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特集 35AFV

  ルノーR35(グンゼ・エレール 1/35)
ルノーR35(タミヤ 1/35)

  by  平針みなみ HIRABARI Minami

 1/35のルノーR35を2種作ってみました。エレールのキットのグンゼ版とタミヤのキットです。(「グンゼ」は、グンゼ産業株式会社(のホビー部)で、2001年11月に社名変更し株式会社GSIクレオスとなりました。)


 Scalematesのサイトによると、エレールのルノーR35は1978年に出され、グンゼ版は1996年とのことです。一方、タミヤのルノーR35は2020年の発売ということです。

 タミヤ 1/35 ルノーR35


  タミヤキットの例に漏れず、R35の形状をよく再現しているとともに、組み立てやすくなっています。履帯は部分連結式で、以前作ったソミュアS35の1枚1枚連結するものと比べて楽になりました。


  問題は迷彩塗装。今回は手間が減らせるソミュールの戦車博物館にある3色迷彩の「50293」号車にしてみました。Webモデラーズ2020年4月号のPhoto特集に掲載されている車輌です。
イエローオーカーはベージュよりの色のようなので、クレオスのC21ミドルストーンにC321黄土色を混ぜ、少しホワイトを加えたものにしてみました。グリーンとブラウンは、タミヤキット指定のカラーで、グリーンはタミヤエナメルXF-58オリーブグリーン、ブラウンはタミヤエナメルXF-9ハルレッド。塗る前は「ハルレッド?」と思いましたが、塗ってみるとなかなかよい感じ。
マーキングについては、国籍マークの3色ラウンデルはタミヤキットのデカールを使用し、車輌ナンバーはタミヤの指定車輌2種のものを切り貼りして再現、青いスペードのマークはグンゼ・エレールのキットのデカールを使いました。実車写真を見るとスペードの頭がもっと尖っているようです。


 グンゼ・エレール 1/35 ルノーR35


 グンゼ版の履帯は、エレールオリジナルのベルト式ではなく、一枚一枚連結するプラ製のものがメタル製の起動輪とともに用意されています。さらにドイツ軍で使用された車輌も作れるように、メタル製のキューポラ、ハッチとアンテナ基部、レジン製のドイツ兵フィギュアの立像も付属しています。なお、フランス兵は着座姿勢のものが2体。




  砲塔に3箇所ある外部視察口は2種類がセットされていますが、双眼タイプの方を取り付けるように指示されています。もう一方のスリットタイプは、R39として作る場合に使うようになっています。(タミヤのキットはスリットタイプのみ。)
デカールはいろいろな車輌が再現できるようにマーク、数字が用意されていますが、これらを活かせるかは資料次第です。(タミヤの方は2輌分が用意してあり、塗装もよくわかるように図示してあります。)

  砲塔APX-Rのパーツは、実車と同様オチキスH35/H39のキットと共用です。タミヤのキットと比べると角張っている印象がありますが、そのように見える写真もあります。
主砲は37mmのSA18と長砲身の37mm SA38の2種類が用意されています。長砲身SA38搭載のR35は「ルノーR39」と呼ばれることがあり、キットの説明書でもそのように表記されていますが、これは俗称だそうです。(タミヤは短砲身のSA18のみ。)

 車体上部の裾の部分が絞り込まれたような形状になっているのは再現されていません。(タミヤのキットではパーツを上下二分割にして再現。)少しパーツを削ってみましたが、うまく再現できていません。まあ、工具箱や装備品を付けるとあまり見えないところですが。

 砲塔直前の車体上部の形状は両キットで大きく違うところで、タミヤのキットのえぐったような形状は再現されていません。(写真はタミヤのもの)


  エレールのキットには(1960年代のキットを思い起こさせるような)車体外部のパーツの取り付け位置にそのモールドがしてあったりします。位置決めはしやすいですが煩わしくもあります。逆に取り付け位置が不確かなパーツもあります。
車体側面に搭載するスコップ等は直に車体に接着するようになっていますが、その部分の車体は曲面になっているので、取り付けモールドに併せて接着するとスコップ等の柄が曲がってしまいます。取付架を作るべきでしょう。今回は部品とり用に用意したタミヤのキットが一個ありましたのでそのパーツをこちらに流用しました。なお、モールドされているスコップの向きと、グンゼ・エレールの箱絵やタミヤキットのスコップの向きは逆になっています。

 キットの組立説明書では、車体の前上部にワイヤーロープ(パーツ番号179)を取り付けるようになっていますが、ランナーのどこを見ても「179」は見当たりません。グンゼ版の箱絵にも描かれていません。(タミヤのキットではパーツ化されています。)部品とり用のタミヤキットから流用したかったのですが、タミヤのキット作成中にこのパーツが行方不明になってしまったので、こちらにはワイヤーロープは取り付けないことにし、取り付け金具をプラ板で再現しました。

 右フェンダー上、戦闘室の横に、工具箱とシートラックが装備されていますが、その高さは同一になっています。これは早い時期の生産車輌のようです。(後の車輌では工具箱の方が若干高くなって段差ができています。タミヤのキットはこちらのタイプ。)エレールのキットの工具箱は蓋の表現がなされていませんので、ドイツの突撃砲の砲弾ブロックかなにかのように見えます。そのため、スジ彫りを加えて箱の蓋のように見えるようにしています。

 遊動輪には放射状に6本のリブがあり、その間に円形の大きな穴が開いていますが、後の車輌ではこの穴はパッチで塞がれています。(タミヤのキットは塞がれているタイプをモデル化。)

  グンゼ・エレールの組立説明書のフランス軍戦車のマーキングの説明のところの小隊マーク、スペードやダイヤ等のマークに、第1大隊所属、第2大隊所属どちらも「赤」としていますが、第2大隊は「青」でしょう。

  グンゼ・エレールのキットは、ドイツ軍仕様のパーツも入っているので、ドイツのものとして作りました。塗装は、箱絵にもなっているダークイエローとダークグリーンの迷彩ではなく、ジャーマングレー1色としました。写真を見ると国籍標識の鉄十字はいろいろな形状のものがあるので、適当に選びました。キットのデカールは使わずに塗装にしたのでヘロヘロになってしまいました。
ドイツ軍が使用したR35の写真を見る限りでは、フランス軍仕様の外形のままで、塗装とマークをドイツのものに改めているものが多かったです。







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