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特集 西欧

モラーヌ・ソルニエ MS406 (ハセガワ 1/72)

  by 寿



 知っている人は知っている、知らない人は全く以て金輪際問答無用に知らない、おフランスの戦闘機モラーヌ・ソルニエMS406です。何故か北欧マニアの御仁には妙に人気のある機体で、特にメルケ・モランという名称に過剰反応する方もいらっしゃる、無名なのか有名なのかよく判らない機体でもあります。まぁ、「マニアックな機体」の一言で済むのは間違い無いのですけれどもね。



 ちなみにメルケ・モランとは、フィンランドが所有したモラーヌ・ソルニエMS406にソ連製のクリモフエンジン(自国の領土内で大量に墜落させたり、強制着陸させたりしたラグ3からの分捕り品)を乗せた魔改造機の現地呼称なのですが、今回はかんけー無いのでオミットします。いつか作ってみたいなぁとは思っていますけれども。



 どんな国でも自国の戦闘機には賞賛を送るものですが、このモラーヌ・ソルニエMS406に対してもやはり例外ではなく、「世界で最も美しい戦闘機」と最大限の賛辞を送っております。確か同じ賛美をイギリスもやっていたような気がする。勿論、それは自国のスピットファイアに対してなんだけれども、エゲレス人とおフランス人は互いに相手のヒコーキをどう思っていらっしゃったのでしょうかね。



 個人的には確かにスピットファイアは美しいヒコーキだと思うけど、MS406はどーなんだろ。美しいというよりも「世界でも指折りでもっさい戦闘機」だよね、などと実に失礼な感想を抱いていおりました。が、このキットに付属しているインストを読んで考え方を変えましたね。この飛行機は同世代のライバルに比べても圧倒的に低性能でしたが、この残念ヒコーキを駆って強大なナチスのルフトヴァッフェと果敢に戦い続けました。そのパイロットが乗って居たからこそ「美しい」のです。

 おお、ヒコーキとパイロットはワンセットである訳なのですな。一心同体の分けてはならぬ存在。フランスという愛すべき自国のために、命と尊厳を賭けて闘った者への賞賛という訳ですか。確かにそれは美しいと云って憚りありません。実にフランスらしい表現の仕方であります。



 でもね、そこんところはキチンと説明しないと誰も判らないと思うんですよね。「そんなの知っていて当たり前だろう」的なスタンスで胸張っても置いてけぼりにされるダケだと思うな。ニュアンスだけで語り合えるのは同じ文化圏の中です。「どうだ~」と云ったところで、ソレは独りよがりでマニアックなコミュニケーションでありますですよ?

 言いたいコトは判り易く伝えるのがお互いの為でございましょう。
 その辺りも含めてやっぱりおフランス謹製のヒコーキだなと、つくづく思う寿なのでありました。

製作の詳細

(写真1)いつもながら小池先生のボックスアートは素晴らしいです。ホンモノの一〇倍増し位にかっちょ良くって制作モチベーションもモリモリと盛り上がりますよ。

(写真2) デカールはざっくり二〇年ほど前のもの。案の定死んでた(試しにメーカーロゴ部分を切り抜いて水に浸けたらバラバラになった。ニスが乗っていたので肝心のデカール部分も同じ劣化状態と判断)ので、リキッドデカールフィルムをエアブラシで執拗に吹いて補填です。ラッカー系うすめ液で三倍に希釈したので三回塗りました。めっちゃ厚吹きしたから以前より塗膜は厚くなっているハズ・・・・


(写真3)どーかなー、と恐る恐る計器盤を貼ってみる。うん、大丈夫そうじゃね。水で濡らすと台紙から剥がれるときに、くるんと丸まるのは相変わらずだけど丹念に扱えば何も問題ありません。

(写真4) 下地にニュートラルグレーを塗って、上塗りに指定の下面色を吹いた後に茶色をぺたぺた。ナナニイ単発機は面積小さいから塗るのが楽でいいのう。


(写真5) 茶色の後は緑色。今回はどちらの色もインストの指定通りです。下地が明るいから色の階層を上げなくても問題無いかな~と思ったもので。やっぱり塗装は良いのう。プラモ制作の中で一番好きな工程であります。

(写真6)指定色どおりに塗ったけれど、アリ?なんか違う。めっちゃコレジャナイ感が漂ってきて別の機体みたいだ。なので茶色と緑色の部分を指定色よりも一階層低い明度の色で上塗りして、エアブラシでボカしてみました。でも意図したイメージの色合いじゃ無いのよ、コレ。
 あれ~?下地の色が明るすぎたのかなぁ~


(写真7) まぁいい、こんなコトもあらあな。わたしは小池先生じゃないのだ。これは失敗なんかじゃ無いのであります。「実は最初からこーゆーつもりだった」のであります。この軽薄さがおフランスっぽくて良くね?デーハーなストライプともよくマッチしていると思いませんか。

(写真8) そうやって自分の作品を慰めるのもモデラーの嗜みなのであります。完成品は正義なのであります。
 でも次からは下地色は一段階濃い色で塗ることにしよう。人は失敗や後悔から学んで成長する生き物なのです。


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