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(Photo) Bucker Bu131 Jungmann

by  コルディッツ
博物館実機写真
 ビュッカーBu131はスウェーデン人技師アンデルス・J・アンデルソンの設計による複葉複座の単発練習機で、1934年4月27日に初飛行に成功しました。後にアンデルソンはBu133やBu181、帰国してサーブ91の設計、資料によってはサーブ17と18の設計も担当しているので、名設計者として記憶されて良いと思います。
 Bu131はドイツ以外にスイスやスペイン、日本でもライセンス生産され、その総数数は5,000機とされます。最初はスポーツ機として愛用され、1936年にドイツ空軍の初等練習機に採用されます。
後継のBu181が登場すると、夜間騒擾機としても運用されました。
 スペインでは1968年まで練習機として使用され、退役後は民間に流れて、アクロバット飛行で目立つ存在になっています。
※ 本稿は「湖のほとり」(佐貫亦男著 「続・ヒコーキの心」 収録 光人社NF文庫)、「世界の軍用機図鑑」コスミック出版、 「ポーランド空軍博物館ガイドブック(英語版)」、「スウェーデン空軍博物館ガイドブック」、Wikipedia を参照しました。
 なおBu表記しましたが、uの上に¨(ウムラウト)が付きます。

Bucker Bu-131B Jumgmann D-EBAF A-43
 ドイツ技術博物館(ベルリン)にて     2023年4月撮影


 B型はヒルトHM 504A-2エンジンを装備した主要生産型です。
 ドイツの博物館は入手元に拘りがあるようで、スイス空軍機塗装のままなのは、好感を覚えます。  



CASA 1-131E Jumgmann E.3B-555
 ドイツ博物館(ミュンヘン)にて      2011年5月撮影
 ドイツ博物館のBu131はスペインでライセンス生産されたタイプです。よって塗装はスペイン空軍のまま。


 CASA 1-131E Jumgmann F-AZTT 2016年8月撮影
 Volant Salis 博物館(La Ferte-Alais)にて 




現用のアクロバット機です。オレンジ色の塗装から、日本版のBu131、海軍二式初歩練習機「紅葉」と陸軍キ86 四式基本練習機は、こんな感じだったのかと想像しています。



 Bucker Bu-1311E Jumgmann E.3B-565/781-7 2004年10月撮影
 航空宇宙博物館(クワトロ・ビエントス)にて
 スペインでは1960年代初期までに、CASA社で530機が生産されました。エンジンはヒルト504搭載とENMA Tigre G-ⅣA(125hp) 搭載の機体があります。 


Bucker Bu-131B Jumgmann A-51
 スイス空軍博物館(デューベンドルフ)にて 2007年10月撮影
 スイス空軍は94機のBu131を運用しましたが、そのうち88機はスイス・ドルニエ社でライセンス生産された機体です。  


Bucker Bu-131B Jumgmann SP-AFO
 ポーランド空軍博物館(クラコウ)にて   2011年5月撮影
 第二次世界大戦前にポーランドはBu131を1機購入しましたが、展示機はドイツがポーランドに残した機体のようです。レストアしてポズナン飛行クラブが運用していました。


 ポーランドは1994年以降にBu131の発展型SSH T-131PとT-131PAを製造しています。実物は未見ですが、写真で見る限り原型との差を感じず、基礎設計の優秀さを感じます。

 初風(ハ11型)エンジン (Replica)
 日野オートプラザ(八王子市)にて     2018年5月撮影
 日本のBu131導入はライセンス生産により、海軍は渡辺鉄工所と日立航空機から合計277機導入し、二式初歩練習機「紅葉」と命名、陸軍は日本国際航空工業から1,030機導入、キ86 四式基本練習機としました。日本版Bu131の現存機はないようです。
 エンジンのヒルトHM 504Aもライセンス生産の予定でしたが、担当の東京瓦斯電気工業(後に日立航空機に改称)は、クランクシャフト製造やローラーベアリングの多用等の、ドイツの高度な工作技術を望めないことから、空冷倒立直列4気筒のレイアウトは踏襲しながら、日本の技術水準に合わせた実用的な物に変えています。このエンジンは「初風」またはハ47と呼ばれます。


 日立航空機を継承した日野自動車が運営する日野オートプラザには、初風エンジンのレプリカが展示されています。底面を見ることができるよう、鏡を敷いたのはグッドジョブと思います。


 初風はヒルト504Aより全長、全幅が大きくなっていますが、スペインで使われたENMA Tigre G-ⅣAは、もっと大きいので、Bu131とCASA 1-131Eの中間を推測すれば、紅葉に見えるかと。

CASA 1-131 E.3B G-BSJA
 戦争博物館ダックスフォードにて      2009年7月撮影
 ヒコーキは、飛んでこそヒコーキと思いますので、素人写真で申し訳ございませんが、飛行シーンをご紹介します。


 本機は1954年にスペインで生産、個人所有機となり、ダックスフォード・エアショーでアクロバット飛行を披露していました。




この後華麗な「木の葉落とし」を披露しましたが、撮影が追い付きませんでした。
 本機は2023年6月18日にダックスフォードで着陸時に、かなりの(Substantially)損害を受けたようです。



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