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グラマン・モデルX(自由改造)
(ハセガワ  1/72パンサー(素材))

  by 加藤 寛之



 ハセガワの1/72パンサーで、自由改造機を作ってみた。こんなこともプラモデルの楽しみだと思う。
設定は、F9Fパンサーに至る直前の試験形態で、完成形態のちょっと前の設計案、ということ。

1.水平尾翼を垂直尾翼先端に移動
ジェット排気から遠ざけ、かつ短い胴のなかでテールモーメントをかせぐ目的で水平尾翼を垂直尾翼端に置いた。カーチスはレシプロとジェットの混合動力機のXF15Cで水平尾翼を垂直尾翼先端に置き直しているから、似たような胴体形状ならばこの配置を試みてもおかしくない。でもこの時代のジェット機の大部分はここに置かず、垂直尾翼の真ん中あたりに水平尾翼を付けている。当然、その理由があるのだろう。
パーツとしては左右の水平尾翼を角度調整して接着したくらいで、垂直尾翼端をちっと切って取り付けた。水平尾翼端の形は後述の主翼端の形に揃えてみた。



2.翼端増槽を外して吊下方式に
 翼端増槽は翼端板効果で航続距離を伸ばすので、燃料消費量で問題を抱えていたこの時代のジェット機ならば有用である。とはいえ、翼端に重量物があるのは戦闘時には機動性の面でいかがなものか。せっかくF8Fで取り組んだ機動性は残したいじゃないか…で翼端増槽のパーツを切り離して、翼下に吊るしてみた。主翼端は、グラマン機っぽい形に整形した。
3.主翼にスロットのスジ彫り
 滑走路が常に長く整備されていれば問題ないが、いつもそうだとはいえない。実線ならば、遠くから徐々に高度を下げるときに狙われるのも危険だ。急角度で高度を下げ高仰角で短い距離で着陸できれば、そのほうがいいに決まっている。そこで主翼にスラットを装備したとしてスジ彫りを加えた。だが、高仰角で着陸しようとしたときに、この水平尾翼位置は問題なのかも…まあ、いいか。   



4.機首にテスト機用の赤白棒
 水平尾翼と翼端増槽外しだけでは、どうみてもパンサーだったので、機首に長い棒を出して印象を変えてみた。機番と合わせて、試作第3号機ってところ。
5.背中に赤いライト
 熱で伸ばしたランナーを曲げ、そこを切り離すことで楕円形の凸型を作って接着、赤く塗っておいた。試作機っぽいよね、ってことで。
6.塗装でごまかす
 紺色やガルグレーでは、どうみてもパンサーなので、銀にしてみた。パンサー系で試作機ならば銀いいだろう。それになんといっても、塗装嫌いな私だから1色でOKは魅力的なのだ。筆塗りの銀で生じやすいムラは…気にしなければいいのだ。翼下の増槽はオレンジ色にして、試作機っぽくしてみた。   

 さて、テキトウな設定で無事に完成。側面からみるとパンサーそのものだが、斜め上からみれば別機にも見える。展示会なんかで、そっと並べておいたら楽しそうだ。

  おまけ:
日本のプラモデル業界の極初期、プラモデルは、模型でありオモチャだった。爆弾をテキトウに接着する子供は普通にいたし、メーカー側でも「あまったシールは好きなところに貼りましょう」なんて書いてあった。SF的なおもちゃプラモや100円のゼンマイカーはどこのお店でも売っていた。精巧だとか、実物っぽくとか、凹線だとか、そんな気にせずに、子どもは自由に作っていた。
いまでは高齢者に加わっている人たちこそが、その時代の子どもだ。プラモデルなんだから、細かいことはどうでもいいじゃないか。子どものころ、それで楽しかったじゃないか。



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