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(Photo) キ27 九七式戦闘機

by  コルディッツ
博物館実機写真
 九七式戦闘機は中島飛行機の開発した、帝国陸軍航空隊最初の低翼単葉戦闘機で、1936年に初飛行し、翌年年制式採用されました。
1938年から実戦投入され、日中戦争や1939年のノモンハン事件で活躍しました。第二次世界大戦でも開戦直前の12月7日に、マレー作戦の上陸船団護衛担当の九七式戦闘機が、哨戒中の英国空軍のカタリナ飛行艇を撃墜する功績を挙げています。
 その後は前線から後方に移動、練習戦闘機として運用されますが、大戦末期には250kg爆弾を搭載、特攻機として出撃を命じられます。1945年4月そのうちの1機が知覧基地への飛行中に、発動機不調で博多湾に不時着、操縦士は救助されましたが、機体は水没しました。この機体が1996年に博多湾埋め立て工事で発見され、復元後、筑前町立大刀洗平和記念館に展示されたものです。
※ 本稿は博物館の標示、「世界の軍用機図鑑」コスミック出版、
「ヒバリの九七戦」(「続々ヒコーキの心」収録、佐貫亦男著、
講談社)、Wikipediaを参照しました。

   中島 キ27 九七式戦闘機乙型
 筑前町立大刀洗平和記念館(筑前町)にて  2024年1月撮影




 固定脚ではありますが、全金属製の低翼単葉機の実用化に成功したことは、日本の航空技術史に残る偉業と思います。九七戦の初飛行の前年1935年に、Bf109、ハリケーン、スピットファイア、P-36、P-35が初飛行していますので、日本は航空技術先進国に、半馬身差まで追い上げた感がします。



  同じ1936年にネーデルランドのフォッカー社が、木金混合構造の低翼単葉で固定脚のフォッカーD.21を初飛行させています。
 データーは資料による差が大きいので参考程度になりますが、案外似通っています。D.21の発動機はブリストル社マーキュリーⅥ-Sで605馬力、九七戦はブリストル社のジュピターを中島が発展させたハ1(海軍名称は寿)610馬力。共に空冷星型9気筒なので、機首廻りの処理も似ているようです。
 最大速度はD.21が460km/h、九七戦470km/hとありますが、D.21はその後に発動機を換装して馬力向上している型もあり、比較は困難かと。武装はD.21が7.7mm 4挺、九七戦は7.7mm2挺で、共にヴィカース社製のライセンス生産品のようです。

 Fokker D.XXⅠ FR-110 2018年7月撮影
 中央フィンランド空軍博物館(ユバスキュラ)にて


 九七戦は1939年春から夏にノモンハンでソ連機と、D.21は同年冬からフィンランドでソ連機と空戦し、共にソ連機に打撃を与えましたが、終盤になるとソ連の量に押し切られそうになり休戦、という似た展開を体験しています。   


 やがて中島製戦闘機の特徴となった水平尾翼の後に垂直尾翼を配置する設計は、九七式戦闘機では見られません。


     主翼下の増槽と胴体下の爆弾。


 プロペラは佐貫亦男教授の設計。「ヒバリの九七戦」という
エッセイに、愉しいプロペラ設計の逸話が書かれています。


 スタイルの良い固定脚に、バランスの良い増槽配置。


   ピトー管。横からと後からのアップを載せます。    


コクピット周囲。


 2階から。中島の特徴の一つ、前縁直線主翼を堪能できます。    



   以前拝観した時は九七式戦闘機は撮影禁止でしたが、何時の間
にか解禁になっていて狂喜しました。筑前町立大刀洗平和記念館
の館内展示は、九七式戦闘機、零戦三二型、1/1震電と、世界で
唯一の機体ばかり。これを見に行かない手はないと思います。   




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