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 Bell CH-118 Iroquois
(Revell 1/32 UH-1D Huey Gunshipより改造)

by 翔バナイカイ 大山 盛幹



 以前のRevell 1/32 紫電11型甲の製作記事にも書きましたように、今年から絶版キットを大切に持っていても墓場まで持っていけないので、絶版キットであっても作りたいキットを積極的に作っていくことにしました。今回はこの方針の第二弾として在庫の中から、Revell 1/32 UH-1Dを製作しました。



  UH-1は、アメリカ合衆国のBell Aircraft社が開発したヘリコプターで1959年6月からアメリカ陸軍へ引き渡しが開始され、ベトナム戦争の時期と重なったため大量生産されるとともに用法としてのヘリボーンを確立した機体です。また、UH-1の動力系を利用して攻撃ヘリAH-1系列に発展していきました。現在では後継機種のSikorskyH-60 系列に置き換えが進んでいますが、派生型が日本の陸上自衛隊を含めて多くの国々で現役にあります。主な生産型には、生産原型のA型、A型のローターマストを高くしテールブームを延長した最初の量産輸送型のB型、Gunship 型のC型、B型のキャビンを大型化して搭乗人数を増やすとともにエンジンを換装したD型、D型のエンジンをさらに換装したH型、H型の機首の形状を変更し、エンジンを双発にしたN型、N型のエンジンを換装し、ローターを4翅にしてAH-1Zとの共用化を図ったY型等があります。



  今回製作したRevell 1/32 UH-1D Hueyは1967年初版のキットで、56年前になります。その後、箱替え、デカール替えで何度も再版されており、最近では2021年にドイツレベルより再版されています。UH-1Dは1/72、1/48、1/35と各スケールでキットが発売されておりますが、今でも1/32のキットはRevellのキットが唯一のものです。このキットは、機首から風防にかけてが実機と異なっているとか、合いがあまりよくないとの評価もありますが、発売時期を考えると、上品な凸リベット表現、エンジン、キャビン内部の再現等非常によくできたキットだと思います。1973年春のプラモガイドのUH-1のキット紹介をした89頁では「同社のCH-54スカイクレーンの1/72と並んで、ヘリコプタキットの中では、最高の部類に属するといってもよいだろう。」と評価されています。私は、中学3年の時にグンゼ版を塗装もせずに製作したことがあり、国産と違い外国製のキットは、こんなにすごいものかと思った記憶があります。



  さて、50数年振りに製作したわけですが、中学3年の時と違い、製作技術も上達しているはずだし(笑)、当時と違って資料もあるので、可能な限り手を入れてみました。今回製作したキットは、2015年に再版されたGunship型のものです(箱絵がB型のGunship型になっているのはお愛嬌)。まず、製作するタイプですが、キットはGunship型が基本にもかかわらず、機銃等の武装の再現がもう一つだったことと、キットの操縦席シートは防弾鋼板タイプではなく通常タイプだったこと、そして全面オリーブドラブの塗装では地味と考え、UH-1Hのカナダ国防軍の救難型、全面黄色のCH-118として製作することとしました。



  サードパーティのレジンパーツやエッチングパーツは発売されているようですが、入手できませんでしたので、ディテールアップにはプラ板、プラ棒、真鍮線等を総動員してパーツを自作せざるを得ませんでした(完成後にFireball Modelworksから「Huey Modern Medevac Interior」という救助ホイスト等のインテリアレジンパーツが発売されていることが判りました)。



  その自作部分の主なポイントは次の通りですが、インテリアとエンジンの再現に力点をおきました。
① キットの透明パーツは歪が大きいため、フロントガラス、操縦席上部ガラス以外の平面ガラス部は透明のCDケースを切り出した透明パーツに置き換え。
② 操縦席横のドアに厚みを持たせるとともに、内側にポケットや開閉レバーを自作。
③ キャビン右舷は救助ホイストと装備品ラックを、左舷は手摺、操作ボックスをプラ板、プラパイプで自作。救助ホイストは写真を見て現物合わせで自作。支柱はプラパイプ、アームは1.2㎜のプラ板4枚積層の削り出し、他の部分は0.5㎜のプラ板より組み上げ。ホイストアーム先端のフックは糸ハンダを叩き出しで形を整えた。また、救助ホイスト電源ケーブル等も再現。


④ キャビン内の救助キットは、スケールが違うが、TAMIYA 1/35アメリカ現用車両装備品セットの内、シート、テント、ダッフルバック、アリスバック(小)を使用。救急セットはプラ板積層からの削り出し。 
⑤ キットの操縦席シートの背部は窪んだままなので、プラ板で窪みを塞ぎプラ棒で構造材を再現
⑥ シートベルトは、0.25㎜の鉛板とファインモールドのWWⅡ米軍機用シートベルトを利用して製作。
⑦ 操縦席シート直後の左右にある構造柱をプラ板で、併せて、右側シート横の消火器をランナーで自作。


⑧ エンジン内部は筒抜けで何もないのでプラ板でタービンブレードを自作し、パイピングを施す。
⑨ エンジン室とローター基部との間の仕切りとこの仕切りにつくエアフィルターを自作。
エアフィルターの外部カバーは開口してエッチングメッシュで置き換え。
⑩ エンジンカバーのメッシュ部分のモールドを開口し、エッチングメッシュに置き換え。
エンジンカバー内側にプラ板で補強フレームを追加。


⑪ 操縦席の外部上下に設置されたワイヤーカッターの自作。上部のワイヤーカッターはフロントガラス中央部のフレームにも基部があることに注意。
⑫ 操縦席フロントガラス横の左右フレームに真鍮線でワイヤー防護ガイド(独語では「abweiser」と表現されていた)を自作。支柱は伸ばしランナーを使用。
⑬ 胴体下部には、ひし形の補強板、左側サーチライト1基、アンテナ、2ヵ所の整流板を追加製作。
⑭ 胴体下面のライトの内、機首下面のライトはパーツにあるものの出来がもう一つであり、もう1ヵ所はモールドすらなし。このため、2ヵ所のライトは、WaveのレンズパーツH-EYES1の5㎜、4㎜のパーツを使用して工作。ライトらしさを出すため、中にHasegawaのミラーフィニッシュを貼り込み。
ライトの縁はプラパイプを薄切りにして使用。
⑮ ローター基部の4本のピッチコントロールレバーに金属線を巻き付けてバネを再現。
⑯ ローターヘッドのスタビライザーバーの中央部が無垢であったため、楕円形に開口してプラ板でそれらしく工作。 
⑰ ローターの操作桿並びにスタビライザーバーを0.5㎜、0.3㎜の真鍮線に置き換え。
⑱ スタビライザーバー先端のウェイトは半球状のモールドであったため、ランナーを加工した涙滴状にしたパーツに変更。
⑲ スキッドをカナダ国防軍仕様に変更。橇ではなく、雪上に着陸した際に雪にめり込むことを防ぐ接地圧を低減する板。この板の後部の四角い部分には、実機同様にリベットを再現。
⑳ 機首のU字型のアンテナを0.5㎜真鍮線で自作。
㉑ ピトー管、テイルスキッドを真鍮線で置き換え。
㉒ コリジョンライト、尾灯を切り取り、透明ランナーで自作したものに置き換え。




  塗装は、全面黄色で黒い縁取りのある赤いバンドの塗装です。全面の黄色は、「IPMS Color Cross-ReferenceGuide」によるとFS13538とのことでしたのでMr.カラー№329を、バンドの赤はFS11105あるいはFS11136と判断しましたのでMr.カラー№327としました。インストラクションの塗装指示とは異なっていますが、作例の胴体上面塗装は、実機写真と海外モデラー作品からこのようになっていると判断しました。
デカールは、赤のバンド以外はキット付属のデカールを使用しました。薄くて密着性もよくシルバリングもおこさない良質のデカールでした。マーキングは、カナダ国防軍第439 Squadron所属機です。作例の機番108の機体のコクピット上部のブレードアンテナの塗装は黒ではなく白になっていますので注意が必要です。



  CH-118の資料としては、インターネットサイト「Aircraft Walkarounds」が細部写真も多く役に立ちました(URL http://hedgehoghollow.com/buzz/walkarounds/)。
UH-1Dの資料としては、Kagero「UH-1D(2007年)」は小さな判型(16.3㎝×23.6㎝)の全42頁の写真集ですが、1頁につき2~4枚のモデラー目線でのクローズアップ写真が多く、救助用ホイストの写真もあり一番参考になりました。次に独語で書かれているので一般的ではないですがMotor Buch Verlag「Bell UH-1D Huey(2010年)」には計器盤イラスト、エンジンクローズアップ、製造過程等模型製作の参考になる写真が多く、独語が読めなくとも写真だけでも十分参考になります。一般的なUH-1の資料としては、Squadron/Signal「Modern Military Aircraft Huey(1983年)」、「UH-1 in color(1992年)」、「In Action №75 UH-1 Huey(1986年)」、「In Action UH-1 Huey(2017年)」、Schiffer「The Huey in Vietnam(2021年)」、Aviation Classics「№27 Bell UH-1 Iroquois The Immortal Huey(2015年)」を参考にしました。





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