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彗星43型(フジミ 1/72)

  by 加藤 寛之



 フジミが次々と旧日本機をキット化したときの開発製品。大別すると、彗星は機首のパーツ替えで液冷・空冷の両タイプがある。43型のキットの箱には「模型は彗星33型1機分の部品が入っています。彗星43型とは異なります。・・・」とある。つまり、43型のキットとはいうが33型キットのデカール替えだから、43型の特徴である胴体下面の大穴は再現されていない、という大胆なキット。
モノとしては、開発世代らしい表現とか、金型の甘さとか、72だからいいんじゃないの感とか、それらはあるが、普通にちゃんとできる。
ゆえに、43型っぽく加工することが工作の中心になる。



  1.爆弾倉扉の撤去:胴体下面を切り取った。胴体幅の固定は胴体内部の床板ですればよい。内部にはフェルトが張ってあったそうだが内部工作はナシにして、とりあえず底をプラ板で作っておいた。

2.後胴下面の補助ロケットの穴:どうなっているのかわからなかったので、爆弾倉扉の撤去と同時に切除して、テキトウに底板を入れた。しばしば図面に気流を整える覆いが描かれているが、全然分からないので四角く開口して、「まあいいや」。この整形は、『世界の傑作機 雷電』(灰色版№7・1968年)や『同 彗星』(青色版№44・1973年)、『同 彗星』(白色版№145・1984年)にそれらしい写真があるが、エレベーターの形が彗星と違うのでなんともいえない。

3.爆弾倉扉の前方に、爆弾頭部を収めるための窪みを設けた。

4.主脚カバーの底部を斜めに切り、導風板も設けた。テキトウにやった。胴体側カバーの形も合わせてみた。

5.機首前端にある銃口:テキトウに埋めた。

 いろいろ思うことはあるが、それっぽく加工してOKとした。
 塗装は、キットの指定を尊重して、上面を濃緑色、下面は明灰色にした。上下色の間の波状はテキトウ。主翼前縁のオレンジ帯は、もう少し細い方がいいかも。風防ワクももっと細い方がいいのだが、まあいいや。水平尾翼の偏流測定用の線は、デカールを参考に描いた。
 無事に完成。側面写真でそれらしいので、充分にOKだ。
彗星は、生まれたときは流麗だったのに、43型の姿はボロボロだ。それでも製造が続いたのだから、使える飛行機だったのだろう。戦争末期で「使える」とは、重苦しいことであるのだが。



再現はしなかったが、以下のことをオマケにしたい。

1.彗星に描かれた水平尾翼の偏流測定用の線のこと。キットのデカールは5本だったのでとりあえず5本で描いたが、6本じゃないかなあ。でも、片側1本らしい機体もあるし。さらにいえば、43型は基本が単座運用だから偏流測定する人がいないし、末期の金属覆タイプではどうするんだ、となる。偏流測定用の線は描いてないのが正解じゃないかなァ…と思うのだ。どうなんだろう?

2. 『航空ファン』1991年4月号 p.172に読者投稿の記事がある。彗星43型とみられる尾部が保管されていて、見てきたというもの。主なところを抜粋すると「着艦フック廃止後の外板処理はリベット止めではなく、ビス止めにしてあり着脱可能のようです。また廃止部分から補助ロケット取り付け孔まで続く“溝”が続いていました。」「旧海軍の濃緑色と下面の銀色、日の丸などははっきり分かりました。舵面下部羽布部分は銀色でした。」など。

3. 彗星43型はロケットブースターを計5本装備で計画した。早いモノでは『世界の航空機』№75(1957年8月号)に図があり、前端2本はカウリングの横扉前端と同じ位置で、排気管のくぼみのすぐ下にある。1957年段階で、こう描ける根拠があったのだろう。



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