中圧倒的で、これが上空から自分に向かって突っ込んでくる光景は、さぞかし恐ろしかったであろうと想像される。加えて地上の兵士を震えあがらせる意図で、脚付け根にとりつけられた風車式サイレンは、悪趣味ともいえるが、恐怖感を倍増させたに違いない。
 戦車兵、歩兵に気付かれぬための配慮なのか、G型ではこのサイレンは撤去されている(インストで、削り取る指示がある)。


機体左側面

(模型について)
  購入してから、10年近くなるかなと思いつつ、棚の肥やしになって久しい大きなボックスを取り出し、開ける。説明書をみていたら最後のページに「PRINTED IN JAPAN 2005 」とあって驚く。18年も前の購入であった。歳をとると年月の経過が、感覚より早くて唖然とすることが多い。18年という年月が、デカールを劣化させてしまっていたことに気付かされるのは、塗装がすべて終わった直後であった。「楽勝、楽勝!」と思って貼った国籍マークが、翌日には摺りガラス状になってしまっていたのである。このショックから立ち直るのに、2,3日かかりましたね。
 で、気をとりなおし、残っていたデカールをハサミで切り抜き、これらを型紙にして手描きすることにした。あせらず、少しずつ、ときにはアルファベット1文字で終わったりと、マーキングだけで10日ほどもかかっただろうか。作業のはげみとしたのは、「塗装のマーキングは、デカールと違って経年変化にずっと強い」であった。
 キットの出来はハセガワ1/32の新世代で、油ののった時期のものゆえ、全体形ディテールともに満足のいくものと言える。大型で、パーツが多いぶん、各段階をきちんと工作しないと次のステップに影響が出てしまう。私の場合、外翼との接合部などで若干のパテを使用を余儀なくされた。風防は第2、第3風防の間に隙間が出来るが、これはキットの設計ミスでなかろうかと思う。 


各部ごとに組立て進行中

 塗装は迷彩もマーキングもすべて筆塗りで仕上げた。燃料のオクタン価を示す三角マークも、テンプレートを自作して、筆でそれらしく描いてある。機体は戦車攻撃実験隊所属のG1にした。スピナーの渦巻きを綺麗に仕上げる自信がなかったためである。すべての塗装終了後、クレオスのトップ・コート(半つや)を吹いてある。ドイツ大戦機としてはつやがあり過ぎとも見えるが、Ju87のフォルムがよく出ている気がして、満足している。

機体左側面(後方から)

初回特典で付属していたルーデル中佐と、ジャーマン・シェパードのメタル・フィギュアは塗るひまがなかった。完成したら、今後つくるドイツ機の写真に登場させたい。


機体右側面(後方から)


コタツ板の上で


機体下面(このマーキングも手描き)


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