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グラマン FM-2 (アドミラル 1/72)
by 寿
FM-2はグラマンF4F4の性能向上型です。単列9気筒のライトR-1820エンジンへの換装で、複列14気筒のR-1830の1200馬力級から1350馬力へと向上してます。F4F4からアチコチ軽量化を施していて、六丁の機銃を四丁にして一丁辺りの装弾数を増やしたり、垂直尾翼を大型化したり故障の多い二段二速過給器を一段二速にしてみたりと、地味でも効果の高い改良を施してます。
ですが、性能向上というよりも不具合を払拭した機体というのが正しいんじゃないかしら。軽量化っつっても、搭載機銃弾の総量が増えて全備重量は大して変わってないし、エンジンも馬力アップより稼働率を高めることが主な目的だったみたいです。
まぁ150馬力ほど向上しているので、出力重量比が良くなっているのは間違い無いんですけれどもね。そして過給器を二段から一段にダウングレードして高高度性能は捨てましたが、中低空での能力は逆に向上したのだそうです。
因みに、同時期に出現したライバルのゼロ戦が過給器を改良して三二型となり、高空での性能を求めたのは面白い対比かも知れません。
しかーし、FM-2最大のメリットはその名前、というか生産体制にあるのではないでしょうか。GM(もちろんあのゼネラルモーターズだ)の傘下にあるイースタン航空で製産されていたというのがもうなんちゅうか、ね。作っていたのはクルマの会社ですよ。グラマンは後継機の開発と生産に忙しいから型落ちのF4Fはソッチで作ってね、てなノリでOEM製産に勤しみ、最終的な生産数は4777機。これはF4F系の総生産数65.8パーセントに為るそうな。
びっくりですよ、おどろき桃の木山椒の木ですよ。反則ですよね。
うーん、流石アメリカ。工業規格の確立とその浸透、そして隅々まで行き渡ったインフラと大量生産技術のたまものでしょう。当時の日本なんて同じ直径同じピッチのネジでも、会社やロットが異なったら入らない、なんてことが普通にあったみたいだし。今じゃ考えられないですよね。
そしてFM-2は主に通商護衛、もしくは通商破壊の為の護衛空母群に配属され、日本の輸送船を片端からいぢめまくって、海上交通路と補給体制とを締め上げまくるのでありました。地味だけどある意味、対日戦勝利の立役者の一柱。縁の下の力持ちなのではないでしょうか。
因みにゼロ戦との対戦成績ですが、F4Fの撃墜率は大戦中期から末期にかけて圧倒的大差でF4Fの勝ち。ガダルカナルでは戦果をそのまま信じれば、被撃墜の四倍近い日本機を撃墜しているのだとか。
全部がゼロ戦じゃないでしょうが「大半」と言って良いかと。撃墜には誤認がつきものですが、話半分だとしても倍の戦果をあげている計算になります。
レーダーと無線機による航空管制とパイロットの育成が如何に大事かという話ですよ。サシで勝ってるパイロットも結構いるし。あと、数ね。人的資源と教育体制の浸透もまた、アメリカには到底敵わなかった当時の日本でありました。
何処の誰ですか、F4Fがザコだなんてヨタ飛ばしているお方は~
製作の詳細
(写真1)アドミラルとは聞かないメーカーだな、と思っていたら箱の横にはAZモデルと書いてありました。ああ、成る程別ブランドなのね。箱の日本語表記やパーツの様子、デカールの具合からも納得といった次第。
(写真2) 取敢えず座席を貼り付けて機内色と黒とでべたべたーっと塗っておく。主翼も貼り合せて、小物パーツもチマチマ作って、まず一段落じゃね。
(写真3) F4Fは主脚がネックなんすよぉ~妙にパーツが入り組んでいる上に水平出すのが一苦労だしさぁ~。でも見栄えにめちゃ拘わってくるから頑張る。
補助の支柱がアンマリな出来合いだったので真ちゅう線で作り替えです。まぁそのまま組んでも誰も気付かないだろーけどね。
(写真4) 足が着いたら、後はもうこっちのもんすよ。何かこの状態だとハゼか前足だけ生えたオタマジャクシみたいだ。このままカウリングだけ付けて仕上げたら、シュールなオブジェになりそうでちょっとソソる。
でもわたしはFM-2を作るんだ。昨晩ストックしていた冷蔵庫の中の、最後の枝豆とビールに誓ったのだ。そう心を鬼にして欲望を振り払うのであります。
(写真5) アンテナ支柱も太すぎる上にイモ付けで強度的にかなり不安。なので真ちゅう線をガリガリ削って突き刺しておきます。
(写真6) ネービーブルーをぷーっと吹いて下塗り完了。ベタ塗り海軍機は楽で良いのう。
(写真7) ネービーブルーだけでは色味が濃すぎるので、空自の青迷彩の色を二色混ぜ合わせて上塗りにします。
(写真8) うーん、まぁこんな感じかねぇ。
(写真9) スミ入れ済ませて拭き取ってデカール貼って小物パーツ着けたら完成であります。
(写真10) F4Fはこのぶっとい胴体がラブリーでステキ。下から見れば尚更際立つこの「生き物臭」に思わずわくわくですよ。ゼロ戦よりも広い主翼面積も、アンバランスさに拍車をかけておりまする。
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